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永遠の命で世界を救えたら。  作者: 渡利慶次
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第26話 螺旋

 –帝都第4支部–


「おい!止まれ!止まるんだ!」

 「誰か止めろ!」

 制止する声を無視して私は武器開発部門の研究所へ続く廊下を進み続ける。

バーナード教授に直談判するためだ。


 腕を掴まれては振り払い進む。どれだけ数が来ようと所詮は研究に明け暮れてる奴らだ。簡単に私は止められない。

扉の前まで来ると私は力強く扉を押し開ける。


「バナードはいるか!!」


 中にいた連中は突然の事に頭が追いつかないのかその場で立ち尽くしている。


「もう一度言う。バーナードを出せ!」


 やっと我に帰った1人の研究員が奥へと走り出した。



 しばらく待つと白衣のポケットに手を突っ込み太々しい態度の男がこちらに向かって歩いてきた。


「なんだね、騒々しい。ちゃんとここに立ち入る許可は取ってるんだろうね?」


「すみません教授!何度制止しても振り払われてしまって…」


「役ただずめ…で、要件はなんだ?……… 伍長殿?」

 バーナードは私の軍服に付いている階級章を見て鼻で笑う。


「あれはなんだ?」

 私は拳を強く握りしめる。


「あれとは?なんのことだね?」

 あくまでしらを切るつもりか。


「ヘッドギアのことだ!何故あんな細工をした!」


「なんだ。そのことか。何か設計ミスでもあったのかと思ったよ。野蛮人は野蛮人らしく殺し合っていればいいものを。」

 バナードは不敵に微笑む。


「お前は…お前は命をなんだと思ってる!なんの抵抗もしていない14才の子が死んだんだぞ!」

 

「は?お前こそ何を言っている?これは戦争だぞ?好き好んで軍人になったのだろ?敵国の悪の芽を摘んだだけの話ではないか。いや、生きていれば子孫を残しいずれ私のモルモットも増えていた可能性も…そう考えると確かに損失だな。」


 狂ってる。こんな、こんな奴が私たちの国の兵器を作っているのか…何故こんな奴が…


「敵国だからと言って人間をモルモット扱いだと?ふざけるな!こんなこと許されてたまるか!」


「許されてたまるか?大きく出たな!ハハハハハ!それが許されているんだよ!現に前線での使用許可が降りているしな!特に徴兵で集められた奴らを中心に!」


「…何故徴兵のやつらに」


「そりゃ人は人を殺せないようになってるからさ!ヘッドギア無しで人を殺せるお前らが異常なんだよ!私も人は殺せないからこうやって後方でこの国を支えている!」


 その為のものか…クソッ…ウィルとアナも訓練で既に使っているということか…


 私は一歩ずつゆっくりとバーナードへと近づいていく。


「お前ごときが支えているだと?おこがましいにも程がある。お前のそれは異常だ!口こそ達者だが悪意しか感じないぞ。」


「なら使わなければいい!だが私は世界に必要とされているから武器を開発し続けているだけだ。

…そうだな、馬鹿な君にも分かるように説明してやろう。」


 バーナードは左手を腰へ、そして右手の人差し指を顔の前に一本出す。


「君は戦争や紛争を除いて人が人を殺す原因の1位が何か知ってるかね?」


 私はすぐに思い至ったが口には出さなかった。


「交通事故さ。皆頭では分かっているのに使い続ける。何故か。理由は簡単だ。【便利だから。】その理由だけで人は使い続ける。危険と承知しながらな。それと一緒さ。

嫌なら竹槍でもなんでも使って原始人のように戦えばいい。

だが君も便利だから。容易だから。そんな理由で使ってくれているのだろう?私たちの開発した武器を。それと一緒だよ。」



「暴論だ!交通事故と一緒だと?ふざけるな!!無作為に敵を作り無駄な争いを産むものが一緒なものか!!

何故人を殺すことにそこまで執着する!敵意がない者は捕虜にすればいいじゃないか!」



「そりゃ間引きだからさ!どちらかが滅びなければみんな滅びるだけ。そう言う戦争だろ?これは。」



 確信した。


 やはりこいつは何か知ってる。焦るな。ゆっくりだ。もうここまで来たら無理矢理にでも連行する。

そのあと尋問でもなんでもすればいい。

ラウルにこの事を話せば上手くやってくれるはずだ。


「…お前この戦争の事を何か知ってるのか?」


「いいや、知らないし知りたくもない。私は先生の言う事を忠実に従ってるだけさ。」


「先生?先生とは誰だ!やはり誰か後ろにいるのか!」


「おっと、少し話をし過ぎたな。」


 バナードはそう言うと私に手をかざす。


「グアッ!!」

 全身に電流が流れる。なんだこれは…身体の言うことが…


「お前たちよく見ておけ。私たちは科学者だ。肉体能力で差があるなら頭を使え。自分たちの作った装備を使う者に対抗できる物を作らないのは馬鹿のする事だ。こいつの様に低位の軍人はチンパンジーみたいなものだ、いつ難癖をつけて反乱を起こすかもわからん。だからこうやって奥の手は残しておくものさ。」


 クソッこんな武器が…

動け!後10歩でいい!動け!掴みさえすれば…絶対何か知ってるはずなんだ!

力が湧いてこない…なんとか…か…感情の爆発を…

…視界が…霞んで………




「おい!警備のやつを呼んでこい。とりあえず地下の独房にでもいれとけ。私はミラー長官のとこへ文句を言いに行く。」


 薄れゆく視界に写ったバーナードは私を見下し笑っていた。


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