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マグノリア王国サイドストーリー  作者: 麻生あきら
yeehaw!

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yeehaw!

挿絵(By みてみん)

「では、道中お気をつけて」

 

 そう言って、クリス王妃陛下は私たちを見送ってくれた。

 ゆるく編まれた薄紅色がかった金の髪。

 紫色の瞳は二人の子供を持つとは思えない程に、キラキラ輝いて素敵。

 

 シャハルとディルクルム先王陛下が亡くなって一年。

 ようやくマグノリア王国の文官たちで星船の機械を動かせるようになったの。

 

 私とハルトは星船からフローレスへ引っ越せる。

 他の乗組員に遅れる事、千年。

 やっと地上に定住できるわ。

 ああ、長かったなあ。

 

 

 

 その挨拶にハルトと私は王城へ来たの。

 アルドー国王陛下とクリス王妃陛下と会食して、二人は別れを惜しんでくれた。

 クリス王妃陛下は私たちに何かアクセサリーを作ってくださるって。

 

「ハルト様とソフィア様は、ご結婚されるのでしょう? リングはいかが? ああ、でも、イヤーカフの方が宜しいかしら?」

「いえ、でも私たちは平民ですし」

 

 ハルトが遠慮してる。

 気持ちは分からないでもないな。

 ⋯⋯でも、王妃陛下のアクセサリー綺麗なのよね。

 ちょっと欲しいかも。

 

「今は神殿長と聖女様という事でお顔が知れていらっしゃるけれど、時が経ってこちらにいらした時に止められる可能性もありますわ。特別なイヤーカフをお作りしますわ。ね?」

 

 フワフワした風情なのに、夫婦揃って押しが強い。

 そう言われてしまうと断る事も出来ないし、ありがたく貰っちゃおう。

 嬉しい!

 

 あれこれ気を回されて、沢山お土産をいただいた。

 お二人がわざわざお見送りまでしてくれたの。

 畏れ多いなあ。

 

 

 

「ねえ、王妃陛下ってさ」

 

 星船に戻って、ダミー君の淹れたお茶を飲む。

 いつ飲んでも美味しいけど、ダミー君はどうやって覚えたのかしら?

 

 突然口を開いた私に、ハルトが顔を向けた。

 あら? ちょっと口の端が上がってるわよ、ハルト。

 

「気付いた?」

「うん。前にパティがアルドー陛下に聞いたじゃない? 『閣下は聖女様と会っても、私と最初に会った時も何ともなかったんですか?』って」

「『そういうのは、ないね』って言ったね」

 

 ──我が意を得たり。

 そんな顔が滲み出てるよ、ハルト。

 いいでしょう、乗ってあげるわ。

 

「そりゃそうだなって思った。⋯⋯だって、色が少し違うけど、金髪に紫の瞳なんだもん。私とパティに会う前に、もう囚われてるんだもの」

「今でも仲が良いんだよね。凄く」

 

 そうなの。

 クリス王妃陛下と初めて会った時に、これは! って思ったわ。

 そりゃあ、背の高さとか顔立ちとか色々違うけれど、色味が同じなんだもの。

 

 私より赤みがかった金色の髪と、夕闇に近い紫の瞳。

 ああ、魅入られちゃったのねえ、って。

 

「シャハルは、どれだけナルシストなのよ」

 

 

 

「王妃陛下はとても勇敢でしたよ。まだ十五歳の時に、当時の王妃であったクラーワ様を狙った銃弾の盾になったり、被弾されたアルドー国王陛下の止血までなさっていました」

 

 ダミー君が私たちの知らない話をした。

 あんなに小柄で可愛らしいのに、すごいなあ。

 

「なるほど、気の強いところも似てるのか」

 

 なんだと、ハルト。酷いわね。

 さっきよりニヤついてますけど?

 

「誰が気が強いって? それはともかく、言わない方がいいよね?」

「そうだね、言わぬが花だ。国王陛下は気にしそうな人だし」

 

 優しそうだものねえ。

 シャハルの干渉で王妃陛下の事が好きだなんて知ったら、どん底まで落ちていきそう。

 

 

 

「陛下にはシャハルの声は聞こえていないのかしら?」

「少なくとも今はないはずだ。まず最初に『国王の間』のシステムを書き換えたからね。色々干渉したログがあったよ」

 

「アルドー陛下にも?」

「建国祭前にシャハルを大神殿と王都で遊ばせていた間に作業したから、陛下に干渉はしていないよ。ディルクルムが亡くなった時はね」

 

 他の王様は、前の王様が亡くなるとすぐに干渉してきたって言ってたわね。

 まったく面倒なシステム!

 自分の子孫を何だと思ってたのかしらね。シャハルは。

 

「その前は?」

 

 ディー君のフローレスでの一目惚れは干渉があったっぽいけど、アルドー陛下は?

 クリス王妃陛下と一体どこで出会ったのかしら?

 王城なら可能性があるよね?

  

「無かった。と、思う。プライベートを聞き出すのもなんだし。それに、ログを確認するには膨大で」

「そっか。だとしたら、あれね。シャハルの遺伝子、強すぎ」

 

 怖いわー。

 ほんと、どこまでナルシストなのかしらね。シャハル。

 

 

 

「そもそも何故そんなに君に執着したのかな⋯⋯?」

 

 ハルトが首を捻っているけど、確かにね。

 なんなのかしら。

 私のふわっとした未来予知なんて、頭のいいあいつには必要ないよね?

 

「自分と同じ色味だったからじゃないの?」

「それだけなのかな。⋯⋯まあ、今更気にしても仕方ないか」

  

「そ。これから楽しもうよ! まだまだ開拓し放題よ!」

「ははは。逞しいな、君は」

 

 だってさ、うちの家族が移民船に乗ったのは、未知なる土地を開拓するのが目的だったのよ?

 サバイバル最高!

 千年おあずけとか酷いよね!

 

 イヤッフゥゥゥゥ!

いつ出そうか半年待ったネタ晴らしです。

ジワジワと出してきましたが、こんな結果です。

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