ようやく王都に向かいます~
ディール男爵家と共に、王都に向かって出発てす~。
つい最近まで、大病してた風には見えへんな~、実に格好いい兄ちゃんってよりも、頼りガイのある兄貴って感じやな、
ディール男爵「やあ~、君がキイチだね。君には感謝してるよ、これからも宜しく頼む」
「こちらこそ宜しくお願いいたします~」
なんや朗らかに笑う良い兄ちゃんやな~、
キイチは知らない。ディール男爵は、その豪腕から繰り出す槍の達人で、たった一騎で500もいた兵を蹴散らして、その後も5000もの敵兵に追われながら、殿を勤めて見せた人物だった。
そんな武闘派のディール男爵に感謝される人物となれば、下手な貴族はキイチに手を出そう等と考えなくなったなるものだ。
リスクが多き過ぎると判断する。
こうしてランドール伯爵は、南にいる貴族の中でも義理堅く、武に文に通じる貴族を助けて行きながら、王都を目指していた。
知らぬはキイチだけだ。
━━━━予定より18日遅れで王都ビーツに到着した。
「これから我々貴族が通るのは、貴人の門になる。普通の商人、冒険者はあの大門で税を払い王都に入るのだ」
王都ビーツの大門の入場税は、一律銀貨一枚になる。
ただし貴族、それに準ずる親族、子供は無料になっている。
ただし貴人の門にて監査を受ける義務が生じるが、
キイチの場合、王の命による謁見である。
また後見人にマイヤー伯爵家が付いてるので、同じく貴人の門から、王都ビーツに入ることになった。
門番「はい、確かにマイヤー伯爵様ようこそ王都へ」
無事、王都の中に入る事が出来た。
そのまま馬車は王都の中心部、高級住宅地に入る。
程無く広大な敷地のある屋敷に到着した。
「さあ~て、おっ、トーマスもトリフォンも来ておるな~」
「父様!」
「やあ~お帰り、僕の天使ベス」
あのナイスミドルがベストリアーネ様のお父さんのようやな~。
「ああ~、私のベス♪」
「お母様!」
「よく、よく無事で・・・」
どうやら王都にまでベストリアーネ様の勇名は、轟いていたようだ。
「父上、そちらの彼が・・・」
ランドール伯爵「そうだ、商人で冒険者のキイチである」
「お初にお目に掛かります~、大阪国から来ました商人で冒険者のキイチともうします~」
ジロリ値踏みする目をキイチに向ける。殺気こそ無い、ランドール伯爵の鶴の一声とは言え、ベストリアーネ様の婚約者として、ポットでの貴族でもない平民とするとか、次期当主としていかがな物かと思っていたとしても、可笑しくはない。
「そや、僕からの献上品は試していただけましたか?」
次男のトリフォンも二人がかりでプレッシャーを掛けるも、キイチはどこ吹く風である。
あらあら困ったわね~と言いたげな女性と目があったので、次いでに口にする。
「ええ、ええ!、あれは素晴らしい食べ物でしたわ~、これから暑くなりますもの、我が家のお菓子として十分な献上品でしたわ~、ウフフフ♪」
パチリ、ウインクの合図があった。妻の後押しに次期当主トーマス様とトリフォン様は苦虫噛み締めた顔をしてましたようで、
でも僕には関係あらへんで~、決めたんは伯爵様です~、文句は伯爵様にどうぞ。
奥様の取り直しもあって重苦しい雰囲気はあれど、問題なく受け入れてもろうたようや。
荷物下ろして、身だしなみ整えた所で、王都の屋敷を束ねる執事長を呼んでもらった。
執事長「失礼致します。わたくしに用があるとか」
キイチ「そうや、取り敢えずこれを確認して下さい」
客室にあるテーブルの上に高級ガラスで出来たワインボトルに、琥珀の酒とスカーレットと呼ばれる非常に美しい赤い宝石のような、おそらくワインであろうか、
執事長「こちらは大変素晴らしい物と存じます」
キイチ「ガワは知らんが、中身は僕が黄昏の森で作ったアマナリワインと黄金蜂蜜酒や、これは樽であるんやが、それやとありがたみないやろ、これは献上するからこれと似たようなボトル手に入らんか、聞きたかったんや~」
キイチのあまりな事情を聞いて、最初は庶民の出だからと馬鹿にしていた執事長の足元から、自分の価値観が崩壊していく音を確かに聞いた。
執事長「そっ、そちらを当家にですか・・・」
キイチ「そうや~、今晩皆で飲むつもりや!」
あまりにも気楽に言ってくれるが、くらり目眩がしてきた。
仮にも伝説の黄金蜂蜜で、蜂蜜酒とか、頭が真っ白になった。
さらにアマナリと呼ばれる葡萄もかなり希少種で知られており、この前のオークションでこの半分、ハーフボトルで、白金貨五枚で落札されたと記憶している。
それがフルボトルが五本、値段が付けられない黄金蜂蜜酒がフルボトルで五本である。
キイチ「まあ~樽でぎょうさんあるから、使用人にも後で出すつもりや」
朗らかに笑うキイチをただの庶民とは、二度と思わないと誓った執事長は、震える手でどうにか、
キイチから受け取った10のフルボトルを丁重に保冷庫にしまってから、腰を抜かしたとか、




