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永遠の命で世界を救えたら。  作者: 渡利慶次
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第21話 戸惑い

「おはよーみんな!昨日はよく寝れたかなー?じゃあ早速今日から訓練を始めるよ!張り切ってこー!おー!!!」


 Mark.06が左手を腰にあて右手を大きく突き上げる。

何人かがつられて声を上げる。アナもそのうちの1人だ。元気なのはいいが恥ずかしいからやめてほしい。



 さっそく僕らはグループ部屋に転送され訓練が始まる。


「とりあえず今日の午前中は装備ごとに分かれての訓練をしまーす!ベンとデイブ。アナとチャドは一緒だね!ドリィとウィルは個別で訓練しよう!

午後からは基礎トレーニングだからリアルの方でやってね!」


 そう言うとMark.06は6人に増える。本当になんでもありだ。



「これでマンツーマンでの特訓ができるね!まずは対象に当てる訓練からいってみよー!」


 Mark.06の掛け声と同時に僕らの前に大きな人型のモンスターが出現する。なんだろう。昔やったゲームでよく見た…ああ、そうだ。サイクロプスだ。


 一つ目のツノの生えた巨人が棍棒を振り回しながら待機している。


「君たちにはこれからこの子の相手をしてもらいます!!」



「訓練ならなんで人間相手じゃないんだ?仮想空間なら死ぬわけじゃないんだしその方が実戦に近くていいと思うんだが。」


 ベンの質問に対しMark.06が人差し指を左右に振りながら笑う。


「こっちの方が楽しくできるし撃つのに躊躇しないでしょ?だから訓練に向いてるの!最終的には人に撃てなければ意味がないし日に日に対象の見た目を人に近づけてくから安心して!!」



「そう言うもんかー?まぁいいけどよ。俺より頭のいいAI様の意見だしな。」



 こうして僕らの訓練は始り、そのまま何事もなく1週間が過ぎた。







「そろそろ人間に近い相手と戦ってみようか!」


 Mark.06がそう言うと、さっきまでいた射撃訓練用のステージから大きな石が乱立する荒野風のステージに変わり前方300m地点に100人程の人間が出現した。

 目は血走り息が荒い、それらが狂ったように僕達目掛けて一斉に走り出す。


「おいおい今度はゾンビアーミーか??っておい!こっちに向かって全力疾走してくるぞ!!」

そう言ってベンはエモーションヴィロウィをガトリングモードにし敵の大群に乱射する。

しかし敵も簡単にはやられてはくれない。

5分の1程削ったところで大群の中に強固な大きいシールドを持ったのが5体前に出た。

ベンの攻撃を防ぎながら大群ごとジリジリとこちらに距離を詰めてきている。



「チャド!一気に行くよ!」

 

 アナがそう言うとベンの後ろから左右に別れて二人が飛び出し並行に走る。


 アナとチャドの動きに気付いた敵が銃弾を放つが2人は難なくかわす。

敵の最前列、シールド持ちのラインを超えると高台からみんなの指揮をとっているデイブが叫ぶ。

「今だ!!」

 アナが左手をチャドにかざす。少し遅れてチャドが右手をアナにかざした。


「ON!!」

アナの左手とチャドの右手を光の刃が繋ぐ。

そのまま二人は加速し大きな石ごと敵の群を一気に両断していく。

だが最前列のシールド持ち3体を撃ち漏らし

後方の何体かが飛び跳ねよける。


「くそっ!何体か避けられた!ごめん!ボクのタイミングが遅れたせいだ!」


「任せて!」

 その声とほぼ同時にかなり後方から一筋のレーザーが敵の上空に向かって飛んだ。


「おい!どこ撃ってんだドリィ!」

 ガトリングを打ち続けながらベンが叫ぶ。

「まぁ見てなって!」

 そう言うと敵の頭上を通過しようとした弾が90度下方に曲がり10本に分散し空中で無防備な敵を撃ち抜く。

後はシールドを持ってる3体だけだ。


 既に左側から旋回し加速していた僕はガトリングを防ぐのに精一杯な敵の頭上を反重力システムを使い前方に回転しつつ飛び越え背後からエモーションシニックの引き金を引く。

ラッパのような銃口から半球状のにエネルギー体が放出される。

2体はその場で消滅したが1体がベンの前まで吹き飛ばされた。


 しまった!撃つタイミングが早かったんだ!一体だけ射程ギリギリだったのか!


 敵はすぐ体制を整えナイフでベンを襲いにかかる。


「おーーーーい!仕留めきれてないじゃないかーーーー!!!」

 咄嗟のことで銃の重さが仇となりベンの動きが遅れる。やばい!間に合わない。


 緊迫した空気を切り裂くように一発の銃声が響き渡る。


 いつの間にか敵の横についていたデイブが敵のこめかみをハンドガンで撃ち抜いていた。


「はは、危なかったね。」


 ベンは尻餅をついて息を荒げている。


「頼むぜウィル!リアルだったらマジでヤバかったぞ!」


「ごめんよベン…少し焦っちゃったみたいで引き金を早く引きすぎたよ…」


「うんうん!みんな大分上達したね!デイブ君の指揮も上手だよ!

エモーションシニックは特殊武器の中で最も威力が高いけどそれは距離が近ければの話だからね!

距離が遠いほど威力は弱く吹き飛ばす力が強くなるから気をつけないと今回みたいなことになるよ!

と言っても空中に飛びながらだと難しいよね。

実際あと0.3秒引き金を引くのが遅ければベストショットだったんだよ!」


 Mark.06はいつもみんなのフォローしてくれる。仲間意識を高めるためだろうか。


「とりあえず今日はここまで!午後は基礎トレーニングだからお昼食べたらグラウンドに集合だよー!お疲れさまー!」






 現実世界に戻された僕らは食堂へ向かう。

「ベン。さっきはごめんね。」


「いや!いいんだ!俺も強く言い過ぎた…次はよろしく頼むぞ!」


 謝りはしたが心のモヤモヤが消えない。許してくれたのは勿論よかったのだがそんなに軽くていいのだろうか。

まるでゲームのような世界にいることで段々と感覚がずれていってる気がする。

リアルだったら僕のせいで死んでいたかもしれないのに。


 それにしてもあの敵は本当にゾンビだったのか?ベンがゾンビって言ったからみんなその気で闘ってたけどほぼ人間のように僕は見えた…ただあんなに殺意を剥き出しにした顔は初めて見る。

Mark.06の意図が僕には分からない。



 そして次の日から1週間この敵と戦う訓練が続いた。

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