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『有色』と『  』のA mix  作者: 金木犀
小さな色
32/53

伍:――確かな存在、奥深い場所へ。――続・拾壱。

次話投稿しました!!


お付き合いください!!

政所(まどころ) 未来(みらい)。隣のクラスの伍組の生徒であり、生徒会に所属。何度も言うが見た目は爽やかなイケメン。バレンタインデーには虫歯になるほどチョコレートを貰ったであろうその風格の裏には人の気持ちも考えずに何でも口走る点あり。

 手助けをしてやろう。そんな投げ掛けに僕と佐伯中学生は相談し、手伝ってもらうことにした。政所の前では嘘は存在しない。加えて色々なことが分かってしまうその能力についても僕は詳しく話を聞こうとしたが、政所は否定する。

 俺は有色じゃない。

 そのような能力を持っていて無色だと言い張るのか。政所ではないがいくら僕でも、それは無理があるだろと嘘を暴いたつもりだったが、なんとそれは本当だった。

 政所 未来は相当なお節介野郎だと言う。困っている人を見たらどうしても助けたい。些細なことでも重大なことでも解決してあげたい。

 そのような人格から体質として、困っている人を取り巻く全てが手に取るように分かってしまうのだと言う。

 担任、恋愛相談に来た彼女に続いて無色の体質者。やはり、侮れない。

 そんな政所に言わせてみれば、今回の佐伯に起きた問題など朝飯前よりも前に食えるほど簡単に解決できるらしい。

 朝飯前よりも前に食える飯とは何なのか気にはなったが、あえて口には出さない。どうせ、口に出さずとも政所には分かっているのだから。


「とまあ、そろそろ部活動も終わる時間だ。ここら辺で結菜ちゃんに能力を掛けた張本人を呼んでこようかな」

 そう言って何処かへ行こうとする政所を止めて、

「もう分かっているのか?」

「あーそうとも、白木に声を掛けた時点で分かってたさ。――そ、れ、と、俺はチョコレート苦手だ」

 お得意の笑顔で政所は向かって行った。

 繋ぎであるキャラ説明までもあいつには分かるのか。――や、は、り、恥ずかしい。


 政所が見えなくなってすぐのこと、グイグイと僕の袖を引っ張る佐伯中学生にハテナを向けた。

 何か言いたいのだろうか。それでも口は開かない。

「……どうしたんだ? 何かあったのか?」

 ハテナの数を増やし佐伯中学生に再度問うた。

 目線を逸らして申し訳なさそうに、ただでさえ小さく脆そうなのに小声で放った佐伯中学生の言葉に僕は思わず見惚れてしまった。

 別に愛の言葉でも感謝の言葉でも無く、ただそれはすごく切ないことなのに、僕は息を飲んでしまった。

 桜が散る儚さに日が落ちる喪失感、それに似たような感情が僕の全てを包み込んだのだ。

「――それは」

 そうして僕は、その先を言うことは無かった。

 言えなかった。

 それを否定できる確信も僕にはない。ここで僕が否定するのは無責任故のことであろう。

 黙り込んだ僕らの元へ、政所が一人の女子生徒を連れて戻って来た頃には、僕の隣にいる佐伯ではない佐伯、佐伯中学生と表現していた少女の表情は無であった。

 政所が連れて来た女子生徒は佐伯中学生に深く頭を下げて謝罪し、全ての経緯を話し始める。


 その女子生徒は有色、推測通りに人を幼児化させる能力があると言う。しかし、そのような能力を行使する機会などそうそうになく、女子生徒自身は自らを無色の生徒と同様に振る舞っていたらしい。

 だが、その能力にはある欠点が存在するのだと、女子生徒は涙交じりにこう語った。

『イライラしていると、ランダムに発動』

 女子生徒は苛立ちの感情が募ると、顔見知りの人間をランダムで一人幼児化させてしまうのだと言う。

 人間を幼児化させたことは分かっていたが、どこの誰なのかは分からない。だから、私を特定することが出来ないのなら逃れようとも考えた。しかし、政所に声を掛けられた時点で諦め謝ることにした。

 実に自分勝手な言い分だとも思ったが、女子生徒の涙、それに何より自分勝手な能力に侵されている女子生徒の気持ちを考えると、自然と怒りは収まった。

 元に戻すことは難なくできる。心配しないで欲しい。

 女子生徒は当たり前に言うが、驚くことに女子生徒は自分の能力を全て把握しきれていなかった。僕も人のことは言えないが、この状況に置いてそれは大事なことである。

 記憶までもが幼児化し元の記憶を失っている。それについては驚きましたが、それでも完璧に元通りになるので安心してください。それでは今この場に居る佐伯はどうなるんだ。


「それは――消えてしまいます」

 未だ学園内にいる生徒を帰宅へと促す最終の放送が入った。

 僕らは速やかに下校しなくてはいけない。

 学校は終わり、また明日始まる。

 繰り返すから、その終わりは寂しく無い。嬉しいとも思ったりした。

 だけど、今は違う。


 佐伯の公欠扱いが適応されるのは明日まで。

僕は隣に佇む少女の表情など確かめずに手を引いた。

「また、明日」

 政所と女子生徒に僕はそう言い残し、帰宅する。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


どうでしょうか、先が読めてしまう単純な展開でしょうか・・・・


感想をいただいた方から、キャラクター同士の会話が少なく

感情移入が難しと的確な指摘を貰って、意識しております。


自分の為、褒めの言葉やアドバイスなど頂けると凄く助かります!!


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