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プロローグ

読んでくださりありがとうございます。

「ですから、町内会というのは任意の団体です。入らないという意思を表明した人に強制することはできません」

「そうだとしても、円滑な町内会運営をしていくためには入ってもらう必要がある。会長さん、説得よろしくお願いしますよ」

「そうは言われても」


浮田悠介、28歳。スーパーマーケット、食品部の主任。という名前の便利屋。

ただでさえ仕事で忙しいのに、歯に衣着せぬ物言いで悪目立ちしてしまい、引っ越してきたばかりの県営住宅の町内会長を押し付けられてしまった哀れな会社員。

別の日には――


「この地域は高齢化が激しく、役員を引き受ける人が毎年減っている。予算は十分あるのですから、せっかくやってくださってるみなさんに報酬を出すことを検討しているのですがどうでしょうか」

「みんなのお金を私的に使うつもりですか?」

「いえ、そうではなく。大体、清掃に出てこなかった人から徴収している罰金だけで数十万円、それを財源にできますから。みんなの町内会費を不正に使うわけでは」

「そういうこと、昔やってもめたことがあるんだよねえ」

「そうそう。面倒ごとには巻き込まれたくないよ」


悠介の提案は何一つ受け入れられない。

そのくせ、ゴミ収集所が汚いだの、違反ゴミが多いだの、猫がうるさいだのというクレームばかりは一丁前に入ってくる。

ただでさえ仕事で憔悴していた悠介は、翌日に控えた役員会のことを考えるだけで鬱々とした。


「ちょっと散歩にでも出かけるか」


歩いてリフレッシュするのは悠介のお決まりのやり方だった。

しかし、どうやら今日の悠介には運もついていなかった。


「ん?」


いつも歩いている場所だから、という油断もあったか。

ぼうっとして歩いていたせいで、自分が信号をろくにみていなかったことに気づかなかった。

スピードを出し切っていたトラックに衝突したところで悠介の記憶は途絶えた。

彼は死んだのである。

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