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77話 ミドリムシはドワーフの国を目指す


「依頼の後の酒は美味いな! お前らもそう思うだろう?」


 上機嫌のレッドが緑達に尋ねる。


「酒は美味いな、こっちに来る前は飲んだ事なかったが病みつきなりそうだ」


 魔緑が呟く。


「なんだ緑の弟初めて酒をのんだのか?」


「ああ、そうだしかもご馳走になるなんて思わなかった」


「まぁ、ギルが迷惑をかけたお詫びだ! 飲め! 飲め!」


「ああ、飲ませてもらう・・・・」


「レッドさん貰ってばかりじゃ悪いから僕もルービ―の1樽だします」


「「えええええ!?」


 その言葉を聞いた【ドラゴンスレイヤー】の面々が驚きの声を上げる。酒を浴びるように飲み大騒ぎしていた冒険者達が綺麗に並び始める。


 冒険者達は酒を飲むために酔いがさめるほど冷静になり並び始める。その中にリーダーのレッドの姿もあった。


「え? え? え? 皆が列を作って並んでる? 何が起こってるんだ!?」


 1人ギルが混乱している。そんな中【ドラゴンスレイヤー】の1人が並んでもらった酒を持って近づいて来る。


 ドン!


 酒の入ったジョッキをギルの目の前に置く。


「ギル! 俺の分はお前が飲め飛び切りうめぇぞ!」


「そうだ! 俺の分もだ!」「私の分も飲んで!」


 続々と自分のジョッキを置いていくその様子を見ていた。他のチームメンバーが緑達に頼む自分の分はギルに飲ませてやってくれと。


「やめた!」


「え!?」


 全員が緑のそんな言葉を聞いて固まる。


「1樽なんてせこい事やめます! 皆さんジャンジャン飲んでください! ルービ―以外もありますよ!」


「「なににいぃぃぃ!!」」


 そこからは大暴れする全員浴びるように酒を飲むのであった。




 翌日、緑は【ドラゴンスレイヤー】には状態異常回復の実を大量に渡すのであった。


 その後ダンジョンに入り獣人の村の宿に置いてきた扉からでる。


「さぁ、今日はドワーフの国に向かおうか!」


 緑がそう言うと皆で宿を出る。


「あ! 皆さん俺達この村から今日出発するんで!」


 宿を出たところで先日暴れていた冒険者が緑達に挨拶をしてくる。


「実はギルドから連絡がきて、目撃されたモンスターの調査は終了になったんで」


「そうなんですね、被害が出なくてよかったです」


「皆さんももしかして村を出るんですか?」


「はい、僕らの目的地はドワーフの国なので、皆さんはどちらに?」


「俺らもドワーフの国に行こうと思っているですよ」


「なら一緒にいきますか?」


「俺らと一緒でいいですか?」


「はい! 大勢の方が楽しいですし!」


「なら、よろしくお願いします!」


「じゃあ村の皆さんに挨拶していきましょうか!」


 そう言って村長の家に皆で向かう。


「そうですか。皆さん村をでられるんですね大変お世話になりました」


 村長がそう言うと冒険者達が口を開く。


「村長、本当にすまなかった俺達はどうかしていた。さんざん酷いことをして申し訳なかった・・・・」


 そう言って村長の家の前に集まってきた村人たちの前で冒険者達は深々と頭を下げた。


「いや、初めの頃のあんた達の態度を見ているからわかっているよ。冒険者達が何も起こらない村で1か月間も居なればばならなかったんだ、それにこうしてきちんと挨拶と謝罪までしてくれたんだ」


 村長の言葉に村人たちが頷く。


「むしろ来てもらっているのにろくに歓迎もできず申し訳なかったまた近くを通た時はよってくれ」


「あ・・・・ 忘れてた」


 村長の言葉の後に緑が声を上げる。


 広場に集まっていた村人や冒険者達が首を傾げる。


「緑さんどうかされましたか? 何かわすれものでも」


「あ~ 確かに忘れ物なんですが・・・・ 村長さん村のどこでもいいので祠を立てさせてもらえませんか?」


「祠ですか? 何かを祭るんでしょうか? はい実は・・・・」


 そう言って緑は能力やダンジョンの事を説明する。


「さすがIランク冒険者ですね・・・・ 緑さんの提案はこんな小さな村にとっては願ったりかなったりです。どうかよろしくお願いします」


 村長の返事を聞いた緑は、直ぐに土魔法を使って祠を作り始める。


「できた! うんこれなら大丈夫だろう」


「「早すぎる」」


 冒険者達は緑の土魔法のレベルの高さに驚く。


「これでこの扉を開ければ僕のダンジョンに入れるので困ったことなどあったら中に入ってもらえれば連絡が着くので遠慮なくきてくださいね」


「「ありがとうございます」」


 緑の言葉に村人たち全員が感謝を述べる。


「では出発しますね、みなさんお世話になりました!」


 そう言って緑達は馬車をゆっくりと進めていく。それはその後を一緒に旅する冒険者達の馬車のペースに合わせるからであった。




 緑達は4つの馬車で進む。前列に緑と魔緑の馬車が横2列に並び後列に冒険者達が横2列に並びすすんでいく、その途中で魔緑の索敵にかかった魔物の群れは全員で誰が狩るか決めるのであった。


「いや~、緑さんすいません。俺らの狩った魔物の素材までアイテムボックスに入れてもらって」


 索敵にかかった魔物を冒険者達も狩って魔石や素材を集めて置きたいと申し出た時に緑が必要なものは全部持っていくと言われ大喜びする。


本来冒険者が魔物を討伐した時は魔物全てをもちかえる事は出来ない。


 何故なら、冒険者達が持ち帰ることのできる物は運ぶことが可能な量と部位ごとの換金率など考えた一部だけになるからだ。


 それを今回は緑のアイテムボックスにより要らない部分以外全てを持ち帰れるためいつもであれば換金率や運べる量から普段は持ち帰れない部分も運ぶことが出来る。


 冒険者にとって1体の魔物から金になる部分全てを持ち帰る事ができるの命の危険を少なくすることが出来そのため緑に感謝するのであった。


「そうだ久しぶりにまた交代で皆あるくかな?」


「なんだそれ?」


 緑の発言に魔緑が尋ねる。


「長旅の時でゆっくり進む時は交代でダンジョンの子供達を外に出す事があるんだ」


「いいんじゃないか? たまには運動もってダンジョンが広いから勝手にするか・・・・」


「うん! でも外の世界を見るのも悪くないかなとおもってね」


「緑様子供達を出してもよろしいでしょうか?」


「クウもだしてあげたいです♪」


「久しぶりに外を歩くのもいいですね~」


 3人の女王が緑の言葉に乗り気になる。


「よし! じゃあ一旦馬車をとめてダンジョンをあけるね」


 そう言うと緑が馬車のスピードを緩めると続いて魔緑の馬車も緩める。そうなると後続の冒険者達も必然的にスピードを緩める。


「緑さーん、どうかしたんですか?」


「少し休憩にしまーす!」


 緑がそう言うと馬車は街道から離れる。他の馬車もそれに続く。


 冒険者達は休憩の準備をしていると突然大きな門が現れた。


「ダンジョンオープン!」


 門が開くとそこに緑の家族たちが今か今かと待ち構えていた。


「皆! いつもの様に3交代制で出てね!」


 緑がそう言うとまるで爆発したように大量の子供達がでてくる。


「「ぎゃああああああ!!」」


 それを見た冒険者が叫び声をあげる。


「おいおい、いつも見ていたのはほんの一部だったのかよ・・・・」


 続いて魔緑も驚くのであった。魔緑なら索敵能力を使えば子供達の数は把握できただろうが緑が家と呼んでいる様なダンジョンでその必要もなく使っていなかった。


「ほう、やはりこんなけいれば壮観じゃなのう」「ほんまやね」「すっごい数です!」


 琉璃、凛、珊瑚もその数に感嘆の声を上げる。


「そうかこれで【軍団(レギオン)】なんだな・・・・」


 冒険者の1人が呟くと残りの者達が頷くのであった。

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