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1人になりたい夜もある……  作者: 澤田慶次
1/6

親友と幼馴染み……

色々な人間模様を短編集にしていきます。

ぜひ、感想等をお願いします。

週1回くらいで更新出来たらと思います。

男が2人、夜の公園に居る。

ホット缶のブラックコーヒーを飲みながら、ベンチに座っている。

1人は村田むらた健一けんいちであり、もう1人は岡田おかだ信和のぶかずである。

2人は親友であり、中学から大学までを一緒に過ごした。


2人はコーヒーを飲む。息を吐くと白くなる。2月の中旬の寒い夜、時間は22時を過ぎていた。

「悪いな、こんな遅くに……」

「本当だよ、寒くて仕方ねぇ!」

「そう言うなよ…話があんだからさ!」

「早く言えよ…寒いんだからさぁ……」

「ああ……」

信和はコーヒーを1口飲んだ。

「大切な話なんだ……しっかり答えろよ」

「何だよ、早く言えって!」

「優依の事、どう思う?」

「優依って……お前の彼女だろ?」

「お前の幼馴染みだ……」

「関係ねぇだろ?……俺達は腐れ縁だ……」

「そうか?……そんな感じはしねぇけどな……」

「何言ってんだよ!…そもそも仲を取り持ったのは俺だろう?」

「そうだけどさぁ…………何だか最近、優依の様子がおかしくてよ……」

「なんだなんだ?……それで俺を疑ったのか?」

「そうじゃねぇんだけど……」

「大丈夫だよ、優依はお前を好きだよ……」

「……俺さ、結婚しようと思ってるんだ……勿論、優依とさ……」

「おお、そうなのか……おめでとう……でいいんだよな?」

「…………良くないな……」

「何でだよ!…めでてぇじゃねぇか!」

「…………お前はそれでいいのか?」

「??」

「お前はそれでいいのかよ?…優依が結婚するんだぞ?」

「お前と結婚だろ?……いいに決まってるじゃないか!」

「……この野郎…」

信和は健一の胸ぐらを掴み立ち上がると、そのまま空いてる右手で健一を殴った。健一は地面に倒れた。

「痛ぇな、何すんだよ!」

「少しは目が覚めたかよ?」

「訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇ!」

健一は立ち上がると、信和を殴る。

「この野郎~……」

「やんのかコラ~……」

健一と信和はお互いに殴り合った。信和が殴れば健一が殴り返す。仲の良い兄弟が喧嘩をしている様な、そんな雰囲気であった。

どのくらい殴り合っただろう、2人はベンチに腰を卸した。

「はぁ、はぁ、何なんだよ……くそ……」

「はぁ、はぁ、まだ分からねぇのかよ……」

「何がだよ!」

「俺はな……俺は、お前は親友だと思ってる……」

「俺だって思ってるよ!」

「俺は……俺達の関係は、遠慮や嘘はねぇと思ってる!」

「当たり前だろ?」

「本当にそうか?…俺に何か隠してないか?」

「何を隠すんだよ?」

「優依の事だよ!」

「優依の事……?」

「……お前、優依を好きだろう?」

「な、何言ってんだよ?」

「お前は優依が好きで、優依と付き合ってるのが俺だから……言い出さないんだ……」

「何言ってんだよ、そんな事……」

「無くはねぇ!……図星だろ?」

「……少し違うな…………確かに俺は優依が好きだ。でもな……俺はお前も大切なんだ……2人が幸せそうにしている…俺にはそれで充分なんだ……」

「だとしてもだ……自分の気持ちを隠す必要ねぇだろ?……まして俺に……」

「…………それも違うんだなぁ……」

「何が違うんだよ?」

「……お前に優依を紹介したの、何時だったか覚えてるか?」

「当たり前だ!…俺がお前に頼んだんだからな!」

「何時だよ?」

「中学1年の時の秋…9月だ!」

「正解だ……そして、お前達は中学2年の始めに付き合い出した……」

「そうだな…」

「……俺の初恋は中学2年の終わりなんだ……」

「え?」

「お前と優依が付き合ってるのを見て、優依を客観的に見る事が出来た……うるさいお節介女だと思ってたけど、優依っていい女だなぁと思った……それが俺の初恋だ…………だから、例え時間が何回戻ったとしても、俺は信に優依を紹介するし付き合う為の協力もする……そして、2年の終わりに初恋をするんだ……俺はみんなより、初恋の時期がずれてたんだ…ボタンの掛け違いかな……」

「健……」

「しかし、お前のパンチ……凄く痛ぇぞ!」

「お前もな……中学1年の時以来かな……」

「そうだな……原因は何だっけ?」

「さぁて…些細な事だったとしか覚えてねぇよ!」

「「はっはっはっはっは」」

笑っている2人に1人の女性が走って来る。

「信和さん、話って何?……2人共、顔に傷が……」

「優依、丁度良かった……話は先に健からだ……」

「は?…俺はねぇぞ?」

「有るだろ?…もう1度ぶん殴るぞ!」

健一はベンチから立ち上がる。

「優依……俺な……」

「何?」

「俺……俺な……お前の事が好きらしい……」

「!?」

「どうやら、お前が大好きらしい……」

「そういう事だ……優依、これからは健を支えてやってくれ!」

「信和さん?」

「お前も健が好きなんだろ?…それが分からない程、俺はお前等と薄い時間は過ごして無いさ……」

「いや信、お前はそれでいいのか?」

「しょうがねぇだろ?…分かっちまったんだから!……お前等は近過ぎて、気持ちが分からなかったんだよ!」

「しかし……」

「信和さん……」

「なんだなんだ?…このくらいで俺達の関係は終わらねぇぞ?……俺達は親友だ!……だろ?健!」

「ああ、その通りだ!」

健一と信和は右手でハイタッチをした。

「少し、2人で話してけよ……俺は帰る、じゃあな!」

「信、ありがとな……」

「ありがとう、信和さん……」

「おう!」

信和は右手を軽く上げて公園を出て行く。

(中学1年の冬、優依との約束を忘れて殴られて以来だよ……あ~、今日は本当に冷えるな~……)

信和はポケットに両手を入れて、自分のアパートに向かった。

第一回、感想、お待ちしています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだかほろ苦く切ないけど、大切なものを感じますね! ボクサー達のほうは熱いものがいっぱいですが、こういう甘酸っぱい話もひょっとしたら、ボクサー達にもあったのかな…とかいろいろ想像してしま…
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