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『有色』と『  』のA mix  作者: 金木犀
小さな色
31/53

伍:――確かな存在、奥深い場所へ。――続・拾。

次話更新しました!!


お付き合いください!!

日時 五月十四日。午後五時半過ぎ。 場所 第一(だいいち)能力(のうりょく)混在(こんざい)学園(がくえん)教室棟(きょうしつとう)一階(いっかい)能力部(のうりょくぶ)部室(ぶしつ)

                        佐伯公欠扱い終了まで残り二日。

 手掛かりを探し始めて一時間が過ぎ、今日も昨日と変わらずの状況にため息しか出てこない。体力によほどの自信がある訳でもないから、体は正直に悲鳴を上げている。

 自分のことだからと佐伯中学生は『疲れた』等と文句を吐かないが、当然疲れは溜まってきているだろう。

 担任に助けを求めようとも考えたが、佐伯中学生と担任を合わせるのには抵抗があり最上級に切羽詰まっている状況では無い為、今はまだ行動に移さない。

 だが、この状況からその可能性も後に十分考えられるだろうから、対策を練っていなくてはいけないのだろう。

 僕に探索能力でもあれば一瞬にして打破し解決へと導けるのだろうが、現実は今飲んでいるカフェオレのように甘くは無い。

 主人公チート能力持ちのライトノベル小説だとしたのなら、ここら辺りで僕の未知な力が覚醒して、サクサクと進んでいくはずなのに、この物語の主人公はチート持ちではないのか? 

 ――そう、ないのだ。そもそも、僕が主人公であるかも曖昧である。

 このような冴えない男子高校生が主人公のライトノベルなど、少し捻った性格や、実は~的な設定で成り立っているようなもの、僕の場合は何もない。

 取り柄が無いのが取り柄。――いや、僕にとってそれは悪口でしかない。

 強いて言うのなら、このように独り言、地の文というのが多いという点だけ。答えの出ない自問自答を繰り返し、会話はろくにしない。

 もしも、この物語がアニメ化されたのなら、それはそれは僕の声優さんは可哀相であろう。雑な言葉を言わされるだけの、そんなお仕事。

 あーあ、想像や妄想に嫌気が差すレベルだ。

 そんなことをしている場合ではないと言うのに――。


「よし、残りの時間も体に鞭打って頑張りますか」

 座り慣れていると言っても過言ではないベンチから重たい腰を上げ、背伸びして気合を入れ直す。隣でオレンジジュースを飲んでいた佐伯中学生も僕につられて立ち上がった。

 手掛かりを探すなんて言っても、やっていることは聞き回っているだけ。すれ違う人が毎回違う商店街とかでは流石にないから、尋ねる回数も限られてくる。

 自ら詰み将棋へと運んでいるような感覚とも言えば良いだろうか。手掛かりを探そうとすればするほど遠ざかっていくのだ。

 悲しいバラードの歌詞みたいなことを言ってしまったが、それも今は恥じることない。

 恥じる暇があるのなら、僕は尋ね続けよう。

「ちょーっと、君たちー?」

 そう、このように声を掛けて――。って、え?

 声を掛け続けては来たが、向うから僕らに声を掛けてくるだなんて、もしかして手掛かりが自ら――と、浅はかな期待はしない。

 僕は分かっている。僕らに声を掛けてくる人がどんな人たちなのか。ということを。

 僕らに声を掛けてきたのは男子生徒。爽やかなイケメンってイラッとくる。

 男子生徒は髪を風になびかせ、見た目通り爽やかにこう言った。

「生徒会のものだけど」

「でしょうね」

 僕はその爽やかに鬱陶さで返した。あたかもダルそうに――いや実際ダルい。

「で、でしょうねって……その、流れを断ち切られたような気がしたが……ごほん。えっと、俺は政所(まどころ) 未来(みらい)だ。声を掛けさせてもらったのは、君たちが昨日からやたらと誰かを探し回っているらしいとの情報が入って気になったからだ。――君らの名前を聞いて良いか?」

「……白木 月乃、そしてこっちが僕の妹の――ゆ、結菜、だ」

 ひやぁ、結菜とか下の名前を呼んじゃったよ。なんだか、恥ずかしい。

「白木 月乃――なんだか聞いたことのある名前だな……それで、そっちが白木の妹か。ほーん、兄貴に似らず可愛い顔してるじゃないか」

「……んで、用は何ですかね?」

 物珍しそうにじっろじろと舐めまわすよう佐伯中学生を眺める政所に、一発制裁を食らわせてやろうかとも思ったが、生徒会の方に暴力など万歳、謹慎確定である。

 大人の対応をする僕は、大人である。

「用って言うか……そうだな。手助け? そう、手助けに来たんだよ」

「手助け……?」

「そうそう、白木たちは誰かを探して回っているんだろ? 昨日からずーっと。――そしてその表情を見る限り、今日も収穫は無し。これからどうしようかなって感じだろ? 違うか?」

「……そうだ、大体そんな感じだ」

「加えて言わせてもらうと――『担任に相談するのは抵抗がある。』『取り柄が無いのが取り柄。』『想像や妄想に嫌気が差すレベル。』『手掛かりを探そうとすればするほど遠ざかっていく。』ってな、感じだろ?」

 淡々と出てくるその言葉たちに、佐伯中学生は首を傾げ理解不能であることが見受けられるが、僕は額から変な汗が滲み出る。

「そ、し、て、爽やかなイケメンと褒めてくれた俺に一発制裁を食らわせてやろうかな? ってことだ。――でも暴力は良くないぜ、白木?」

 こいつ……有色か。

 人の恥ずかしい中身をサラサラっと爽やかに言い放つ政所に僕は警戒心を持つ。政所が有色で人の心が読める能力の持ち主であると断言することは出来ないが、少なからず僕は恥ずかしい目に遭わされている。

 敵。でもないのであろうか、そのような政所の前では先ほどの自己紹介など意味が無かった。

「そうそう、その通り。早速、俺に対する扱いが分かってきてんじゃん。――女の子を下の生で呼ぶのってやっぱり恥ずかしいよなぁ」

 パンパン、政所は僕の肩を馴れ馴れしく且つフレンドリーに叩く。

 こいつの前では嘘など存在することが出来ないのだ。

「んで、政所。お前の能力なのかは知らないが、僕らの手助けをするって言うのはつまり、どういうことなんだ? さっきから僕の羞恥を外部に晒し続けるだけの困ったさんなんだが」

 他人の気持ちも考えずにペラペラとしゃべり続けるその態度に、さすがの僕でも多少の苛立ちは抱く。

 そして未だにポカンとしている佐伯中学生を見ては、ニコッと微笑んだ。

「だから、手助けしてあげるんだよ。――佐伯 結菜ちゃんが何者かによって佐伯中学生へと変身させられた問題をね?」

 分かっている佐伯、お前が言いたいことは十分に分かっている。

 だから、そんな分かりやすくあたふたしないでくれ。ピンチの時のド○えもんみたいだ。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


このパート、長くなりそうですが

最後までお付き合いいただけましたら

幸いです!


有色の能力。

無色の体質。


白黒つけられない、そんな曖昧な色・・・・


僕は何を言っているのだろうか・・・・w


余談になりましたが、

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