悪役魔女は嫌われていました
ジャンヌが不在の中、森に住んでいる魔女二人の元に、大勢の騎士と二人の男女がジャンヌの家に尋ねてきた。
コンコン
「…はい?どなた…」
ジャンヌの母は自分達の家が既に兵に囲われていることに気づき目の前にいる男性と女性を見て
「あぁ‥貴方達は…大きくなりましたね。
ヘンゼル、グレーテル…」
男性の一人ヘンゼルと呼ばれている男はジャンヌの母を懐かしそうに見つめ、そして申し訳なさそうな顔をしながら挨拶をした。
「お久しぶりです。ダイアナさんとおばあさん。
…俺達が親に捨てられて森に迷い込んでいたとき助けてくれて…そして育ててくれた恩は未だに忘れてませんよ」
ジャンヌの母は二人の頭を撫でて、笑顔で迎えいれた。
「本当に大きくなりましたね、グレーテルも綺麗になって」
グレーテルと呼ばれる女性はツンとしながら淡々と説明をした。
「ふん、相変わらずお節介な人ね。あの子は‥ジャンヌはどこですか?もう我々も、他の国も危険人物ではないかと疑っています!なのでまずは学園へ通わせて国で保護をすることに決定いたしました」
ジャンヌの母ダイアナの後ろにいたおばあさんは
「あの子…やっぱり魔法使えたんだねぇ…そうかい。あの子と離れちまうのかい…」
ジャンヌの母は泣いて崩れたのをヘンゼルとグレーテルと呼ばれた二人はただ見つめていた。
グレーテルは大勢の兵に命じた。
「魔女の娘!ジャンヌを見つけ保護せよ!見た目は髪が白いからすぐにわかるはず!」
「「はっ!!!」」
森の中から少し歩いていくと、少しずつ人の声が聞こえてきた。町だわ!!
「あ、ジャンヌその前に、髪は目立つしやっぱり隠してたほういいからこれでも被って?」
フラン君は私に赤頭巾を渡して被せてくれた。シラユキ君は私の髪を三つ編みにしてくれて器用だなあーと感心しちゃった。
「あは、赤ずきんちゃんみたい」
「なんだ、それ?ずきんちゃんって」
首を傾げるライル君は分からなかった模様。
「そろそろ町につくよー!てか僕らも正体バレたらやばいから帽子とか被るよっ」
そう言い町へきた。
沢山の人とレンガ調の建物が沢山並んでて中世のヨーロッパ風の街並み。それに沢山桜が咲いていた。
「うっわあああ!町だわ!みんな見て!あれは何?」
「ふふ、ジャンヌはしゃぎすぎだよ」
シラユキ君は私の手を握り
「迷子にならないように手を繋ごうね」
と町を案内してくれた。
「シラユキっ!抜けがけは許さないよー僕の国でもあるんだから僕が案内するよ」
二人はなにやら言いあってるみたいだけど、やっぱり来て正解だった。素敵な町だもの!
町の中心部へ行くとお城が見えた。白いレンガ調のお城で木や花に囲まれて可愛らしいお城っ!あそこがフラン君のお城ね!
「なんか兵の数多いよな?」
「うんー?そうだね、なんかあったのかな」
「ジャンヌ、少しここで大人しく待っててくれるかな」
「はーい、わかった!」
皆んなで買ったわたあめを食べていると
「みてよ!汚い犬だわ!シッシッ!」
「私達のドレスが汚れちゃうわっ」
「お、お姉ちゃん達やめて!!そのこ弱ってるの!」
何処かのお金もちの女の子が小さなわんちゃんを蹴っていた。いやいやいや!蹴るってなにしてるの!!?
小さな男の子は町の住民みたいで女の子達を止めているけど女の子達はそれを無視している。
「だめ!その子犬かわいそうじゃない!」
私はその女の子達に注意してわんちゃんを抱きしめる。
女の子達は上から下まで私の服装を見て馬鹿にしたような口調で私を笑った。
「なんて見すぼらしいの!ぷぷっその汚らしい犬とお似合いだわーてかその庶民の子も赤ずきん被ってて見事ににダサいわね」
「ジュアンナ様のいうとおりだわ!あはは」
ちらっと隣にいる小さな男の子も私と同じように赤ずきんを被っていた。
「あは。本当だね、私とお揃いだね」
そう私は男の子にニッコリ微笑んだら男の子は赤くなり照れながら
「こ、これは俺のおばあちゃんが…作ってくれて、。それで…」
ウルウルと涙目の男の子を笑う女の子達。
うん、やっぱりムカつくなー。この子達。性格悪いというかなんでいじめちゃうかなあ…
「…ぶちゃいくなお嬢様…」
ポソっと呟いた私に令嬢達は顔を真っ赤にして
「なんですって!!ブサイクだなんて親にもだれにも言われたことないのに!!」
彼女達は私をドン!っと押したおした瞬間、私は被っていた赤ずきんがとれて転んでしまった。
令嬢達や近くにいた町の人々は私を見た瞬間…
「きゃあああああああぁ!バケものよ!ま、まままま魔女よ!」
「だれかっ!衛兵をよんできて!」
「ころされる!魔女に殺される!」
「髪が白い!不吉だわ!だれか!」
大混乱。令嬢達は私を見るや、落ちていた石を拾って投げつけた。
「でてけ!魔女が!ブサイクはあなたよ!」
石があたり、額に血が流れてしまったけど避けると後ろにいる男の子やわんちゃんに当たっちゃう!!
私は男の子達を庇うように目をつぶっていると、男の子は
「お、お姉ちゃんっ、だだいじょうぶ?ぐすっ、俺がよわいから…こんな、」
「へへっ、、痛っっ!だ、だいじょうぶ!だから泣かないでっ」
魔女だってわかっただけでこの嫌われようは凄いわねっ!!
「いたぞ!白い魔女だ!」
何人かの兵達が沢山来て私を取り囲んできた。
「捕まえろ!!」
えー?!わたしなんもしてないよ!!?
兵のそばにいた令嬢達はニヤニヤしながら私を見ていた。
「わ、私なにもしてないのにっ…」
そう叫ぼうとした瞬間、ビリビリと冷たい空気と風が吹いてきた。
冬がやってきたかのように地面も白く氷化した。
「ジャンヌだいじょうぶか!」
ライル君が青ざめて私の元へ駆け寄ると令嬢達はキャーキャー騒いでいた。
「ライル君も嫌われて騒がられてるよ?」
「馬鹿たれ!俺はこうみえてもモテるんだぞ」
「僕の国の貴族達は躾がなってないねー?」
フラン君は令嬢達を睨んでいた。
そしてさっきから無言だったシラユキ君は
「…ねえ、君達何してるの」
「ヒッ!!!」
無表情なシラユキにこの世が終わったのではないかと皆青ざめてプルプル震えていた。