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『有色』と『  』のA mix  作者: 金木犀
偽りの色
49/53

漆:人の想いはそれぞれで、それぞれが幸せの在り方。――終了。

漆パート終了です。


最後までお付き合いください。


時刻は部活終了時間に迫っている。

 居座っていた重苦しい雰囲気は既にどこかに行ってしまっていて、僕は窓の施錠を確かめていた。

「……なあ、白木」

「なんだ?」

「俺、最低だよな……」

「――ああ、本当に最低だ」

 会話は続くことなく、それでも僕と政所は帰ろうともしない。いつでも部室を施錠して帰宅する準備は整っていると言うのに、何故だか足がその場に留まろうとする。

「生徒会ってのは部活終了時間を過ぎても残っている生徒に対して、早く帰宅するように催促するもんじゃないのか?」

「……そう、なんだけどさ」

 政所の手には綺麗に整えられた折り畳み傘が強く握られていた。それが何を意味するのか、僕は知っている。

 古国府のこと、『特色』のこと、政所のこと、そして佐伯のことだって理解している。全て知っているからこそ、僕は仲裁にも入ることが出来なかった。

 だがそれは、政所の覚悟を踏み躙る行為――男が腹を割って決めたことに僕なんかが付け入る隙間など一ミリもない。

「俺の覚悟か……そんなカッコいいもんじゃねーよ」

「ほんと、人の心が読み取れるってのは――」

 無理な同情は逆に失礼だと、僕は口数を減らす。元から少ない分、口を開くことすらしない。

 その雰囲気というか、その意図を読み取った政所は左の頬を擦りながら部室を出ようとする。

「――政所」

 僕は呼び止めて、心で呟く。

 本音で喋るから、今から政所も本音で答えろ。

 ――政所、僕はお前のそういう所が嫌いだ。相手を気遣って相手を傷つける。同時にそれ以上に自分が傷つく。相手の心が読み取れるお前になら嘘は通用しない。だが、お前の嘘は嘘のまま進んでいくんだ。それを今後考えて行動して欲しい。これ以上、お前自身傷つかないように――だから。


「――だから、僕はお前が嫌いだ」

 長く降り続いた雨も小雨になり、分厚い雲の隙間からほんの僅かな光が漏れる。政所の手にある折り畳み傘は今日、使い道は無いのだろう。




「白木――嘘つくのってこんなにも……辛いんだな……」


 





嘘が通用しない人の視点から見る嘘は裏返せば真実となり、嘘にはならない。今まで真実しか知らない政所にその身をもって痛感した嘘に今回の物語は幕を閉じる。

 終わりが幸せな物語は一握りで、大半誰かが泣いている。依頼であっても解決はしない。それで納得しなくてはならないからこそ、人と人の混ざり合いに意味があるのだと、



僕は水たまりを強く踏みつけて歩いた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


漆パートを終え、思えば時は短くも長くも過ぎていました。

この物語を思い付き、真っ白な画面に文字をひたすら打ち始めたのは去年の夏。

今年に入り、「なろう」へ投稿させていただき五ヶ月近くが経ちました。


拙い文章ながら

ここまでお付き合い頂いた読者様には

感謝の気持ちでいっぱいです。


たまに書いていて

何を伝えたいのか、何を思わせたいのか、何を考えてもらいたいのか。

そのような事を考えて文字を打つ指が止まってしまう時があります。


書籍化される方々の構成力、表現力、語彙力。

人の心を動かすことの出来る魔法のような活字の配置に僕は

自分の無力さに陥る事もあります。


なんのために「なろう」へ投稿させて頂いているのか。

果たして意味があるのだろうか。


思えば、それは自分の自己満足。

物語を書いただけでは収まり切れないエゴに皆様を付き合わせているのではないのか。


しかし、もう書くのを止められない自分がいます。

最初は軽い気持ちだったのが、僕の日常となってしまった執筆。

それでも読んでくださる読者様が存在するありがたさ。


つまらない。そのような言葉はあって当然。

面白いと自分が思い続けるまでこの物語は続けていきたい。


あとがきに

なにを書いているのか。自分でも分かりませんが、

これまでの感謝の気持ちを込めて書かせていただきました。


第捌パートは早くても八月に開始したいと思っております。

『夏』を僕なりに背景として

白木たちの物語を紡いでいきたいと強く思っております。


僕の夢が叶うその時まで、

ここまで熱中してやってこれた執筆活動を無駄にしない為、

皆さまの心に僕の描く物語を通して伝えられることが出来るまで、

頑張り続けたいと思います。


長いあとがき失礼します。

第捌パートを楽しみにしていてくださると共にこれからも変わらずお付き合い頂けましたら幸いです。

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