新元号が始まりすぐに起こったあの暑い日の事件
平成が終わり、年号が令和になって3か月も経たないうちに、とある事件が起こった。
某アニメ制作会社のスタジオの放火事件。30人以上のアニメ製作スタッフが死亡。有名なアニメ監督やキャラクターデザイナーまでが犠牲となった。
その事件が報道された後に、ベッドで目を強くつぶって冷房をかけながら布団に包まっている男がいた。
俺は「えええぇ、なんでこんなことが起こるんだぁ?」とか「俺もあの男に影響を与えて世間から叩かれるのかなあ」と頭の中がいっぱいで目を強くつぶりながら思っていた。
俺は、ある日の数年以上前のことを思い出す。
「お前パタリロだな」
いじられキャラの俺に職場の先輩がいじってくる。
スマホでパタリロの画像を見つけて俺に見せてくる。
「はは、そうですよね」
仕事のできない俺はその先輩に対して怒る感情などはあまりなかった。
だが、ある日会社に大損害を与える事故を起こしてしまう。
「くそっ、なんなんだ」
俺は情けなかった。
だが、この感情を利用して俺はでかくなってやる。
俺はこの機会に強くなろうと決めた。
そして、その後に別の仕事のミスをその先輩に怒られる。
「わかりました。今度ミスしないようにします。叱ってくれでぞうぞありがとうございましたぁ」
俺は、強い口調でそんな風に先輩に言った。
だが、その先輩はおとなしかった自分が反発したと腹を立て、それから口を利かなくなった。
それから俺は、その色んなことも重なってこの職場を辞めた。
そして数年間、俺はニートになった。
ニートになった数年間は自分は自分のことが情けなく、将来のことを考えると気がおかしくなった。
そして、俺は狂ったメールを例の前の職場の先輩に送ることになる。
「ぼくやぁ。○○元気かあ。なあ自殺しぃ。もう生きてるん嫌やろ。家を焼きぃー。お前のほこりまみれのフィギュアと心中するんや。死ぬ前に自分の糞を平らげええ」
その先輩はオタクで家に以前行ったことがあり、埃をかぶったフィギュアが印象に残っていたのでこんなメールを送った。
その当時送った時はもしかしたら返信があると思っていたが返信がなかった。エラーメールになっていないし多分届いているのだろう。
あいつ、俺を無視するのかと思った反面。なぜかまたメールを送ってやろうという気分になった。
自分でもこんな内容のメールを送ってしまった愚かさを感じながら、狂気を人にぶつけるという快感を覚えてしまった。
そして、ある日のメール
「幼稚園に刃物を持って侵入して園児を刺し刺しぃ。血祭りにするんや」
それらのメールは寝る前に暗いベッドの中で作成して深夜送った。
そして、またある日のメール
「お前はオタクぶってたくさん高いDVDあの大阪のターミナル駅の近くのアニメショップでこうたやろ?あのアニメショップにガソリンまいて放火しぃ。たくさん人死ぬで」
俺が後悔することになったメールだ。なぜこんな内容のメールを送ったかというと、数年前に消費者金融が入ったビルにガソリンをまいて放火したニュースを覚えていたからだ。
それからも繰り返しのような前出と同じような内容のメールを送った。
だが、一向に反応がない。だが俺はある日、こんなメールを送っていいものか考えるようになった。
復讐の一面もあっただろうがよくないことだとやめる決心をした。
その後も眠れないときに、そのような内容のメールの下書きを作ったりもするが考えるのが面倒なのとメールを作成中に眠気が襲ってくるので送らずにいた。
それから数年。俺は復職し。今までメールを送っていたことも忘れていた。
そして、令和元年の夏にあの事件は起こった。
煙を出し燃えさかるアニメスタジオ。放火が起こったらしい。そして犯人はガソリンを使用。
犯人は40代だということが分かったが名前が出てこない。
あのアニメスタジオは関西。俺の働いていたところも関西。あの先輩と年が近そう。
ま、まさか、俺はとある可能性を疑った。
電話してみようかな。俺は電話を掛けた。
「この電話番号は現在は使われておりません」のメッセージ。
俺はとても怖くなった。
「ま、まさかなあの人があんなことをやるなんて」
でもありうる。あの仕事場の先輩はときたま理解に苦しむ言動をしていた。
やっぱりおかしい人だったからやってしまったかも。
俺は怖くなった。神様ごめんなさい。どうかあの人でありませんように・・・。
俺は涙をにじませながら、その可能性がないことを信じた。
そして、とあるポータルサイトのニュースであの事件の続報を知る
犯人は若葉俊介・・・。あの人じゃない。よかった。
俺は安堵に包まれた。俺はもうあんなことはしないと絶対に決めた。過去に送った送信済みメールもすべて削除した。
だが、ひとつの不安感が俺を襲った。俺はあの犯人と似たような考えを持っているのではなかっただろうか?人生が違えば俺が放火犯になっていたのではないかということだった。




