8話 ミドリムシは家族が増える
シャークの妻の回復祝いにギルドで大騒ぎをした数日後、改めてアラン達と話し合った緑とヒカリはダンジョンにもぐるのに2日ほど準備期間を設けられた。
この期間に自分達で一度ダンジョンに潜る準備をするように言われたために朝から緑達は食事の買い出しをしていた。
「緑様このあたりで食事の準備はいいかと思います」
「ああ、そうだね」
食事を大量に買い込んでいた緑達は1度街を出て緑がこの世界に来た初めての場所まで来ていた。
「ありがとうヒカリここまで運んでくれて。重くなかった?」
「はい、今の私は緑様を運びながら飛ぶことに消耗などしません」
この湖から歩いて街までいった緑は数時間の時間を費やしたが、ヒカリに運ばれて来てみればわずか数十分で着くことができた。
「緑様これから超光合成をされるんですね」
「うん、ダンジョンで不測の事態に陥っても大丈夫な様に少しエネルギーを貯めていこうかと思ってね。ヒカリはどうする?僕はしばらく湖につかることになりそうだけど・・・・・」
「そうですね、私はこの前生み出した5匹の子供達を連れて狩りに行こうかと思います」
「わかった、行っといで。ただ、知らない人とは争わないでね。最悪ギルド証をみせてもいいし。あ、でも盗賊なんかは、捕まえてしまってもいいからね」
「わかりました、それでは行ってきます」
緑はそのまま湖につかりながら時間を潰すのであった。
ヒカリは林の中をギルドのホールでの騒ぎの時に生み出した5匹のキラービーと共に飛び交い、その際に見つけた魔物を腕試しとし討伐していた。
魔物から核となる魔石を取り出す事をわすれないヒカリが処理をしていたところ騒ぎをを聞きつける。
それは、魔物同士のいざこざでどうやら弱い魔物が他の魔物に追われていた。
ヒカリは全ての魔物を討伐しようと、騒いでいる魔物が走っている真上まで、飛び狙いを定めた所で考えを変えた。
なぜなら先頭で走って逃げている魔物がアリの魔物のためであった。
「あれは、幼い女王ですね……」
ヒカリが呟き子供たちに命令をくだす。
「子供達よ後ろの魔物は貴方たちで始末なさい」
そう言って、子供達に命令をしたヒカリは必死で逃げているアリの魔物の前に回り込む。
アリは自分の前に回り込んできたヒカリをみて恐怖に怯える。そんな様子を感じ取ったヒカリはアリにむかって語り掛ける。
「貴方は強くなりたいですか?もし、強くなりたいと思うなら私についてきなさい」
そんなやり取りをした後、1人と1匹は湖に向かうのであった。
「やあおかえり」
緑は湖に近づく気配を感じ振り向く。そこにいたヒカリたちを見て挨拶を交わす。
「その子はどうしたの?」
「他の魔物に追われている所を助けつれてきました」
「どうか、このものにも私と同じように緑様の恵みを与えてやれないでしょうか?」
「それはいいけど、その子は了承しているの?無理やりはだめだよ」
「はい、大丈夫です。先ほど確認したところ力が欲しいと」
「それは、大丈夫じゃなくない?僕の友達になってくれないと」
「それは、私と同じで大丈夫です」
「その子に確認してないけど言い切ったね。とりあえず君はそれでいいのかな?」
【はい、お願いします】
「よし、それでは僕の蜂蜜をお飲み」
緑は以前のヒカリの時とは違い少し、ふざけながら某愛と勇気のお友達のセリフのように蜂蜜をすすめる。
アリが緑の蜂蜜を飲むとヒカリの時と同じように光が辺りを包んだ。
【おいしいぃぃぃぃぃぃぃ】
光が収まるとそこには中学生くらいの触覚と羽を生やした黒髪の女の子がたっていた。緑は素早く服を作るとヒカリに服を着させるように言う。
「緑様、着せおわりました」
「どう着心地は大丈夫?」
「はい♪緑さん私もヒカリさんと同じようにお友達にしください!」
「貴方はもっと緑様を敬って話しなさい」
砕けた口調の元アリにヒカリが注意する。しかし、緑がそれに口をはさむ。
「ヒカリもっと君は砕けた喋り方になって欲しいな。会ったとき僕は友達になって欲しいと言ったけど今はもう家族だと思っているんだよ」
その言葉をきいたヒカリは真っ赤になりながら頷く。そんな様子をみていた緑は黒髪の少女に向き直り尋ねる。
「それじゃ君にも名前を付けたいけどいいかな?」
「緑さんお願いします♪」
「じゃあ今から君の名前はクウにしよう」
「クウですね♪ 改めてよろしくお願いします!」
「じゃあそろそろ街に戻ろうか」
そんな会話の後、どちらが緑を運ぶかで揉めるのだが先輩のヒカリに運ばれることになった。心の中で緑は一番小さいクウに運ばれるのを他の誰かに見られたくないと思ってい。
街に戻るときに入口でクウの件で揉めるがあっさりカールが出てきて事なきを得る。
街に入り宿まで戻るまでの道のりでクウのダンジョン用の食事やランプなど他に必要そうなものをを買い込む。
それが終わるとそのままギルドでクウの登録をし、ヒカリの集めた魔石を買い取ってもらう。
宿に戻って部屋を変えてもらおうとしたところ、クウが小さいので2.5人分の金額でいいといわれたので甘えることになった。
しかし、ベットの問題が発生し一番大きな緑が1人で寝むり、ヒカリとクウが2人で寝る事に決まる。
よく朝再び湖まで行き緑は超光合成をし、ヒカリとクウは狩りをし魔石を集める。
さらにその翌日、アラン達との約束の日の朝早く街の城壁の外の馬車の乗り場で緑達はアラン達を探す。
やはり慣れているアラン達が緑達を先に見つけるが、見つけた瞬間顔を引きつらせるがそんな様子に気付かず緑達が近づき挨拶を交わす。
「おはようございます!」
「「おはよう(っす)」」
「とりあえず2ついいか?」
代表してアランが緑に尋ねる。
「お前たち手ぶらか?そして、その子は新しい仲間か?」
「新しい家族のクウです♪よろしくお願いします!」
「「よろしく(っす)」」
「まぁひとまず、その子は置いといて荷物が無いのはなんでだ?」
「ほら僕アイテムボックスがあるじゃないですか?」
「あ、確かにもってると言っていたがどの程度の大きさなんだ?」
「え?大きさですか?」
この後、緑のアイテムボックスの事を詳しく聞いたアラン達は絶句する。
「時間が進まない上に大きさがわからないとは・・・・・」
「リーダーはこれは一から練り直さなあかんのちゃう?」
「確かにそうだな・・・・・」
「とりあえず今回はダンジョンに潜って見るだけにしてはどうでしょうか?そこで必要な物などがわかると思います」
セリアとクリスがアランに提案する。
「まぁ、今回は俺の方にも落ち度があった。悪いな緑」
「いえ、僕の方こそ何の相談もせず、すいません」
「まぁ気を取り直し出発するぞ」
緑とアラン達はダンジョンに向かう馬車に乗り込む。距離を聞くと、ここ2日ほどかよっていた湖までの距離と変わらないことがわかり、緑はヒカリかクウに運んでもらえば直ぐだなと1人考えるのであった。
数時間後、ダンジョンの前につく。そこには、入口を管理するギルドの建物やダンジョンに必要なものが売られている商店や宿屋があった。
「アランさんここは城壁などがありませんが魔物の心配はないんでしょうか?」
「ここには大量の冒険者がいるし周りに出る魔物はそれこそ駆け出しでも単体なら狩れる弱いものばかりだ、ほとんど野生動物とかわらん」
「そうなんですね。そういえばダンジョンに入るのに必要な物はここで買えばよかったんではないですか?」
「確かにここには必要なものがそろっているがやはり値段が高くなっている。まぁ、すぐにダンジョンに入れる場所にあるから食べ物だけはここで少し買ったりするが・・・・。まぁ緑には関係ないかもしれないが・・・・」
「確かにここで買えば少しは保存が効きそうですね」
「まぁ、話してても時間がもったいない、とにかく入るぞ」
「わかりました!」
緑達とアラン達は初めてチームでダンジョンに入るのであった。