ユーリア元王女と元近衛騎士の嫁さん
パーティーは緩やかに進む。
後になればなるほど。高貴なお人が登場する訳やな。
これは大物ほど後に来て目立つ為や、僕らはほどほどに美味しい物食べて、高そうな酒を楽しんだで、
でも全体的に肉類と山の幸が多いな~、
もう少ししたらキノコ類が食卓に並ぶそうです~。
貴族「いや~しかしアサマ男爵は面白い!」
僕の周りに顔見知りになった若い貴族と談笑してます~。嫁さんも仲良うなった奥様達と談笑してます~。
キイチ「僕は冒険者でもあるんで、自分の糧を依頼がてらに狩りにいく予定です~。何処か困ってる所ありますやろか?」
キイチは水魔法の使い手とギルドカードも見せていたので、これには渡りに船と、幾人かの貴族と約束していた。
急に辺りが暗くなる。
話し声が収まり、一斉に壇上の方に視線が集まった。
パパア~、パパア~、パパパ~。ドルルルルルル。
ベラース王国楽団か、勇壮で軽快な音楽が流れた。
パパっと壇上にマジックアイテムの照明が当たる。
時期国王である皇太子アーサー王子と、ユーリア王女の登場であった。
ベストリアーネ「ああ~、姫様・・・」
ユーリア王女を認め嫁さんの目が潤んだ。どうやら本人の無事な姿を確認出来て、安心したようだ。
キイチ「流石は王子様と王女様、絵になるな~」
貴族「あはっ、キイチ殿は変わってますな」
僕のコメントに側にいた若手の貴族達が苦笑する。
キイチ「どうせ僕等の挨拶は終わりやろ?、だったら未来のベラース国王様と未来の王妃様のご尊顔を見て、忘れんようにせな、僕は自分所の王様の顔もよう覚えてませんので」
「「「ブフッ・・・・・」」」
何故か若い貴族処か、見るからに大物貴族ポイ人も慌てて口に手を当て肩を震わせていた。
儀礼官「アーペル王国、新任大使ダオス・オーデ・ゾフマン様の献上品」
儀礼官は目録を執政官に渡して確認していたが、顔を一瞬歪めた。
それからレウス子爵がアーペル王国からの献上品の目録を儀礼官に渡して、それを執政官が受け取り。安堵の吐息を吐いていた。
儀礼官「アーペル王国、新任の側仕え。キイチ・アサマ・ポートレール男爵、婦人は元近衛騎士ベストリアーネ様」
今まで凡庸な眼差ししていた。ユーリア王女はハッと我に返り、驚いたように眼を開く。
キイチ「僕達からの献上博多です~」
儀礼官に目録を渡した、それを執政官が受け取り開いて見たのだが、二度見していた。
執政官「直ちに!、アサマ男爵様の献上品を大広間に!」
血相変えた執政官に、何事かと周りにいた貴族がざわめく中で、
急ぎ運ばれて来たのは、
執政官「じょ、『女王の生地』でございます!アーサー皇太子」
一瞬の静寂の後、溜め息まじりの歓声が上がった。
執政官「これほどの物の献上は、例にありませんでしたアサマ男爵殿」
感心した執政官に、にこやかに笑って、
キイチ「この間のことなんですが~、うちの嫁さん、ベストリアーネがな、姫様の事心配しすぎて、僕をお姫様だっこして、仕事しとった伯爵様の何処に突入してるくらいの大事でした、僕が持ってる物でうちの嫁さんが少しでも安心できるんなら、この程度のものも献上出来ないで、夫ではないですやろ」
にこやかに全て妻のために手に入れたと、笑いを含めて説明したアサマ男爵と顔を真っ赤にした婦人の様子から、
男爵が語ったことが、限りなく真実だと分かる。
なんだか生暖かい眼差しがキイチと嫁さんに送られた。
キイチ「どうぞ、ご笑納下さい」
執政官は笑みを浮かべ一礼していた。
そこからは和やかなムードでパーティーは終わった。
§§§×§§§
アーサー・セイル・ベラース皇太子
パーティー前のユーリアは落ち込んでいた。
それもそうだろう、側仕えの何人かが帰国するのだ、寂しく思うのも理解できた。
このパーティーでは、新しい大使就任の御披露目と、ユーリアの
新しい側仕えとの顔見せの場でもあった。
例年アーペル王国から来る大使はろくな人物が就任しない。その上献上品も最低限と話しにならない酷さであった。
唯一の救いはアーペル王国からの献上品は例年通りだったことだ。
儀礼官「アーペル王国、新任の側仕え。キイチ・アサマ・ポートレール男爵、婦人は元近衛騎士ベストリアーネ様」
ユーリアが驚いたように眼を開く。どうもアサマ男爵の奥方はユーリアと旧知の間柄であったか、
ユーリアの表情が和らいでいた。
しかし驚きはそれだけでなかった。
アサマ男爵が献上した品は、ベラース王国が誕生してから、上から数えても屈指の品であったのだ。
その献上品を求めた理由が、なんともほっこりさせるではないか、
我がベラース王国は温厚な民族であるが、決して怒らないこともないし、侮辱されても心の奥底に貯めて、力に変える事が出来る。
しかし心からの気遣いに弱い民族である。
今宵、大広間にいた者は皆アサマ男爵と婦人の心使いを忘れぬぞ。
アーサー皇太子はユーリアの穏やかな笑顔をみて、強く思うのだった。




