0 白い塔
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0章 白い塔
わたくしたちはとっけんかいきゅうなんだ、というのがとうさまのくちぐせでした。
しろくてたかい、とう。わたくしたちいちぞくのすみか。そこからはまわりのまちがよくみえます。
ざつぜんとしたびるぐん。とちがたりないので、うえへうえへとぞうちくをくりかえされたけっか、いびつになってしまったたてもの。ですが、わたくしたちのびるのたかさにはとうていおよびません。
さしずめ、どーなつのなかにぼうをつっこんだようなところで、わたくしたちはいきています。
とうさまはしろがすきです。いえ、このびるにすむみな、しろがすきなのです。へんしゅうてきなほどに。それゆえかいかのまちを、すらむがいとよび、ばかにします。
わたくしはわたくしの、じゅんぱくのうでをだきます。
このからだはのろいです。くさりです。どうしようもないほどに。
わたくしはすでにきづいているのに、わたくしがそうきづいていることをとうさまはまだ、しりません。
みなは、みずからのこのじゅんぱくのからだを、ほこりのようにおもっています。
みなは、かれらのただれた、みずぼらしいからだを、だかつのごとくきらっています。
ですが、わたしには。
かれらこそにんげんであると。
そうおもってしまうのです。