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『有色』と『  』のA mix  作者: 金木犀
知らない色
10/53

弐:危ない一人歩き。ーー開始。

弐パートのあたる物語を更新しました!!


お付き合いください!

日時 四月二十七日。午後四時。 場所 第一(だいいち)能力(のうりょく)混在(こんざい)学園(がくえん)教室棟(きょうしつとう)一階(いっかい)能力部(のうりょくぶ)部室(ぶしつ)



 噂話(Gossip)人の噂も七十五日、火のない所に煙は立たぬ、噂をすれば影が差すなど、噂に関連することわざは多数ある。そもそも、噂とはある人の身の上や物事についての確実ではない話の事であり、信憑性は薄い。しかし、例え噂が証明できないのであれば真であれ嘘であれ噂は次第に大きくなり、新たな展開を起こす。それによって信頼は崩れ人間関係すら崩壊する可能性さえも引き起こすのだ。


「怪しい……怪しすぎる‼」

 今日、この部室には依頼を一つ他クラスの生徒が持ってきた。噂に関する依頼……とりあえず、落ち着こうか、ね?

「証拠は……あるのですか? 話を聞く限りでは理解し難いのですが……」

 佐伯はこめかみを押さえ、理解に戸惑っていた。全く仕方ない事である。根も葉もない噂話を鵜呑みにして僕らは行動する訳にはいかないのだから。

「えっと……つまりだな、ある日突然、自分より弓道の腕前が上達した友達を怪しんだ君は、最近学園で噂されている「全能の人」と言う奴の力を借りていると言いたいのか?」

「そーだ! その通りだ‼ 絶対そうに違いない‼ どうせ、あいつの事だ……「全能の人」に頼み込んで力を借りたんだろう……俺から落ちを取りやがって……」

「……落ち?」

「ああ、君たちには分からないか……弓道っていうのは基本、五人一組で団体戦を戦うんだ。一番目に射る人を「大前(おおまえ)」そして、五番目の事を「()ち」って言うんだよ。落ちはチームを勝ちで締めくくる大切なポジションだと俺は思っている。だから俺は一生懸命、仲間との勝利を締めくくりたいと日々の練習を頑張ってきたというのに……あいつはズルをしてそのポジションを俺から奪ったんだ‼ そんな事、俺だけじゃなく同じ仲間にも失礼だと思わないか⁉」

 依頼人の男子生徒は眉間にしわを寄せる。相当、頭にきているらしい。でもまあ、運動部に所属したことがない僕でも気持ちを理解できない訳ではない。何事も努力に付いてくる結果を求めたいのだ。

「あなたの気持ちは十分に理解しました。でも……私たち能力部は具体的に何をしたら良いのですか? そのお友達に説教を? それとも――」

「……「全能の人」というやらを特定して欲しい」

「もし、特定が出来たとして……あなたはどうするのですか?」

「決まっているだろ……ズルしたあいつと「全能の人」をまとめて俺が説教する‼」

「……分かりました。その依頼――私たち能力部が責任を持って受けます」

 二人の間で約束の握手が交わされた。依頼人の男子生徒は「それじゃ、部活へ行って来る」と礼儀よく一礼して部室を去って行った。

「また厄介な依頼を受けたんだな……」

 僕は一気に脱力し、椅子に全体重を掛ける。多少開いている窓から涼しい風が吹き込むが、それを全身に受けても一度、力が抜けた体に元気は戻らない。

「確かに厄介な依頼ですが……「全能の人」白木君はこの噂を知っていますか?」

「……そりゃ知っているよ。今じゃ学園内一有名な話だろう? なんでも、「全能の人」に頼めば叶えてくれる願いがあるらしい」

「叶えてくれる願い……? それでは叶えられない願いもあるような言い方ですが……」

「その通り、「全能の人」って名付いている割には叶えられない願いもあるらしい。それに加えて、金を取るらしいからな……どうせ、有色の生徒の仕業だろうから立派な校則違反だし、どんな能力か分からないが結局は能力部の処罰対象者だな」

 能力行使による金銭問題は校則違反であると、生徒手帳に分かりやすく書いてあるのに果たしてその「全能の人」とは字を読めない人間なのだろうか、ほんとに……んな、わけか。

「うーん、そうですね。でも……叶えられない願いがあるという事が引っかかりますね……叶えられない願い、叶えたくない願い、叶えたが叶えられていないと等しい願い……うーん」

 佐伯は自分の世界へと入って行った。ここで考えて解決するような問題なら、万々歳なのだがな。さーて、僕は僕なりに考えてみますかね。……いや、無理だ。わっけわかんない。

「ともかく僕らは「全能の人」を特定すればいいのだろう? それなら学園の生徒に「全能の人」について聞き込み、そして僕ら自身が「全能の人」に会ってしまえば早いんじゃないのか? 言わば、潜入調査みたいな?」

 おお、その手がありましたね。白木君、カッコいい‼ なんて、言われてみたい。

「確かに……その手がありましたね。白木君、今朝から思っていたのですが、ブレザーの襟が立っていますよ?」

「……それ、遅くない?」

 クラスで誰も言ってくれないし……あ、担任がクスクス僕を見て笑っていると思ったら……くそ‼ 友達がいない自分に腹が立つ‼ 立っている襟を直し、一応チャックが開いていないか股間を確認する。……あぶね、開いてたわ。

「それでは、白木君。私は東の方を聞き込んできます。白木君は西の方をよろしくお願いしますね」

「――了解だ」

 気合を入れて立ち上がった時、気が付く。靴下に穴開いてんじゃん……なんなの、僕。


最後まで読んでいただきありがとうございます。


こつこつと投稿してしていきたいと思っております!

お付き合いください!


また、感想、評価、ブクマの登録の程もよろしくお願いします!

続けて次話更新します。

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