2−8
ユウトはその様子を見ても微動だにしなかった。
好きにしろとも言いたげだった。
ユキコはそんなユウトをすこし揺さぶりながら言う。
「触ってみるだけ触ってみればいいじゃない。
もしかしたら治っちゃうかもしれないよ?」
「……わかったよ」
ユウトは眉をひそめながらもゆっくりと獣に近づく。
獣は鎮静剤により深く眠っている。
ゆっくりと獣の手にあたる部分に手を伸ばす。
「じゃあ、さわるぞ?」
「うん」
ユキコ、ミヤコ、エルザ、クリスはゴクリと唾を飲み込む。
「……………………おら」
ユウトはとんっと獣に触れた。
途端に獣からまばゆい光が溢れ出す。
同時に鎮静剤で眠いっていたはずの獣はギンッっと目を見開くと口を大きく開けて叫び出した。
「あああああああああああああああああああああああああああああ」
「一体何がおきてるの!!!!」
両手で目を覆い光から目を守っていたミヤコは驚く。
この治療法でも痛いものは痛いらしい。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 超眩しい!!!!」
ユキコはそう叫ぶ。
だが、顔を覆うにはユウトに肩を貸しているせいで片手しかない!
「なんだ!?!?!? 俺の知っているものなのか!?!?」
ユウトは大きな声で叫んでいる。
まばゆい光のせいで顔が見えないが相当驚いている表情を浮かべているに違いない。
「すごい………!!!!」
ミヤコは獣が治る様子を見ようと必死だった。
うっすらと見える範囲で、ミヤコは獣が徐々に人へと戻るプロセスを見ていた。
獣らしい骨格が人の骨格へと戻り、表面を埋め尽くすように生えていた毛は収まり人らしい、全身が薄い体毛になる。
獣の頃に培っていた筋肉が人体にそのまま反映されている。
全身に見事な筋肉がついている。
全身の傷跡がこれまでの生活の壮絶さを物語っている。
一つは心臓のすぐ横を爪のような鋭利なもので切り裂かれた傷が残っている。
間違いなく命を削られるような戦いをしてきたことを示している傷跡だった。
ミヤコは獣の肉体のボロボロさを見て驚く。
自然界でこれだけ傷をつけてしまうと、どこかの段階で傷から菌が入ってしまったり、傷だらけの時に血の跡を探知されて殺されるのだが。
相当強い個体だったに違いない。
ミヤコは話しかけようとユウト、ユキコを見る。
二人は元獣の男を見て固まっていた。
「えっ、何で……?」
「どう言うことなんだ……??」
二人の表情は一言で説明できないほど複雑だった。
喜びもあり、悲しみもあり、そして恐怖すらあった。
ユキコは目に涙をためているがそれをどう発散させたらいいのか迷っているようだった。
「ね、ねぇユウト、これ、どう言う意味だと思う……?」
「まったく、わからない……。
何が起きているんだ……?
一体、この国で何が起きているんだ………!?!?
こいつは一体誰なんだ!? いや、あいつがおかしいのか!?!?!?
どうして、どうしてこんなところにっっ!!!!」
ユウトは元獣の男を凝視して叫ぶ。
「どうしてここに、カントがいるんだぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?」
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第二章はここまでです。
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