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永遠の命で世界を救えたら。  作者: 渡利慶次
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第15話 人の感情

  ラウルが私の対面に座る。


「お二人ともコーヒーでいいですか?」

 そう言って秘書さんはお湯の準備をする。


「ああ、ありがとう。」

「私は味音痴だからなんでも大丈夫だ。ありがとう。」

 秘書さんは微笑み頷く。


「すまないがコーヒーを淹れ終わったら君も退出してくれるかな?久々の再会で積もる話もある。」


 秘書さんはラウルの方を見る。


「ああ。構わんよ。書類の整理も疲れただろう。呼ぶまで休んでいるといい。」


「畏まりました。」


 しばらくして私たちの前にコーヒーが置かれ、秘書さんはお辞儀をして退出して行く。扉が閉まるのを確認して私から切り出した。



「どう思う?」


 その言葉にラウルはテーブルに肘をつき指を組む。


「やはり君も気になったか。」



 沈黙が流れる。



「何故ロングスカートなのか。秘書ならばタイトなミニスカートであるべきだと。私は何度も彼女に」


「違うそうじゃない。」


 私は思わず額に手を当てた。


「本当に君と言う奴は…どこまでが冗談なのか分からないよ。」


「ハッハッハッハ。私はいつだって本気さ!」


「はぁ……デイブにアナを任せるのはいいんだが、君が義父になることにはやはり抵抗があるな…まぁいい、本題に入ろう。」


 ラウルが腕を組み真剣な顔になる。


「この戦争のことだ。いつもと違う気がしてならない。何か聞いてないのか?」


「いや、私にもまだ詳細な情報は届いていないんだ。だが私も気になる点が多い。

防衛大学を主席で卒業した身としてそれなりに戦争の歴史には詳しいつもりだが…

今までこんな沢山の国が同時に参戦を表明したことはない。

普通は中立を保つ国や情勢を見て勝ちそうな方につくのが定石なのだが…」

 

 ラウルは難しい顔をしている。


「先程飛空艇に乗った時に反重力システムなるものを経験したのだが、あれは確かエネルギー源が見つからなくて実用化できないと聞いていた。

もしかして新しいエネルギー源が見つかり例の計画が進んだ影響か?」


「ああ、あれを経験したか。すごかったろ。

そうだ。見つかったんだ新しいエネルギー源が。」


「やはりそうなのか!私は科学には疎いから簡単に説明してくれ。どう言った物なんだ?」



 ラウルは一口コーヒーを飲みカップを置く。



「人の感情だよ。」


「は?感情?一体どんなファンタジーだ。そんなことあり得ないだろ。」


 ラウルはため息をつく。


「それが事実らしい。私も詳しい事は分からん。

だが実際にそのエネルギー源によって実用化できてしまっている。」


 ラウルの顔を見る限り流石に冗談ではなさそうだ…

私はコーヒーを一口飲み頭を落ち着かせる。


「だが人間の感情をエネルギーに変換すると言う事は要するに人間=燃料と言う事だろ?人体に影響はないのか??」


「分からない。」


「分からないではすまないだろ!そんな危険な物。

無限のエネルギーだなんて言わないよな?

エネルギーに変換するなら確実に何かは消費されるんだろ?下手したら廃人だらけになるんじゃないのか?」


「分かっている。本当は国としても実験を繰り返して安全性を確保してから実用化したいのは山々なんだ。

だが発見し、理論を構築した張本人が行方不明なのと敵国側が躊躇なく使い始めたんだ、対抗するにはこちらも使うしかない。」


「行方不明?そもそも誰がこんなもの発見したんだ?」


「5年前の記事を覚えてるか?」


「5年前?どの記事だ?」

 私は額に指を当て思い出そうとする。



「【この星を救う我が国唯一の科学者】だよ。」


 思い出した。あれは酷かった。

題名こそ褒め称えるような物だった。

たが蓋を開ければ著名な科学者がこぞって【他の惑星に移住するしか道はない】と発表したのに未だにこの星を救う手立てを探す無能。税金の無駄遣いだと罵る物だった。

確かにインタビュー内容から少し高慢な人物には感じられたが言ってる事は至極真っ当だったのを覚えてる。

珍しく私が抗議文を送ったほどだ。



「ああ、思い出したよ。確か…スタンレー教授だったか?」


ラウルは頷く。


「そうだ、彼だ。理由は分からないが世界各国に理論や応用の仕方だけ発表したあと行方をくらましている。」


「そうなのか…彼は何かを知ってるんだろうか…

だが…それにしても皮肉だな。記事であれだけ罵られ、それでもめげずにやっと見つけた新しいエネルギー源が早速軍事転用されるなんてな…」


「ああ、そうだな…この世界はどうしてこうも残酷なのだろうな。」




 私は今までの話を頭の中で整理しつつコーヒーを一気に飲み干す。



「もう一杯いるかい?」

 そう言ってラウルは手を差し伸べる。


「ああ、すまない。さっきから頭が疲れてしょうがないよ。何か甘いものをくれると助かる。」

 私は彼の手にカップを渡す。


「ハハハ。私も最初聞いた時はそうなったよ。ちょっと待っててくれ。」



 私が前線を離れている間に色々と変わったらしい。

ウィルとアナの事を思って安全な後方支援に転属させてもらっていたが今度の徴兵できっと前線に復帰することになるだろう。

私ももう老兵と呼ばれる歳だがまだまだ引退させてはくれなそうだ。


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