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01 研修生たちの初めての一歩

明るい照明が並ぶ練習スタジオ。その中に、緊張と期待の入り混じった空気が漂っていた。

猫田マネージャーは、スタジオの隅から新人研修生たちをじっと見守っていた。彼女たちはまだ若く、技術も未熟だが、瞳の奥には何かを成し遂げたいという強い意志が輝いている。


「これが、私が初めて担当するアイドルたちか…」



心の中でつぶやきながらも、私は自分の仕事に責任を感じていた。初めてアイドルのマネージャーをすることになり、キラキラと目を輝かせた彼女たちのアイドルグループの成功を背負うというプレッシャーは大きいと思った。しかし、そのプレッシャー以上に、この研修生たちを成長させ、夢を叶える手助けができることに喜びも感じていた。


数ヵ月にわたるトレーニングの日々が続いた。ダンス、歌、トーク、彼女たちは毎日汗を流し、少しずつ成長し続けているのがマネージャーの私から見てもわかるくらいメキメキと成長していた。



本日トレーニングが終わり、みんなが床に座り込む。息を整えながらも、誰もが疲労感と達成感を抱いているよ様子だった。私はそんな彼女たちのもとへ歩み寄り、少し笑みを浮かべながら声をかける。


「みんな、ここまでよく頑張ったね。だけど、ここからが本当の勝負だよ」


5人のメンバーが振り返り真剣な眼差しで私を見つめる。

私は彼女たちにアイドルグループとしてデビューするという話が具体的に進んでいることを伝えると、スタジオの空気が一変する。緊張と期待が一気に高まり、一瞬誰もが静まり返った。


その空気を一瞬で持っていく明るい声がスタジオに響いた。

「やったー!!!ってことはメンバーカラー決めたりする?私は青がいい!」大人っぽい見た目に反して大きく手を挙げてニコニコとカラーを主張する リリ 


「えっとねー私は紫がいいんじゃと思う!」おっとりと話す ミサト


「んじゃウチは黄色にしよかな〜」関西弁で話す サツキ


「ちょっと!みんな気が早すぎる!こういうのって私たちが決めていいものなの?ほら!猫田さんが困った顔してるじゃない!」 真面目なリーダーの ナナ 


私は緊張感のある雰囲気から一変したこの雰囲気にちょっと笑いながら「大丈夫だよ。みんなが喧嘩しないように好きな色決めてくれれば。」


「・・・じゃあ緑にする」口をキュッとすぼめながら話す ナナ。


「あら、みんなピンクにはしないのね。女の子代表でTHEアイドルみたいな色なのに」びっくりした表情で彼女たちを見つめた。


「ねえ、猫田さんその固定概念古くない?ま!私はピンクにしようと思ってたけど!」ヘラっと笑いながら話す ナル


「やったー!青でけってーい!」ニッコニコ笑顔で嬉しそうに体を揺らしているリリ


喧嘩もなく和気藹々とメンカラを決めていく彼女たちを見てこのグループは仲良くやっていけそうとなんとなく思った。


ナルが私を見て「そういえばメンバーカラー決める前にグループ名じゃない?なんか決まってたりするの?猫田さん。」


「うーんまだ決めてなくて。社長からは本人たちの意向に沿うとは言ってくれているよ」


今はアイドル戦国時代と言われ、アイドルたちがたくさん結成されている。社長も稼げると聞いて始めてみたは良いもののアイドル運営はよくわからず社長自身あまり乗り気では無いらしい。全てこちらに丸投げしている状態だ。


「でも簡単に変な名前では決められないよ。だってこれからあなたたちがどんなアイドルグループとして歩んでいくのか、その名前が象徴になる」


みんながわくわくした表情を見せつつも、緊張感も漂っている。名前というのは、彼女たちの未来を象徴する重要なもの。メンバーはそれぞれ、思い思いの名前を提案し始めた。


「フレッシュ・スターズはどうやろか?フレッシュさをアピールしてみるとか」ピースをしながら話すサツキ

「えー!もっと可愛らしい名前がいい!なんかキュルンとした感じの!」ぷくっとした表情で反論するリリ

「横文字はどう?英語の名前かっこいいと思うんだけど」体を揺らしながら話すナル。

「うーん・・・私たちの個性が表れるような名前がいいなぁ〜。輝けるアイドルになりたいし…」顎に手をやりながらゆっくり話すミサト


しかし、どれも決定打にはならない。提案を出しては話し合うが、どれもしっくりこない。空気は次第に重くなり、メンバーたちは少し焦りの色を見せ始める。


そのとき、窓の外にふと目を向け、ナナが何気なく月を見上げてつぶやいた。


「月の光みたいに、私たちもいつか輝けるかな…?」


その言葉は、静かな部屋に響き渡り、全員の心に何かが触れるのを感じた。


私は、その瞬間、自分の昔の記憶が蘇るのを感じた。かつて、自分もアイドルに憧れていた頃、目指していたのは「グレープフルーツムーン」という伝説のライブステージ。彼女たちの夢と自分の憧れが重なり、その名を提案することを思い立った。


「『Luna Fruits』というのはどうかな?」

私の提案に、全員が一瞬驚いた表情を浮かべた。「どういう意味なの?」ハテナを頭の上に浮かべて聞くナル。


「『Luna』は月を意味していて、fruitsは私たち一人ひとりを表しているの。月の光が照らすように、私たちも輝く存在になりたいって思ってる。『グレープフルーツムーン』っていうステージは夢を追う人たちの憧れの場所なの。私たちも、そんな風に大きな夢を追いかけて、その光を放てる存在になりたいと思ってるんだ。どうかな?」


その説明に、メンバーたちは少しずつその名前の意味を理解していく。静かだった空気が徐々に熱を帯び、全員の表情が変わっていった。


「素敵な名前だね…」

「私たちも月みたいに輝けるかなあ?」

「いいやん!その名前、なんか特別な感じがする」

「私たちも、その舞台に立てるくらいのアイドルになりたい!!」

「横文字英語だしかっこいいね」


最初は驚いていたメンバーたちも、次第にその名前に込められた夢と希望を感じ、全員が「Luna Fruits」という名前に納得し始める。そしてついに、その場で正式にグループ名が決定した。




アイドルオタクのさばんなぁです。今回小説を書くにあたって参考にさせていただいたアイドルや曲の歌詞がありますが、フィクションでありますのでご了承ください。

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