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異世界で『引き籠もり生活』  作者: 風猫(ふーにゃん)
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プロローグ  異世界引き籠もりデビュー

 俺はラノベ読者だ。別に愛読者という訳ではなく、暇な一人の時間を過ごす選択のひとつに過ぎない。

 でもまさか自分が、ラノベ世界へ行くとは思いもよらなかった。それもお決まりのトラック事故ではなくて、穴に落ちるなんて。

 そう、落ちたのだ。突然に穴なんかあるはずの無い、コンビニの出入口で。それが俺の異世界行きの顛末だった。



 気がつくと薄暗い広間のような場所で、等身大の薄ぼんやりした光りの塊と対面していた。

 そして話し掛けられた。声はしないけど、頭の中に浮かぶような、でも女性のような、イメージで話し掛けられていると認識できる。

 そしてその彼女は、俺の人生の顛末を語ってくれた。


 なんのことはない、俺の寿命が尽きたそうだ。ただ、普通なら突然の病死なり事故死になるところ、担当の天使なのかな、そいつがもよおしたので焦って、死後の世界へ通じる通路を開いてしまったそうだ。後付で俺は心臓発作で突然死になっているらしい。

 普通なら、人生最後の場面では走馬燈のように各人の想い出の場面を振り返るのだそうだが、そのイベントもなく申し訳ないと謝罪された。

 まあ、済んでしまったことは仕方ないし、誰にも過ちはあることだからと、次から気をつけてくださいと答えた。


 そうしたら、高評価を受け特級転生の権利を与えられて、現状でそのまま転移できることになった。転移にあたり、望みを聞かれたので『引き籠もり生活』がしたいと答えた。現世で人付き合いに苦労し、損ばかりしていた俺は、もうそんな暮らしをしたくなかったからだ。

 あと、チートを貰えるなら、現世の物品を取り寄せる能力を与えてほしいとも。美味しい食べ物や便利な品を失うのは耐え難いと思ったのである。

 その希望は叶えると言われ、俺は気を失った。

 


✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣



 気がつくとそこは森の中だった。広葉樹の木々が生い茂るばかりの森。だけど暖かい陽射しが降りそそぎ、汗をかきそうな陽気だ。

 多分初夏、木々の緑が青々と茂り、草木の蒸すような匂いがする。

 俺はとりあえず歩いて、広い視界がとれる場所を探すことにした。

 しばらく歩くと小川を見つけ、川下に進むと視界が開けた場所に辿り着いた。


 近くに小高い丘があり、登ってみると森が遠くまで見渡すことができた。どうやらここは大きな森の中で、ここからでは森の終わりを見つけるのは難しいようだ。

 雄大な森の景色を眺めながら、胸ポケットから煙草を取り出し火を付けた。俺の服装は下着代わりのTテイシャツの上に登山様のニットの柄シャツを着ている。下はジーンズにスニーカーだ。

 なんの気なしの格好だが、100円ライターがあるのは便利に違いない。財布とキイは役に立たないが、財布の中に傷テープが数枚ある。

 そうだ、チートはどうなっているのだろう。そう思い試して見ることにした。



 ラノベの知識だと、ステイタスオープンとか唱えるのだが、言ってみても何も起きない。『天使さん、チートがないじゃない。』と何気なく呟くと、『使えるわよ。』って突然また頭の中で声がした。

『ただ欲しいものを思い浮かべればよいの。ただし、入手できるのは1日1回1種類だけよ。私に聞きたいことがあれば、いつでも頭の中で呟くといいわ。』

 はあ、そうですか。先に教えてほしいもんだな。

『あら、聞かれてないもの。』げっ、返事をされちゃった。便利なのか面倒なのか、まあいいや。さっそく、試してみよう。


 取り敢えず欲しい物は、食べ物だな。飲み物も欲しいけど、明日じゃないとだめか。

『言い忘れたけど、初回特典で今日は10回使えるわよ。』なんじゃそりゃ、早く教えろよ、全く。待てよ、他にも使用上の注意とかあったりするのかな。

『ねぇ、1種類とか例えばどんなもの。ハンバーガーセットとかないの。』

『ハンバーガーセットはありよ、ちゃんとポテトとドリンクが付くわ。』

 やっぱりか、バラで頼んでいたら損するところだった。

『同じものを頼んでも1日1回なのかなぁ。』『一度頼んだものは、次の日から制限とは別に頼めるわよ。1日1回だけど。』

 わっ、なんじゃそりゃ。3日目にはその日に頼める1回の他に、既に頼んだ2日分も頼めるってことじゃないか。そうすると、最初は毎日頼むべきものを選ぶべきだな。

 毎日食べても飽きない食べ物。最初はおにぎり、否、おにぎりセット。明日はハンバーガーセット。待てよ。『ねぇ、モーニングセットとかランチセットとかある。』『もっと特定しなくてはだめだけど、ガ○トのとかロ○ヤルホストのとかならあるわ。』

 もしかして、日替りメニューじゃないの。よし、記念すべきチート第1品は「ガ○トの日替りランチ。」

 すると、目の前に湯気の立ったライスとハンバーグ、カップスープが現れた。ドリンクバーは別のようだ。さっそくいただく、お腹空いてたから夢中で食べた。


 食べ終わって考えた、今夜の宿をどうするか。1番先に思ったのはキャンピングセットだけど、ずっとテント生活はつらい。バンガローにしよう。待てよ、家も頼めるのか。電化製品は使えないのかな。聞いてみよう。

『家もOK、電化製品は発電機を別に頼めば使えるわ。』



 それから俺は、じっくり考えて次のようなものを頼んだのだった。

 ① ガ○トの日替りランチセット(注文済)

 ② 鉄筋コンクリート造3階建て住宅

 ③ 屋根取り付けバネルのソーラー発電機

 ④ 大型冷蔵庫

 ⑤ セミダブルベッド

 ⑥ 布団セット

 ⑦ キャンプ用大型浄水器

 ⑧ ポンプセット

 ⑨ 炊事セット(鍋2、フライパン1、包丁1)

 ⑩ 猟銃

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