007
巨大な岩の雨が、空中でピタリと止まった。
そして——
バキ…バキバキッ!!
すべての岩が“変形”した。
形がねじれ、縮み、鋭く尖っていく。
それは—
岩の矢。
10本?
違う。
100本?
違う。
1000本。
すべてが地面を狙っている。
ダイゴは指を鳴らした。
「オートファイア」
空が悲鳴を上げる。
シュララララァァァ!!!
千本の岩矢が一斉に放たれ、
連続射撃の嵐となって大地を切り裂いた。
兵たちは吹き飛び、
壁は崩れ、
地面は割れた。
ほとんどの護衛は一瞬で倒された。
だが魔法使いたちはすぐに反応した。
「バリアフォーメーション!!」
巨大な結界が展開され、生き残りを包み込む。
土煙が晴れていく。
ダイゴはニヤリと笑った。
「それで防げると思った?」
右手を伸ばす。
虚空から——
ダイヤモンドソード が現れた。
一回転して——
全力で投げつけた。
ドオオオォォン!!
剣は結界を貫き、
光の破片となって結界を粉砕した。
ダイゴの姿が消える。
次の瞬間——
ひとりに蹴り。
ボンッ!
護衛が吹き飛ぶ。
もうひとりに拳。
ガッ!
地面にめり込み気絶。
ダイゴは両手を左右に広げた。
ドッッッカァァァン!!
衝撃波が広がり、残りの護衛をすべて吹き飛ばした。
煙が渦巻く。
ダイゴは半気絶のクロウをひょいと抱え上げた。
「ログアウトの時間だ」
視界が暗転する。
誰一人追える者はいなかった。
ダイゴの力に、ただ立ち尽くすしかなかった。
翌朝
クロウはアパートのベッドで目を覚ました。
全身ズキズキ痛む。
「うっ…クソッ…身体がバキバキだ…」
その時、ドアが開いた。
カマスがニヤニヤしながら戻ってきた。
「ハハハハ!!お前、なんでそんなに弱いんだ?」
クロウは怒りながら起き上がる。
「俺が死にそうな状態で戦ってた時、お前は何してたんだよ!」
カマスは親指で部屋の隅を指した。
そこには——
巨大な金貨の山が積まれていた。
クロウ「……は?」
「な、なんだよこれぇぇぇ!?」
カマスは得意げに笑う。
「パチンコに使うんだ。
ダイゴは課金に使うってよ。」
クロウのこめかみがピクッと跳ねる。
「そ、それだけ?!俺…死にかけたんだぞ!!」
カマスは肩をすくめた。
「テストだ。
人は死にかけた時、一番成長する」
クロウは布団に倒れ込んだ。
「この修行、マジで狂ってる……!!」




