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僕の力は召喚でした

まず、常識として1つ。

ここでは満12歳までに遅かれ早かれ各々に特別な力が与えられる。それが肉体的に他種族に大きく劣る人類種への祝福であった。




「た、助けッ!ハアハア…!!」

少年ピーボ・エルヴィオは春の山菜を採りに近くの山「ミシ山」に来ていたが、運悪く小型の野良犬の尾を踏み齢九才にして人生の危機と相対していた。

もうすぐ大好きな父の誕生日であるので、父の好物である「ゼンマウ」という山菜を秘密でプレゼントしようと山に来たところの災難である。


「ウァウ!ヴゥゥ…ワン!」

犬からすれば痛みに対する憂さ晴らし、本気で殺しはしないが気が晴れるまで遊んで死んでいてもどうと言うことはない。

が、ピーボからすれば犬に体格はいくぶんか勝っていても相手は牙をもち、爪で襲いかかってくる脅威であるし、なによりピーボはまだ力を与えられていなかった。


走る走る。速度も小回りもスタミナも上の相手から慣れない山道を逃げる。せめて足を取られないように刹那の間に必死に道を選び逃げるが、


「うっ!うわぁ!」


木の葉の下にわずかに流れる湧き水により、踏みつけた落ち葉が滑り体勢を崩して仰向けに倒れてしまった。

正面に回り込む犬、絶対絶命、牙を剥き襲いかかる。

ピーボは本能から急所は腕で守る。腕に噛みつかれるか、足に噛みつかれるか。ギュッと目を瞑り


「誰か、助けて!」


「■■■■■■!」


数秒のうち、違和感。今にも襲いかからんとしていた犬が来ない、恐る恐る目を開けるとそこには1匹のヤギがいた。いや、ヤギのような何か。その先には、まさに尻尾を巻いて逃げるという言葉がふさわしい逃げっぷりの犬の後ろ姿がある。

「■■■■」

目の前のヤギが話しかけてくる。しかしそいつは灰色の毛並みをして二足歩行。手にはピーボの胴くらいもある棍棒が握られていて、

「■■■■■■■■!」

訳のわからない鳴き声をあげている。安堵と混乱からピーボは気を失った。




目が覚めるとそこは自分の家の天井だった。

にゅっと横からヤギの顔が覗くと、びっくりして起き上がってしまった

「うわぁぁっ!っ痛い!」

頭と頭が、ぶつかり痛みで少し冷静になるとそのヤギ人間は右手の手のひらを向けて上下にふっていて、左手には水の入ったコップが握られている。

「■■■■、■■!」

手は、人間と同じなんだ。

そんな事を思いながらあたふたしたようなヤギ人間は必死にコップを押し出してくる。それを見て僕は悪いやつじゃないような気がして、コップを受け取り水を飲むとそれを見たヤギ人間が表情を変えたような気がした。それが喜びなのかなんの表情なのかはわからないが。

「おお!目が覚めたか!」

「お父さん!」

父はグルム・エルヴィオ。樹木や植物の一括伐採及び一括加工の力を授かりそれを家業にしている、自慢の父親だ。見てみるとその手には小さなバケツが握られていて、中には細かくしてある野菜や穀物入っていた。

それをヤギ人間に渡すと親しみを込めた笑顔で頭を撫でている。

と、こちらを向き怒りの形相で

「1人で山に行っては行けないと、忘れたのか!」

と、説教が始まってしまった。

説教のなかで、ヤギ人間が僕を抱えて連れてきてくれたこと、どうやら最初に訪れたのが隣の村でそこで身振り手振りでどうにか意思を伝えてここまで連れてきてくれたことを言っていた。良い奴みたい



一通りの説教が終わり、父はあとはお前の問題だぞ、と僕をヤギ人間の方に向かせた。

さて、一難さってまた一難。実際問題こいつは何なんだろう?

大方僕の力なんではないかなと、想像はつくがどんな力なのか具体的にはわからない。

ともかく感謝の気持ちを伝えようと思い身振り手振りで伝えてみる。ガッツポーズで、元気だよ!握手をして、ありがとう!笑顔を見せて、嬉しい!

思い付く限りしてみると、ヤギ人間も表情を変えた気がした。これがヤギ人間の笑顔なのかな?

「■■■■■!■■■」

うん!伝わった気がする

するとヤギ人間から小さな光がこちらに向かって、ふよふよと飛んできた。意図して飛ばしてるみたいだ。それをヤギ人間を信じて受け入れる。ここまでの行動を見れば信じていいよね!見た目はともかく!父さんも見守っている。

それが僕に吸い込まれる。すると、


「ワタクシの忠義を受け入れて頂きありがとうございマス!」

「しゃべったぁぁぁ!」

「いえいえ、ワタクシはずっと語りかけていたのですが、やはり言語の違いがありマシて、魂の繋がりをもってしてやっと!意思を伝えることができマシた!」


そういうヤギ人間の顔はさっきよりも表情豊かにみえる。いまは笑顔だ確実に。


「ふぅ…ふぅ…それで、あなたは、誰?」

「はい!ワタクシ、貴方様のお力に、と召喚に応じマシた!」


ヤギ人間、「ゴートマン」と言うらしい。彼が言うには僕が得た力は「召喚門」の力と「特殊魅了」の力らしい。唐突過ぎて理解が追い付かないが異界からこちらへの門を作る力と、特定の相手に発揮される魅了の力とのこと。


力に目覚めた人間は目覚めた瞬間からあたかもその力の使い方が生まれ持ったものと遜色ないほど自然に馴染む。当たり前に腕が2本使えるように。意識しなくても倒れず立って歩けるように。

極々希に数年経ってから能力に気づく者もいるが。

ピーボはその説明と自分の感覚に齟齬が無いことを感じとる。


ゴートマンの話を聞いているとグルムが怪訝そうな顔でこう言う

「お前は、そのヤギの言っている事がわかるのか?」

驚きだった。自分以外には意思の疎通が出来ていなかったらしい。


「お父さんにはわからないの?」

「ああ、鳴き声にしか聞こえないな」

「そうでショウ。魂の繋がりがあって初めて言語を越えることが出来るのデス!」

「そうなんだ。今は僕にしかわからないんだね」


少し寂しいような気持ちになった。




幸いにも、ゴートマンはうちに住むことになった。力仕事が出来て、うちで採れる野菜などが主食として申し分ないからだ。


他にも数人、召喚に応じでくれた。ゴートマンがさらに二人、月兎人間「ラビットマン」二人、牛人間「ミノタウロス」一人、である。


70人ほどが暮らすこの村「イータマ村」には医者がいない。馬車で五時間ほどの街まで行かないと観てもらてない状況であったが、治癒魔法が使えるラビットマンは受け入れられた。

また、ゴートマンとミノタウロスは働き手である。ミノタウロスは優れた膂力でもって、より大きな力仕事を。

ゴートマンは以外と手先が器用で加工作業などを手伝ってもらっていた。


僕の召喚した者達が父の手助けになっていることが嬉しかった。

そして、もう1つ気づいたことがあった。それは僕の召喚術は普通の召喚術とは違うらしい。通常、召喚士は本人の魔力で召喚物を作り上げるものらしい。だが、僕の場合は召喚門を作るのみ、門を通じて向こうから来てくれるのだ!何が違うかというと、召喚に応じてくれればどんな召喚物だろうと門を作る分の魔力だけあれば良いので燃費がすこぶる良い。また、維持にかかる魔力が0なので通常の召喚術とは似ていても全く違うものだそうだ。



ゴートマンに聞いたところ門の向こうは魔物界、通称「魔界」と言うそうで、そこでの生物は魔人や魔物と言うそうだ。

僕は自分の力で働き手が増えるのが嬉しくて、何度も召喚を続けた。




それが僕の人生を取り返しのつかないものにしてしまうとも知らずに。

初投稿です(´ε`;)

見てくれる人がいたら頑張れます( ̄▽ ̄;)

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