少年達の決意
「んっ…?」
目が覚めると私は鮮やかな緑色のベッドの上に寝ていた。私はあの時、ビックリして気絶しちゃったみたいだけど…
部屋のドア付近にメイド二人が立っていた。うーんと…私を見ず、ただ震えて立っていた。
「あ、あのぉ…」
「ヒッ!!嫌!!やっぱり私無理だわ!!私メイドやめるわあぁあぁあ!!」
一人のメイドは泣きながら部屋から出て行き、プルプルと震えているメイドさんが一人残っていた。
「いっ!今からっ、王子達と騎士団の隊長がき、ききききます!はいっ」
廊下から何やら声が聞こえきた。ライル君、フラン君達の声だ。
「ジャンヌ!大丈夫かっ!?」
「ジャンヌ大丈夫ー?」
「フラン君、ライル君っ!…って魚姿のライル君だ」
フラン君が持っている小さな水槽の中でピチピチしていた。
「ライル、感情高ぶると魚姿になっちゃうんだよねぇ」
「くっ…情けねぇな。俺…」
「そんな事ないよっ!とても綺麗で美味しそうよ!」
「ジャンヌ、それはこわいよー」
あれ?キョロキョロ見渡しシラユキ君がいないわ。
「ねえねえ、シラユキ君は?」
二人は「あー…、うん、大丈夫っ!」
笑って誤魔化されちゃったけど、あとで会いに行かなきゃね!
ライル君とフラン君の後ろには数人の兵がいて少し怖かった。私はフラン君の裾をギュッと握り、フラン君は大丈夫と言ってくれた。
部屋から誰かが入ってきた。顔がそっくりな双子のお兄さんとお姉さん。お兄さんは私を見てはニコニコと笑い、お姉さんはキッと睨らんでいた。
誰だろー。
優しそうなお兄さんは私の頭を撫でて紹介する。
「やあ、目が覚めたかい?僕はこの国の騎士団第一団長を務めている、ヘンゼル。隣にいるのは僕の双子の妹グレーテル、よろしくね」
ヘンゼルとグレーテル…ってあの有名な童話のキャラ…
「僕達ね、小さい頃親に捨てられ森で迷子になったところ君のお婆さんとお母さんに助けられて少し一緒に住んでいたんだよ」
「え!?おばあ様とお母様の知り合い?」
「うん、よくアップルパイやらお菓子を沢山一緒に作ったりして楽しかったよ」
あのヘンゼルとグレーテルには確かに魔女が出てきてたけど、ふふっ、なんか変な感じっ。
「ヘンゼル!無駄話はしないでっ!説明を」
グレーテルさんはなんだか苛々してヘンゼルさんは少し困った顔をしながら私に説明をしてくれた。
まず、私がこの前やらかした森の一部を破損した件。用は魔法が使えた事が各国に知れ渡り、危険人物の魔女だと認定されてしまった事。
そして、危険人物とされているがまだ子供ということでこれから監視の下、来年学園へ通いながら色々とマナーも含め学んで貰う事。
…最後に、おばあ様とお母様には当分会えない事。
「私…もうお母様達と会えないの……?」
「ジャンヌは当分僕の国で保護することになったみたいなんだ。でも大丈夫っ、苛めてくるやつは僕が注意するっ」
「フラン君、ありがとうね」
「因みに俺とシラユキは当分この国に滞在することにしたからな!!だから一人じゃないぜ」
「えっ、何それ、僕初耳だよ」
「今決めた!!」
「えー、ライル、もー焼き魚にしようかな…」
「フッ!フラン!焼くな!」
私達が仲良く話ているとヘンゼルさんはクスクス笑って
「仲良いいんだね。ジャンヌ…お母さん達とは会えないけど手紙は定期的にやりとりできるから。今は寂しいかもしれないけど、僕とグレーテルが君の保護者代わりになったから、改めてよろしくね」
ヘンゼルさんは私と握手し、グレーテルさんは…ツンとそっぽ向いていた。嫌われてるのかな…。
ヘンゼルさんは私にコソっと
「本当はね、誰よりも君とお母さん達を心配しているのはグレーテルなんだよ。まあ、態度は、、、アレで申し訳ないけど…」
「話は済んだわよね。とりあえずジャンヌ!貴女は今日ここで休みなさい、住まいのほうはまた説明するからっ。ヘンゼル!もういくわよ!国王様達に報告しないと!」
「あーハイハイっ」
「ハイは一回!!」
そう二人と騎士の数人、メイドも部屋から出ていった。
「お母様達と会えない…か。ちゃんと挨拶したかったなあ、、、」
どんな理由であれ、やっぱりお母様達と離れ離れは寂しいな…。
「ジャンヌ…なんかごめんね。僕達ジャンヌの存在を隠してたんだけど…やっぱり、バレちゃうもんだね」
シュンと落ち込むフラン君。うん、やっぱり魔女って嫌われてるみたいなのはよくわかった。あの街の人達の反応も…。それなのに三人は私の友達になってくれてるから嬉しいよね!
「あのね、私は三人が私のお友達になってくれて本当に嬉しいよ!」
ニコッと笑ったら、フラン君は頬っぺたが赤くなり、ライル君は水槽の中でバシャバシャと急に泳いで騒いでた。
コンコン
「…ジャンヌ、もう平気?」
ひょっこりと顔を出してくれた少年は、
シラユキ君だ!!
「シラユキ君!うん!元気だよ!」
「あー!シラユキ!おまえっ!やりすぎだからな!?」
「ライル、しっ!!ジャンヌに聞こえるっ!まあ、落ちついて良かったよーもう暴走はだめだからねー」
「…ごめん」
フラン君とライル君はコソっとシラユキ君に話ているけどなんだろ?よく聞こえなかったけど、あの、やり過ぎってなに?なんかしちゃったの??おーい?
シラユキ君と目があい、彼は微笑んで私の頭を撫でてくれた。
「……ジャンヌ、少し寝たほうがいいよ。少し疲れたでしょ?」
シラユキ君が冷んやりとオデコに冷たい風を送ってくれた。それがまた冷たい風で気持ちよくて私はまた深い眠りについた。
スヤスヤ眠る、ジャンヌを見つめるシラユキはフランとライルに
「…たぶん、危険人物といって保護はウソだと思う…
ジャンヌの力を僕の国、母上はジャンヌの存在を知って何かやろうとしてるし…」
「第一王国の女王、僕苦手。こわいよねーあ、シラユキのお母さんだけどさ」
「とにかく!ジャンヌは俺らのボスだ!!守ってやろうぜ!」
少年三人はスヤスヤと気持ち良さそうに眠る小さな魔女を守ると約束と決意をした。