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浅間工務店の若は、異世界でツーバイフォー工法を極める  作者: 背徳の魔王
ようやく森から出たで~
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人助けは大変ですわ~



 盗賊達を始末して、死体をアイテムボックスにしまう。


 それから見張りがいた扉を開けると。


『だっ。誰よ、わっ、私達もみんなみたいに殺すつもりなの、例え汚されようとも!、舌を噛んで死んでやるわ!』


『おっ、お嬢様お待ちを、ここは、わっ。わたくしが・・・・・』


『エーテルローズ・・・』


『お嬢様・・・』


キイチ「なんや盛り上がってるとこ申し訳ないんやが、盗賊なら、僕がさくっと。始末したで~、一応助けよう思うたんやけど、このまま放置したったほうが、良かったかいの~?」


『助けですって!、まあ~、まあ~、それは本当にですの、もしも嘘でしたら、お祖父様に言いつけてお仕置きして貰いますからね!』


『お嬢様・・・・』


 おろおろする。お付きの人と、典型的なお子さまなお嬢様やな~、


 しかも我が儘なと付きそうで、頭が頭痛しそうやで~、


キイチ「はあ~、このまま見なかったことにしようかいな」


『なっ、このわたくしプリシラ子爵令嬢を助け出せる好機を不意になさるつもりですの!?』


『おっ、お嬢様・・・』


 チラチラ此方を伺いながら、ハンカチで、目元を拭う仕草しとるで、ベタやしめっさ演技が下手くそ過ぎて可哀想になるわ。んでお付きの姉ちゃんは明らかにわざとやん、んなのに引っ掛かるのはお馬鹿なお坊ちゃんだけやで?。


 でもなあ~、おかんは女の子泣かせたら折檻されるさかい、ここはドーベルマンに噛まれてもうたと諦めなアカンな~。


※ドーベルマンに噛まれてはケガで済むか不明です。


キイチ「はあ~、しゃ~ないの~、助けるけど、後は自分たちで何とかしいや」


『なっ、何を言うんですの!、貴人である。わたくしの世話をさせてあげますのよ、もちろんわたくしのお父様の領街ローデンまで連れて行きなさい、命令ですわ~!』


 なんや面倒なことを、このがきんちょが言い出しよったで、


 明らかに面倒臭そうなと顔に書いてあるキイチ、


『あの~、あの、あの!、お嬢様とわたくしを届けて下さいましたら、旦那様も報償金を出される筈です。どうか、どうかお願いいたします!』


 がきんちょはあれやが、お付きの姉ちゃんは多少はまともやな~。


キイチ「領街が何処かは知らんへんが、近くの町までは連れたったるわ」


 鍵は見張りがもってこいたんで、簡単に開ける事が出来た。


 お嬢様は出て来たら、来たで、やれお腹が空いただ、我が儘の言いたい放題やったで、思わずカチンと来て、


頭をバチコンと叩いたったわ、こないなバカながきんちょには拳骨落とさな、目が覚めんからな~、これでダメならここに捨ててくつもりです~。


キイチ「がきんちょが、助けてもろうて!、お礼の一つも言えんとは何が貴人やねん、お前んみたいなのはな~、ただのバカと言うんや!」


一瞬。呆然としていて侍従、お嬢様の目にこんもりと涙が溢れてきて、


 所謂、ぎゃん泣きしたったわ、エーテルローズって名乗ったお付きの姉ちゃんに聞けば、今まで悪いことしても怒られた事が無かったらしい。


 それで我が儘が酷くなってきた所で、一度領街ローデンに帰される所やたんやが、間が悪いことに噂の盗賊に襲われたと言うことらしいで。


キイチ「エエか~、がきんちょ、いくら生まれが良くてもなぁ~、自分の周りに感謝しなければならんで?、それに思い出しいそっき自分が口にしたことや、がきんちょが我が儘でも、命賭けてまで、身を挺して助けてくれた者がおったんちがうか~?」


 お嬢様の目線に合わせ、膝立ちしてから諭すように優しい口調を心がける。これは子供やからと頭ごなしに言うのと自分の目線で諭すのとは、受ける言葉も変わるちゅう話や、僕のおかんがそうしてくれたから、同じようにしたるねん。


キイチ「中には、顔見知りもおった筈や、がきんちょが、生まれてからず~うと側で世話をしてくれた人達や、せめて僕にはありがとう言わんでも、最初に助けてもろうた人達にはありがとう言うたんか?」


 ハッと顔を上げたがきんちょの顔が強ばる。


キイチ「多分、彼等は野ざらしのままやで、もう獣に死体は食い散らかれとるやろし、がきんちょを護れなくて無念やった筈や、そんな中、彼等にせめてものや、ありがとうとは言えへんか?」


 お嬢様は少し考え涙を流しながら、静かに首を振るった。


「・・・ごべんなざい!?、みんなありがどう!」


キイチ「よう言うたな~、頑張ったで、偉かったで~」


 プリシラの頭を優しく撫でてやると、僕に抱きついてワンワン泣いて何度も、みんなありがとう、我が儘でごめんなさいと何度も何度も呟いた。


「お嬢様・・・・・」


 エーテルローズも涙を流していた。



━━━それは不思議な心地だった。



 プリシラは、自分の中にあった何か良くない物が、涙と一緒に流れ出ていく、不思議と心地良い気持ちと。素直になっていた。


キイチ「涙で、全てを流し出してもうたら、飯にしようやないか~」


プリシラ「コクコク」


エーテルローズ「お手伝いします」


キイチ「まあ~、そないに手間は掛からんで~、座っとき」


 元々この洞窟で、炊事もしてたみたいやしな~、綺麗な鍋もあったで。


 温かい具沢山のスープこさえたったわ。簡単に出きる。うどんを茹でて一緒に煮る。


 食べやすいようにホークを添えて出す。


 時間停止されてた熱々の串行きを一本づつ、皿に置いて出した。


キイチ「さあ~、温かいうちに食べようやないか!、いただきます」


「「??、この糧を神々に感謝を」」


「カプリ・・・、美味しい、温かくて、美味しい・・・」


「お嬢様・・・」


 また涙を流しながら、一生懸命にご飯をたべる。


 実にええ事やで!?、食べたら感謝する。僕なんて日々感謝やで~、


「ありがとう、美味しかったですわ~、感謝いたします」


 なんやさっきまでとえらい変わりようやな~、艶やかな笑みは、さっきまでの我が儘お嬢様の姿はもうそこには無かったわ。


キイチ「ぎょうさん食べたら、ゆっくり寝るとええねん、気持ちも柔らかくなるさかいな!」


 アイテムボックスから使ってないダブルベッドだして。新しいマットレス、毛布二枚だした。


キイチ「これはまだ一度も使ってないベッドに毛布や、安心して寝るとええ、僕は入り口の所で見張りしとるからな、そや朝になったら出るからしっかり寝るんやで~、がきんちょ」


 頭を優しく撫でてやる。


コクリ、素直に頷いた。





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