第12話 帝都ベルカトーレ
「もうすぐ到着だ!寝ているやつは起こしてやってくれ!結構な人数になったからすぐ降りれるよう荷物もまとめといてくれな!」
クロウニーさんの言葉に皆少しずつ動き出す。
僕らが乗ってから2箇所ほど立ち寄り、救助された人は150人程になっていた。船内はまだ少し余裕がある。
「父さん!手助けが必要な人がいないか見てくるよ!」
「ああ!いい子だ、いってらっしゃい。」
父と母は微笑む。
「アナとデイブはどうする?」
「もちろん行くさ!」
そう言ってデイブは立ち上がりアナに手を差し伸べる。
「アナも来るだろ?」
少し照れながらアナはその手を掴み立ち上がる。
「うん!」
まったく…まぁいい、三人いた方ができることも多いだろう。
僕は助けが必要そうな人を探しながら歩く。でもそれだけじゃなかった。人が乗って来る度に確認したため、いないとは思っているがバリーさんとおじいちゃんがいないか探していた。
だが勿論いない。いないのだが何故だかこうしてないと段々と探さなくなり、やがて存在を忘れてしまう。そんな気がしてたからだ。
「あっ!あの人大変そう!」
そう言ってアナはデイブを引っ張り年配の女性のところへ走っていく。
あっちは2人に任せれば大丈夫だな。
僕は再び歩き出す。
「あの子…」
同い年くらいだろうか隅の方で寝てる子がいた。黒いキャップを深く被り銀色の髪がちらついている。耳には数えるのが面倒なほどピアスが付いていた。
周りは何故起こしてあげないんだろう。僕は肩を軽く叩き声をかける。
「そろそろ到着みたいですよ。起きてください。」
「うーん。ありがと…もう…起きる…よ…」
寝た。今起きたのはずなのに寝た。なんだこの子は。
「この子さっきからそうなんだ。一瞬起きるんだけどすぐ寝ちゃってね…」
「なるほど…避難生活がとても大変だったんでしょうか。…分かりました!僕が背負って降ります!ちょっと見ててあげて下さい!父に荷物を任せて来ますので!」
そう言って一度離れ父の元へ行き事情を説明して再び戻る。
一応再び声をかけてみたが最早反応すらない。
2回目に立ち寄った場所は避難所でもなんでもない洞穴の様なところだったが、そこから乗って来たんだろうか?あそこで乗って来た人たちは皆疲れ果てた顔をしてた。この寒さで雨まで降られていた。きっとまともに寝れなかったんだろう。
船体が少し揺れて減速し、垂直に降下していくのがわかった。どうやら到着したようだ。
「さあ到着だ!2列に並んでくれ!降りたらここの説明があるから案内に従ってくれ!」
「よし!僕らも並ばないと。おんぶするからね!」
声をかけて背中に乗せる。
「あれ?」
おんぶしてから気づいた。やけに身体が柔らかい。ずっと男の子だと思ってたけどこの子、女だ…
僕は急に恥ずかしくなり降ろしたくなる衝動に駆られたがなんとか堪える。これは人助けだ。
僕は父と約束したばかりじゃないか。疲れすぎて起きれないんだ、仕方がないことだ!恥ずかしいことなど一つもない!そう自分に言い聞かせた。
ハッチが開き列が動き出す。僕は一点を見つめまっすぐ進む。大丈夫だ。うん。…大丈夫!
飛空艇を降りると大きなコの字型建物に三方覆われた広場だった。どうやら他にも飛空艇が2隻あるところを見ると…ざっと450人くらいはいるのだろうか、後で名簿を見せてもらおう。これだけいればバリーさんがいてもおかしくない。だが一先ず家族を探して合流せねば。
「見つけた!お兄ちゃーん!」
アナが手を上げて飛び跳ねてる。僕はおんぶの体制を整えアナ達の方向へと進む。動くたび伝わる背中の感触は気づかないふりをした。
「あれ?その子どうしたの?」
「何度も起こしてるんだけどなかなか起きなくて…」
「まったく!お兄ちゃんは優しすぎるんだよ!任せて!」
そう言ってアナは僕の背後に回ると大きく振りかぶり思いっきり背中をはたいた。
「おっきろー!!!」
それを見てデイブは頭を抱えていた。
「よく初対面の人にそんな…」
「うわっ!!なんだ!!え!なんで私おぶられてるの!?」
状況が把握できないのか背中の子は降りようと暴れている。
「ごめんごめん!今降ろすから!」
その言葉に暴れるのを辞めスッと床に着地する。
「一体何が起きてるの?ここはどこ??」
僕はため息をついた。一体いつからどれだけ深い睡眠に入ってたんだこの子は。
「救助されたことは覚えてるよね?今ちょうど帝都に着いて飛空艇から降りたところだよ。」
「救助??ああ、そうか避難してたもんね私。」
本当に一体いつから寝てたんだ…まぁとりあえず起きたならよしとしよう。
「とりあえず今からここでの生活の事とか、これからの事を説明してくれるみたいだからちゃんと起きて聞いといてね!」
「おけおけ!大体把握したよ!ありがとう!」
「そうだ!せっかく知り合ったし自己紹介しておくね!僕はウィル、こっちは双子の妹のアナ。そして幼馴染のデイブ!」
「双子だったんだ!私はドロシー!気軽にドリィでいいよ!よろしくね!」
ドリィはそう言って僕とアナを交互に見る。
「あんま似てないね!」
そう言ってドリィは微笑んだ。




