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零話
あるところに殺人鬼がいた。殺せぬ者などなく、殺せぬ物などなく、あらゆる方法であらゆる人物を平等に殺し尽くした殺人鬼の中の殺人鬼。しかし、そんな殺人鬼の魔の手を逃れた十二人の少年少女が存在した。国籍も生い立ちもバラバラな彼らを指して人々はこうざわめく。誰よりも生き残る才能を持っていた勇敢な子どもたちだからこそ助かったに違いないと。
だけど、そんなのは全て全て徹頭徹尾大間違いだと人々は知ることになる。なぜなら十年以内に、彼ら全員がひとり残らず殺人鬼と成り果てたのだから。
生きる才能があったからではなく、殺す才能を理解できたから生き残った十二人の殺人奇術師。
これは、そんな彼らが中心の物語。