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92話 ミドリムシは龍になる

 冒険者と魔緑の嫁達の驚きをよそに魔緑がその体を変貌させていく。


 魔緑の体はそのエメラルドグリーンをさらに濃くなり液状化していき、髪は1本にまとまる。その液状化したような中に光る核が見られる。


「あ! ミドリムシだ!」


 魔緑の変貌した体をみた緑が声を上げる。今、緑が居る世界にミドリムシを知る者は緑達以外いない。冒険者達は魔緑の姿見て馬鹿にし始める。


「なんだこいつスライムになったのか?」


「まだ人型の方がつよそそうだぜ」


「すっごい弱そうだな」


 冒険者達が馬鹿にする中、魔緑の嫁の3人は魔緑の姿を注意深くみていた。そんな時1本にまとまった髪が振るわれた。


 バシン!


 それを周りで見ていた全員が戦慄する。それは、振るわれた髪が動いたあと僅かながら音がずれて聞こえたのであった。


 蟲人達の中でもヒカリやクウは音の壁を超える事が出来るがそれは前準備があった上での話であり。今、行われたのは準備運動や体の調子を見るそんな動きで音の壁をこえていた。


 魔緑と戦う冒険者達はそれに気づいていない。他の者達が魔緑の動きに注目する中、魔緑はさらに体を変貌させる。魔緑は初め球体に近い形をしていたが体が形を変えてゆきクリアグリーンの龍になる。その姿になっても龍の後頭部に美しく長いまとまった髪がなびいていた。


「な!? 龍だと!?」


「龍の形をまねただけだろう?」


「きっと見掛け倒しだ」


 冒険者が好き勝手なことを言っていると魔緑が声を上げる。


「ギルドマスター 開始の宣言を!」


 それを聞きギルドマスターが開始の合図をする」


「は、はじめ!」


 ギルドマスターが開始の合図をした瞬間。


 ドン! ドン! ドン!


 3回音がした瞬間冒険者達の姿が消える。


 注意深く見ていた周りのもの達がその姿を目で追うと3人共緑の出した氷の壁に叩きつけられ意識をうしなっていた。


 目で追えた者達より少し遅れその光景に気づいたギルドマスターはあわてて終了の宣言をする」


「そ、それまで! 勝者魔緑! 大丈夫かお前ら!?」


 さきほどまで3人のやり取りにうんざりしていたギルドマスターであったが3人の姿を見てあわてて駆け寄る。


「だ、大丈夫か!?」


 再びギルドマスターが声をかけた瞬間3人が水球に包まれる。先ほどと同じように緑が治癒をする。だが今回は先ほどの様に完治まで癒さず3人を起こす。


「キューン! キューン!」


「ピィ ピィ~」


「シュルル~」


 冒険者達は姿はそのままで悲しげな声をだしていた。


 ドスン! ドスン! ドスン!


 魔緑が変貌したままの姿で冒険者の元へ歩み寄ってくる。


「なぁ、これで少し落ち着いて話をきいてくれるか?」


 そう聞かれた3人は震えながら無言で頷くのであった。




 その後、緑に傷を治してもらった3人は緑達につづきギルドの酒場に来ていた。


「さて、今までの説明をしようか」


 魔緑がそういった瞬間横やりがはいる。


「まーちゃんやその前に私達に先ほどの姿の説明をしてくれないか?」


「せやで、あんな龍種になれるなんてうちらきいてないで・・・・」


「すっごくびっくりしました」


 嫁の言葉を聞いた緑はヤレヤレと龍種に変貌できた理由を説明する。


「まぁ皆きいてくれ俺は世界樹の元でコアを破壊されただろう?」


 その言葉を聞き【軍団】(レギオン)のメンバーが頷く。


「その時に兜がもっていた龍種の魔石をつかって俺を治癒をしてくれたよな。たぶんあの時から龍種になることができたんだと思う…… 正直な話、俺自身もこの力について手探りで探っている現状で隠れて変化してためしていたんだ……」


「なんでいってくれなかったの!」


 緑が叫ぶが魔緑は少し複雑そうな顔をする。


「俺自身がまだ制御でき「ずるい! かっこよすぎる! 僕もなりたい! なりたい!」」


 魔緑が話していた途中から緑が騒ぎ始める。魔緑はその姿を呆れたようにみていた。


「俺自身がまだ制御できてない部分もあるが1番は緑がこの姿をみてうらやましがるのが目にみえていたからだ……」


 緑が騒いでいるのを横に先ほど遮られた理由を魔緑が話す。


「「……」」


 魔緑の言葉を聞いた他のメンバーも沈黙して肯定するしかなった。




 緑が落ち着いた後、琉璃、凛、珊瑚を自分の嫁にすると言っていた冒険者達に今までの経緯を説明する。


「「お嬢~」」


 経緯を聞いた3人は女々しく琉璃、凛、珊瑚にすがるが3人はそれをよしとしない。


「やめんか! それにのう…… お主たちはそれぞれ好いとる者達がいるだろう……」


「「え!?」


 3人が驚きの声を上げる。


「せやで確かにうちらはあんた達が好きな子達より強いかもしれんけど強い子を残すしきたりに縛られる必要はないんやで!」


「そうです! だから私たちのお父さん達も私達が街をでるといっても何もいわなかったんです!」


「「え!? リーダー達がとめなかったんですか!?」」


「まぁ、それは本人たちに聞いてはどうだ? 聞いているんだろう?」


 魔緑がそう言うと3人の壮年の男達とその後ろからついてくる3人の娘達が緑達の元に歩いてくる。


「まぁ、ここじゃあなんだからギルドの部屋を借りましょうか」


 緑がそう言って受付に行き部屋を借りたいうまを伝えるとギルドの奥にある部屋に通される。


 部屋に通され先ほど現れた6人と冒険者3人を対面に緑達も席につくと琉璃が口を開く。


 緑達は琉璃から壮年の男3人は3つのチームの現リーダーで琉璃、凛、珊瑚の父親で3人の娘は妹たちであると聞かされる。


 琉璃、凛、珊瑚が街を出た理由は、次のチームリーダーになるためにそれぞれ各チームのエースと娘のどちらかと結婚することが条件のためであった。


 それぞれのチームのエースは琉璃、凛、珊瑚より妹たちと惹かれあっていたが強さでは妹たちは3人に遠く及ばなかった。チームの方針としてリーダーはより強い異性と結婚をする風習ががあり3チームのエースはそのため琉璃、凛、珊瑚と結婚を決意していた。


 こちらの世界で一夫多妻や多夫一妻は珍しくない話ではあったが3人のエースはそれを頑なに拒んだ。自分の愛する妻は1人で良いと。琉璃、凛、珊瑚もこの部分には非常に関心していた。


「なぁ、フェン、ヒューイ俺も風習に従う意味はもうないと思うねん」


 凜の父が琉璃と珊瑚の父に自分の気持ちを伝える。


「そうだのう、俺もそう思うのう」「すっごく俺もそう思う」


「おとん達ほんなら、結婚はこの子達でやればいいんちゃう?」


 凜が3人の父親に問う。


「では次の各チームのリーダーは結婚式をもってゆずるのかのう?」


 琉璃がさらに問いかける。


「「それでいい(ええ)」」


 父親たちが声をそろえを聞いた6人は喜び駆け寄る。


「「え?!」」


 それを皆が温かい目で見ていたが思わず驚きの声を上げる。6人が駆け寄りお互い喜びを分かち合う相手が予想外の相手だったからであった。


 フェンリルの冒険者と凜の妹、グリフォンの冒険者と珊瑚の妹、ヒュドラの冒険者は琉璃の妹と抱き合うのであった。


「「どうなってるんだ!!」」


 琉璃、凛、珊瑚とその父親たちは声をあげるのであった。


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