表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『有色』と『  』のA mix  作者: 金木犀
自らの色
52/53

捌:夏、それはとても悠々と過ぎて行く。――続・参。

次話投稿しました!!


お付き合いください!!

日時 同日。午後一時過ぎ。 場所 第一(だいいち)能力(のうりょく)混在(こんざい)学園(がくえん)特別(とくべつ)施設(しせつ)(ひいらぎ)』。



 目的地を目指し始めたのが、約五時間前。

 僕ら三人の目の前には大きく立派な旅館風建造物が建っているが、その凄さにこれまでの疲れが吹き飛んでいく。

「……マジかよ」

「これが私たちの合宿場ですか……知らない人が立ち寄れば高級旅館と間違えそうですね」

「はぁ、腰が痛い。もー、嫌だ。休みたい。ずっと金だけもらって休みたい」

 見上げるほどの大きな建物に疲れが吹き飛んだのは僕と佐伯だけのようで、担任は荷物を車のトランクから降ろせと、疲れ混じりに言うと腰を撫でている。

「お疲れ様です。先生」

「おー、佐伯は私のことを気遣ってくれるのか。全く、これだから始め反抗的だった生徒は可愛んだよな」

「先生、おつ――」

「ああ、『お疲れさま』なんて言葉。お前からはいいわ。――はい、代わりに私の荷物を」

 どっしりと重い鞄に僕の言葉が踏み潰されてしまう。

 三日分の何が入ってんのこれ? というぐらいに重い。

「ぐ……ちょ、僕の荷物はどうするんですか……これじゃあ、自分の分が持てない――」

「ったく、男なのにこれぐらいの荷物も持てないのか……ほれ、車の鍵。白木の分は後で運び出せば良いだろう? ――よし、それじゃ。暑苦しく堅苦しい楽しさは各々で勝ち取れ合宿の始まりだ」

 てけてけと、先を歩いていく佐伯と担任。

「いや、ほんとこれ何が入ってんの。――いや、待って……お二人さん」

 追いかける僕の足取りはこれから始まる合宿に相当するぐらい重苦しかった。


 ひとまず寝泊まりする部屋に荷物を置き(当然、もう一度僕は車に戻り自分の荷物を取りに行った)、今回の合宿の目的である会議が行われる部屋へと向かった。

 僕らを除く参加メンバーは既に学園の所有するマイクロバスで一時間前に到着しており僕らを待っているのだと言う。

 木製の長い廊下、庭に見えるのは綺麗な池と手入れされている木々。

 これが学園の施設でも、ただただ楽しいお泊り会だったとしたら最高の場所なのだろうが、歩いた先に見える『会議室(松の間)』という文字がテンションを少しばかり下げる。

「はあ、私にしてみればこんな合宿。ただのガキのお()りにしかならないんだがな」

 ボソッと呟いた担任の言葉に余計、テンションが下がった所で佐伯が会議室の扉を開けた。

 佐伯を先頭にいざ中に入ると、そこには顔見知りばかりが円テーブルに座り待機している姿が目に映った。

 首脳会談。そんな言葉が脳裏を埋め尽くす。

 顔見知りだと言うのに、今日は皆、格が違う。

「おー‼ やっと到着しましたか能力部‼ 首を長くして待っていましたよ‼」

 相変わらずの笑顔で僕らを迎え入れてくれたのは丹川 心優だった。

 丹川のその態度に僕は少しばかり安堵する。

「能力部所属、佐伯 結菜です。到着が遅れてしまいすみません。――皆さん、この三日間よろしくお願いします」

 堅苦しい空間故に堅苦しくなってしまう佐伯の挨拶に僕も雰囲気を合わせるかのよう丁寧に名を名乗り、挨拶をする。

 早速、丹川から席に座るよう促されたが、その空席の二つはちょうど生徒会長を目の前に置く席だった。

 僕と佐伯は大人しく着席し、担任は円卓から離れた所に用意されているパイプ椅子に腰を降ろす。

 ギシッと軋むパイプの音がこの合宿の始まりを告げる鐘の代わりとなる。

「――これでみんな揃ったということだ。よし。それでは第一回、生徒会役員加え能力部『柊』会議を行う」

 生徒会長が直々に指揮を執る『柊』会議が遂に始まった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


感想・評価・ブクマの登録の程もよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ