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9/12

009

日本中が震えていた。


SNSでも、ニュースでも、街中でも人々は叫んでいた。


「政府は役立たずだ!」

「なぜ司家は止められなかった!?」

「本当に日本最強なのか!?」


中にはこんな声もあった。


「もしハルトがいたら、あの重力の男に勝てたはずだ!」


だが京都は東京から遠すぎた。

ハルトは間に合わなかった。

戦う機会すらなかったのだ。


そして――


世論は完全に司家へと向けられた。


政府の宣言


その日の午後、総司令官がカメラの前に立った。


顔は青ざめていたが、声だけは強く見せようとしていた。


「本日より……

日本政府は MASK BAND を“国家脅威”と正式に認定する。」


続けて言う。


「MASK BAND の構成員を一人倒した者には

一千万円を支給する。


日本英雄部隊は国民を守るためにここにいる。

どうか恐れずにほしい。」


彼の背後には――


日本英雄部隊 … 政府直属の戦士

ハンター協会 … 魔物を倒して報酬を得る独立戦力

各大クランの戦士 … 司家、佐賀家、名護家に仕える精鋭


それぞれの役割は明確だった。


英雄部隊 → 国を守る

ハンター → 危険を倒して金を稼ぐ

クラン戦士 → クラン領を守り、高額の給金を得る

(朝から夜まで警護して金を得る。ハンターのように倒した数で報酬が変わらない)


今、日本中の目標はひとつ――


MASK BAND。


クロウの修行開始


今日もクロウはカマスと訓練していた。


カマスは腕を組み、真剣な表情で言った。


「強くなりたいなら、魔力の扱いを学べ。

魔力ってのは“圧力”だ。

それを常に外へ出し続ければ、身体は強くなる。」


クロウは試した。


体から魔力が弾けた――


――が、ほんの一瞬だけ。


すぐに制御を失い、魔力は煙のように消えた。


カマスはため息をついた。


「魔力を放てば、周りの人間には分かる。

強すぎれば気絶する。」


彼はクロウの額を指で軽く弾く。


「魔力を放ち続けろ。

でも失うな。

人に気づかれない程度で、絶やさず流し続けるんだ。」


クロウは深く息を吸った。


魔力がふっと光り――


……たった2秒。


すぐに消えた。


「うあああっ……むずすぎる……!」


カマスはニヤリと笑う。


「だから訓練するんだ。

ほら、続けろ。」

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