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第12話 宇宙人と文学

宇宙人ともブックトーク出来たのなら

こないだ家に宇宙人が来た。

僕がドアを開けると玄関に彼(もしくは彼女)は立っていていきなり


「君の星で最高に粋な本はなに」

と質問してきた。


僕はこの質問に対して少し考えてしまった。まずここ数十年で書かれた本は除外した。最近の本が嫌いなわけじゃないし、面白い本だって沢山有ると思うけど、時代に洗練され今もまだ僕達に読まれ続けている本がこの質問の答えにふさわしいと思ったからだ。


「ハムレットかカラマーゾフの兄弟だと思うけど」

「それここにある?」

「もちろん」


僕はドストエフスキーの江川卓訳を持っている。古本屋さんを歩き回って見つけた奴だ。宇宙人は家の中に勝手に入って、僕の本棚をジロジロみる。僕は彼の後からついていきハムレットとカラマーゾフの兄弟を本棚から見つけ出して彼に渡す。彼は受け取ると何も言わず玄関から出て行った。


一週間後、僕の家のインターホンが鳴る。玄関を開けると宇宙人が本を持って立っていた。

「もう読んだの」

「うん」



そう言うと家の中に入って本棚に返した。

「ねぇ君ハムレットは行動派だとおもう?それとも中々親の仇を取れない

慎重派だと思う?」

宇宙人にしてはなかなか良い質問だ。

僕は冷蔵庫からオレンジジュースを取りコップに注ぐと宇宙人に渡し、ハムレットの性格とカラマーゾフの兄弟について話し合った。彼は話しながらリュックからマクドナルドの紙袋を取り出してチキンクリスプを食べ始めた

「宇宙人もマクドナルド好きなの?」

「チキンクリスプは絶品だね」

「そう」


その日は彼にモームのお菓子とビールを貸した。それから宇宙人は毎週日曜日の朝10時にやって来てリュックに読み終わった本とチキンクリスプ3つを一緒に入れてやって来た(だから彼から本を返してもらうといつもチキン臭かった)。そして読み終わった本についていくつか質問をしてそして最後にいくつか本を借りて帰って行った

(彼は本を読むのが恐ろしく早かったどんな本でも一週間でよんだ)。



「なんで地球に来たの?」

「んーなんか何もかも嫌になったんだ。」

「宇宙人も大変なんだね」

「うん」

「家出みたいもの?」

「うーん」

「失恋?」

「まーそんなとこだね」

「夏目漱石の鉱夫みたいだね」

そう言うと宇宙人は笑った。


「鉱夫の主人公は足尾銅山に入って何も得なかったけど君は地球に来て少なくとも1つは学んでるよ」

そう言うと僕は彼の右耳を指差した、

彼は2回目の来訪以来右耳に耳栓をしている。

「それハムレットを読んだからだろ?

宇宙人も暗殺される事があるの?」

僕が笑いながらいうと

彼は真面目な顔して

「あるよ場合によっては」

と答えた。


ハムレットを読んで我々が

得られる最大の教訓は


「寝る時には耳栓をしたほうがいい」


これで十分だ。


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