陸:哀れと、内緒事。――終了。
陸パート終了です!
多少、短くはなりましたが
お付き合いください!
日時 六月五日。午後四時過ぎ。 場所 第一能力混在学園教室棟一階能力部部室。
「白木君、なんだか今日は元気がないですね。――はて、何かあったのですか?」
「……知っているだろ」
なに、佐伯というやつはこんなにも意地の悪いやつだったのか? 僕の元気のない理由はクラスメイトなら誰でもが知っていることであろう。
教室に入り、席に着いたと思ったら角刈りに一発殴られ、クラス中には僕と火売のことが既に広まっているという現実を知り、火売には気まずい為に話し掛けられないと思っていたら、変わらない笑顔で火売は僕に挨拶をするではないか。
自分の感情が幼過ぎたのか、火売には感謝しなくてはならない。
全く、昨日から今日に掛けては三年間程の時間が過ぎたように感じる。
佐伯も皆に便乗して哀れな僕を笑っているのだろう。
「……すみません、少し意地悪をしたくなりましたから。でも――良かったです」
「良かった? 哀れだった僕が哀れだと気付けたことか?」
「いいえ、そうではありません。確かに私が忠告したのに、と昨日は思いましたが、哀れに気付けたのは白木君だけじゃなかったってことです」
「僕だけじゃない……? 僕のほかに哀れだった奴なんているのか? そんな奴がいるのであれば、この哀れを分かち合って傷口を舐め合って過ごしたいのだが」
佐伯は相変わらず肘をついて外を眺めている。そのあと、佐伯は僕に言葉を返すことは無かった。
結局、僕と哀れを分かち合う人が誰だったのかを知ることは無い――。
しかし、外を眺める佐伯の表情がいつもより穏やかに優しく、透明に見えたのは佐伯の機嫌が普段より良かったのか、それとも僕の見方が変わったのか。
それも同じ様にこの瞬間には分かるはずも無い哀れな僕の想いなんだと、そう思う――。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
陸パートも終了し、
続いては漆パート開始します。
僕の描く物語は
展開の速さに読者の皆様がついてこれてるか心配です。
内容の薄さ、各々のキャラクターの薄さなど感じるかもしれません……
が、僕の描く物語の特徴として現実味を少しでも残したいと言う想いもあります。
あ、これで終わりなんだ。
描かないだけで、白木たちの物語は進んでいます。
出来るだけ濃いものへ変えて行こうと努力は精一杯します。
ですが、それを踏まえて、軽い気持ちでお付き合い・読んでくださると幸いです!




