王城に登城するんは・・・
§§§×§§§
昨夜は、思いの外楽しい時間だった。
あのキイチと言う商人で冒険者の庶民のこと思い出すと自然と笑みが浮かんだ。
父上曰く、女誑しの人バージョン人誑しと呼ばれる相をしているとか、
まあ~、分からんでもない。
すっかりトリフォンが気を許し、妻のセレスティーナまでもが気を許した。
あれには驚いた物だと母上と話した。
しかもあの酒を使用人にもこっそり飲ませてたと聞いて呆れよりも、キイチを恐ろしく感じた物だ。
ああいう人間が仲間だと、我が家も安泰であるな~。
リスタン「如何したトーマス殿、ずいぶんとご機嫌であるな」
トーマス「いやなに、昨日父上が来てな、久しぶりにゆるりと話せたのだ」
リスタン「おお~!、そうであるか!、それよりも聞いたか、あの豪胆男爵様が復帰されたと」
トーマス「なっ。なんだと!」
父上から聞かされていたが、驚いた顔をして見せた。
まあ~、この程度出来なくば貴族の次期当主等と呼ばれてはいない。
はてさて父上にも困った物だ・・・。
でもあの男には、それほどの価値はあろう。
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《薬師ギルド》
「ようこそ薬師ギルドへ、本日はどのようなご用でございますか」
よく異世界物だと。受付が実はとかあるけど、そんなこと基本ないやろ。
「初めまして、僕は商人で冒険者のキイチともうします~」
受付の美人さんはにこやかに微笑み。
「これはご丁寧に、それでキイチ様はどのようなご用でギルドへ?」
「はい、僕は仕事がら地方回ったりしてまして、色々な土地を回る予定です~。そこで珍しい薬草や採取とかする可能性がありまして~、このギルドで薬草図鑑の販売されてる聞いてます
。それを買いに来ました」
若い商人にしては、とてもしっかりした人物である。
「ええ~と、言いにくいのですが、一冊大金一枚になりますが・・・」
「構いません、大金貨で払いますか、それとも金貨で出しますか?」
心配から申し訳なく思い声を掛けたのだが、若い商人は気にした様子がなく、即金で買うと言うのだ。
「あっ、あの~カードの提示をお願いいたします」
あまりに若いのでカードの提示をお願いした。
「構いまへんで~」
にこやかに応じてくれ、商業ギルドカードを見て驚いた。
まさかこの若さで、銀行口座開設してるほどの商人とはと、感心してしまった。
それから無事に植物図鑑を買う事が出来た。
その様子を一人の女性がじっと見ていた毎には、気付かないままだったが、
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ワシが王都に来るのも5年振りになるかの、懐かしくも時とは残酷である。
この歳になれば、見送ることも増えて行く物だ。
戦友との別れ、飲み友達の別れ、同僚との別れ、貴族であれば全て飲み込み。
家のため、清濁飲み合わせ込むこともあたえり前なのだと思っていた。いや思って、
諦めていたのだろうな・・・、我が家は、と・・・。
あれほど可愛がっていた部下達も、四肢を喪って、少しずつ疎遠になってました。
しかし我が家に土足であがって来て、そんな不幸なんてどうとでもなりますが何か?、
そうあの婿殿なら笑ってこなして仕舞いそうな雰囲気があった。
最初は家の利益の為だったのだが、ワシは心から笑っておった。
あんなに声をあげて笑ったのはいつ以来だっただろうか・・・、
そう・・・、ワシは不要と切り捨ててきた。大切な部下と気に入っていた。
貴族達を婿殿のお陰で救う事が出来た。
ランドール伯爵の後ろを歩く二人の人物を見て、王城にいた貴族達は、顔色を変えていた。
ディール・ドワン・ルージス男爵26【豪胆男爵】
ポール・スミオン・ダオン子爵31【イーグルアイ】
二人はランドール伯爵の両腕と呼ばれた猛将と勇将であった。
二人とも四肢を失っていた。貴族として終わったと思われていた人物である。
この二人の他にも五人ほど治していたが、直ぐに動けたのは、この二人だけだったのだ。
官僚「プランダー伯爵、ダオン子爵様、ルージス男爵様御入場!?」
口上を述べて、謁見の間の扉が開いた。
こうしてワシが王に謁見を賜ったことは既に知られておるし、城に詰めておる雀どもが麦を啄まんとてぐすね引いておるわ!、実に小賢しい。
三人が、臣下の礼を取り一礼する。
王「おお~!、誠に、誠にディールにポールではないか!、おお~!」
王は信頼出来る方だ、次代は未だ分からぬが、
ディール「陛下、長の不精をお許し下さい」
王「許す!、許すとも」
ポール「再びお会い出来て嬉しく思います」
王「世もだ、ポールよ!、今日はなんと素晴らしい日であるか」
ランドール伯爵「陛下、これも霊薬の原料を手に入れてくれた、あの者のお陰でした。しかもあの者は陛下に献上したいと、珍しい物を持って参りました」
ランドールが前もって知らせていた献上品は、王もご存知である。
しかしこのばにおる雀どもが、知るはずもない。
好奇心で目を輝かせておるわ。
刮目せよ、我が婿殿が用意した品をな!。
王の合図で、近衛が大仰に献上品を運び入れて、宝物庫の管理を任せられてる宮廷魔導師の一人が、献上品を鑑定していく。
王「して、プランダー伯爵が献上した物はなんであるか」
「はっ、こちらのコートは世に二つとない。白猿の変異種である白皇帝猿のコートでございます」
ざわざわ、最近王都では白猿のコートが流行っていた。かなりの高額で取引されていた。
「続いてこちらの品は、間違いなく霊薬でございます」
『なんと・・・』
驚きの声が上がる。
「それだけではありません、こちらに保管されてる物は間違いなく黄金蜂蜜です」
『『『おお~!』』』
今度の歓声は純粋な驚きからだ。
王「なんと本物か・・・」
王も本物と、知らせていたがこうして目の前で鑑定されて、ようやく実感を覚えたようだ。
ランドール「陛下、彼の者は、これ等を陛下に献上したいと、申しております」
王「そうか!、それは多大なる功績であるな、うむ宰相よ」
宰相「はっ、量を見る限りかなりの霊薬が作れましょう、それだけでも爵位を与えるに十分な功績でございます、さらにこの世に一つしない特別なコートこれは、王家は彼の者に恩を受けたと判断出来ましょう」
王「ほほお~う、普段厳しいその方が、それほど言うのだ、さぞや素晴らしい効果があるのだろう?」
宰相「はっ、子宝に恵まれるそうです」
王「なんとなんと!、実に素晴らしい物ではないか!」
宰相「はっ。よってこの二つの功績を認め男爵位を与えるに相応しいと愚考致します」
最初は、反対の声をあげ掛けた貴族もいたが、コートの効果を聞いて納得していた。
ランドール伯爵「陛下、彼の者はそうなると予想していたのか、こちらも献上したいと、渡されておりました」
またずいぶんと都合のよいタイミングでの合いの手に、宰相もギロリ睨む。
王「ほほお~う、彼の者は気が利くの~してなんであるか」
ランドール伯爵「はっ、アマナリワインフルボトルと黄金蜂蜜酒でございます」
今度こそ誰もが、固まった。
王「いっ。今なんと・・・」
ランドール伯爵「アマナリワインフルボトルと黄金蜂蜜酒でございます」
ランドール伯爵の合図で、今度は上級給仕が、ワゴンを押してきた。
白磁の布が剥がされると。赤い宝石のようなワインと琥珀のボトルが鎮座していた。
王「如何であるか」
「はっ、間違いなく」
宮廷魔導師が、冷や汗を流していた。
いくら貴族とて、これ程の珍品はそうそうお目に掛かれない物だ。
ランドール伯爵は、深々と頭を下げていたが、ニヤリと不敵に笑っていた。




