家族団欒
「火星には、火の鳥が住んでるんだよ」と
三女が言った
「バカだな、生き物なんているわけない」と
次男が肩をすくめた
「でも、まだわからないんじゃない?」と
次女が窓から外を仰いだ
「きっと、タコの宇宙人がいる!」と
長男は目を輝かせた
宇宙好きのパパは
お尻に火がついて
百科事典を開いて
息もつかずに語りだした
黒目がちな瞳
疑いの眼差し
ノートを走る鉛筆の音
小さな手が欠伸を隠す
「もういい加減に寝なさい!」と
ママの声が夜を断ち切った
都会の夜空に
赤い燭光が
揺らめき
誰かの寝息が
星に願いを
囁いていた