【狂い昔話・童】ちーせーパイナップル売りの少女
むかしむかしあるところに、ちーせーパイナップル売りの少女がおりました。
少女は昼間街へ出て、通行人にちーせーパイナップルを売りつけて生活していました。
1年お金を貯めた少女は、とても良い肥料を買いました。土に注射すると、パイナップルはみるみるうちに大きくなり、今まで売っていたものの60倍ほどになりました。
それから少女はでっけーパイナップル売りの少女として、でっけースーパーにでっけーパイナップルを卸すようになりました。
これがまあ売れに売れて、少女はお金持ちになりました。
ある日、少女が自宅のソファで寝っ転がりながら4096Kテレビを見ていると、ターミネーターのリズムでインターホンが鳴りました。
「シュワちゃんかな?」
小学校の頃の同級生が来たと思った少女は、つまんでいた焼豚をポケットにしまい、すぐに玄関へ向かいました。
「はいはいはいはい今開けますよーっと」
玄関を開けるとそこには、胸の辺りをロープでぐるぐる巻きにされた全裸の見知らぬ少年が立っていました。
「なんだオメー」
「わ、わたしはこういうものですぅ」
そう言って少年はくるっと回転し、こちらへ背中を向けました。背中にはポッキーが1本括り付けてあり、熱でチョコの部分が溶けていました。どうやらポッキー売りの少年のようです。
「ポッキー売りのガキがなんの用だ? あ? ⋯⋯あ? あ? あ?」
「ちょっと静かにしてください」
「⋯⋯あ?」
次の瞬間、少年の臀部から家が揺れてしまうほどの大きさの屁が「ブノッ」という音とともに放たれました。
「あなた、最近パイナップル売ってませんよね」
向き直った少年が真剣な顔で言いました。
「一生分売ったからねぇ。もう食うには困んないの」
「でも、みんな待ってますよ、あなたのパイナポー」
「ガビーン!」
少女は雷に打たれたような気持ちになりました。とてもビリビリするのです。口の中もなんかチョコとクッキーみたいな味がしています。
「あっち! がんばゆ!」
パイナップルへの情熱を取り戻した少女はオリジナルのサンバを踊りながらパイナップルの温室へと向かいました。
1時間半後、農園に到着した少女はその惨状に自分の目を疑いました。30分に及ぶ話し合いの末、目の疑いが晴れ、農園のありさまが現実のものであると確定しました。
「キェエエエエエエ!!!」
パイナップルを見た少女は叫びました。1本残らずやせ細っているのです。何も世話をしなかったからこうなってしまったのです。
パイナップルを収穫した少女は、街へ降りて通行人に売りつけました。あんまり欲しくなさそうな人にも「幸運の壺ですよ」と言って無理やり買わせました。
ほっせーパイナップル売りの少女と呼ばれるようになった少女は、その呼び名が気に入りませんでした。
少女はなんとしてもあの頃のパイナップルを取り戻そうと、必死にパイナップル肥料屋を訪ねて回りました。
1番良さそうな肥料を土に注射し、水をやります。
するとどうでしょう、パイナップルがニョクニョクと伸び始めたではありませんか!
最終的にパイナップルは少女の身長と同じくらいの長さにまで伸び、湖池屋のスコーンのような見た目になりました。
パイナップルを収穫した少女はまた街へ行きました。次の呼び名はほそなげーパイナップル売りの少女でした。
ほそなげーパイナップル売りの少女はまた不服でした。これでは私が細長いみたいじゃないのとインタビューで答えていました。
またパイナップル売りを中断した少女は、サイコロウォーマーの仕事を始めました。サイコロを温めて、6が出やすくするのです。
それから半年後、サイコロクーラーに転職した少女が川でサイコロを冷やしていると、川上からでっけーパイナップルが流れてきました。
「えっ、パイナッポ!?」
少女は運命の再会に涙し、涙しました。
でっけーパイナップルを捕獲した少女は、すぐに家に持ち帰ってツーショット写真を撮りました。
でっけーパイナップルと肩を組んで1枚。
抱き合うようなポーズで1枚。
93分後、少女が写真を撮り終えてトイレでタバコを吸っていると、リビングの方から「うまれる〜!」と聞こえてきました。
タバコを飲み込んでリビングへ戻ると、パイナップルが人間を出産している最中でした。
少女は応援しました。赤ん坊が生まれる瞬間というのはいつでも輝いていて、黄色くて、甘酸っぱい匂いがして、舌がヒリヒリします。
少し切り出してワサビ醤油をつけて爪楊枝で食べながら応援していると、パイナップルの右上と右下と左上と左下の部分がモコモコしてきました。
次の瞬間、バコーン! という音とともに赤ん坊の手足が飛び出しました。ここでパイナップルは絶命しました。死因は脇腹を少し切られて食べられたことでした。
やがてパイナップルの葉の部分がオープンし、ベイビーのフェイスがあぴあーず!
少女は赤ん坊を指さして「亀みてーだな」と言いました。
赤ん坊は「ちげーよ」と言いました。
少女は泣きました。さっきパイナップルにつけて食べたワサビが辛かったのです。
「あたち、あんたヤダ。もっとイケメンのおにーたんのところが良い」
赤ん坊がそう言うので、少女は泣きながら赤ん坊を担いで街へ向かいました。
歩いている間、赤ん坊はすくすくと大きくなっていきました。人間とパイナップルは成長速度が少し違うのです。
街へ降りた頃にはパイナップル赤ちゃんはパイナップル少女にまで成長していました。憎まれ口も多くなっています。「クソ○○!」や「カス○○!」、「ボケ○○!」、「ポケ○ン!」、「ドラえ○ーん!」といった暴言を吐き続けました。
「マッチいりませんかー! マッチいりませんかー!」
「パイナップル少女いりませんかー! パイナップル少女いりませんかー!」
大雪の中、マッチを売る少女の隣でパイナップル少女を売る少女。
3時間後、なぜか売り物のマッチに火をつけ始める隣の少女。
その火で焼き鳥を焼くパイナップル少女売りの少女。
雪解けはまだ遠い。
数年後、またデカいパイナップルを売るようになった少女は、町民からデカパイのネーチャンと呼ばれていた。