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6話 ミドリムシの自己紹介2


「う~ 頭が痛い~」


 宿の一室で目が覚めた緑は生まれて初めての二日酔いの頭痛にうめき声をあげながら起きると自分に鑑定をかける。


水野 緑

 状態 軽度のアルコール


 自分の状態を確認した緑は、こちらの世界に来てから毒になることが多いなと思いながらアイテムボックスより作り置きをしていた状態回復用の実を取り出し食べる。


「う~ん、美味しい♪」


 緑は実を堪能した後、隣のベットに寝るヒカリを見る。


 昨日、仕事の締めの後に部屋を2部屋取ろうとした時にアランからツインのベットにして、同じ部屋に泊まるように言われ2人で同じ部屋で泊っていた。


 まだ寝ているヒカリの寝顔を少し眺めてから声をかける。


「ヒカリ、そろそろ起きようか」


 すると緑の顔をみたヒカリがふにゃりと顔を緩め幸せそうな顔をしながら挨拶をする。


「緑様おはようございます」


「大丈夫?頭が痛かったり、気持ち悪かったりしない?」


「はい大丈夫です。そのような症状はありません」


「それは良かった。じゃあ出かける準備をしよう」


「はい、わかりました」


 2人は余りを私物をもっていないため出かけるための準備をすぐに終え部屋を出て食堂に向かう。


「2人共おはよう」


 アランが2人を見つけ挨拶をしてくる。


 そこにはアランのチーム全員が居たが、程度はちがえど皆具合が悪そうにしている。


 それを見た緑は全員の分の実を出す。


「アランさん良ければこの実を食べてください」


「なんの実だ?」


「今の辛い症状がなくなると思います」


 緑に渡された実をアラン達が食べる。


「「おお、頭の痛みがなくなった」」」


「ほんまありがとうな、緑ちゃん」


「ほんま助かったわ緑」


 セリアとドナから始まりアランのメンバーがそれぞれ緑に感謝を伝える。感謝を受けた緑は昨日話した服の話を切り出す。


「アランさんそれでは約束の服を作りたいと思います。今からお時間大丈夫ですか?」


「ああ問題ないから頼む」


 その後、リーダーのアランの服を最初に作り始めたが緑の髪でできた服の着心地と実験した結果、分かったことがあった。


 緑の作った服は非常に防御力が高くい。そのため服より下に着て、頭と手足の先だけだした全身タイツにする話となった。


 アラン達は順に緑に全身タイツを作ってもらい宿の庭で戦闘中に邪魔にならないかなどの動作の確認をそれぞれしていた。


 そんな中最後に作ってもらう予定だったセリアがスキップしながらアラン達のもとにやってきた。


「ルンタッター♪ルンタッター♪」


 非常に嬉しそうにスキップしているセリアだが着ているものがエメラルドグリーンのドレスであった。それを見たアランは、笑顔でこめかみに青筋を浮かべながらセリアの頭を鷲掴みにする。

 

 ガシッ!


「いたたたたたたー! ちょっとリーダー何するん!?」


「ハァ~何をするじゃない!お前そのドレスはなんだ?前衛の俺とドナ、弓職のジンと斥候のお前は頭と手足の先だけ出た全身タイツに決まっただろう?」


 なんとか鷲掴みから抜け出ようとジタバタと無駄な抵抗をしながらセリアがアランに言う。


「緑に聞いたらすぐに編みなおせるからちょっとの間だけドレスにしてもろうてん。それにクリスとテレサは服にしてもろうてるやん!うちかて女の子なんやちょっとの間くらいドレスきてもバチはあたやろう?」


 涙目で反論するセリアを見たアランは鷲掴みにした頭をはなしながらセリアに言う。


「クリスとテレサは後衛でそれぞれ回復職と魔法職で俺達みたいに鎧を着れないからローブにしてもらっただけだろう。あまり緑に迷惑をかけるなよ」


 呆れながらアランは鷲掴みからセリアを開放する。


 解放されたセリアは元の上機嫌に戻り先ほどの変な歌をうたいながら宿の中をスキップするのであった。


 この時、宿のいた他の客や従業員は上機嫌に歌を歌いながらスキップするセリアを避けて歩くのだった。


 その後、セリアのドレスを全身タイツに編みなおし昼食をとった緑とヒカリは、ギルドマスターを訪ねるためにギルドに向かう。


 ギルドの扉を開けるとそこは昨日と違って人は少なく、安心して受付嬢のところまで進もうとしたところ、緑はシャークに呼び止められた。


「お~い、緑。これからギルドマスターのところか?」


「はい、そうなんです」


「なら、その後でいいから俺たちのメンバーにも例の服をためるか? この後アラン達とお前に作ってもらった服の耐久力を調べる話になってるんだ」


「わかりました、ギルドマスターとのお話の後うかがいます。どこに行けばいいでしょうか?」


「それならギルドの受付嬢に伝言しとくが、多分ギルドの訓練所にいると思うぜ」


「わかりましたでは後で訓練所に行きますね」


 シャークに別れを告げ緑が受付嬢にギルドマスターとの約束の事を伝えると奥に通された。


 昨日とは違い今日はギルドマスターの部屋に通される。


「おお、そんな時間か、すまんが少し軽食をつまみながら話してもいいかな?」


「はい、お気になさらず」


 ギルドマスターは仕事をしていたために忘れていた昼食にサンドイッチを食べながら緑とヒカリの能力について聞き始めた。


「まず緑は自分が話しても良いと思う範囲で自分の能力をおしえてくれるかな?」


「はい、まず僕は自分の髪を伸ばしたり縮めたり自由に操ることができます」


「ふむどの程度自由に操れるんだ?」


「はい、髪を編み込んで瞬時に服を作れるくらいです。1つ作ってみますね」


 そう言うやいなや空中に緑色の服ができた。


「ふむ、こんな短時間で服が作れるか」


「ええ、ヒカリを捕まえるために編み込んだ虫取り網はかなりの大きさでしたが、今服を作った時間とかわらないくらいで編めました」


「ふむ、キラービーを捕まえれるくらい丈夫となると相当なものだな他にもあるのかな?」


「あとは、僕が普段から超光合成で作っているエネルギーで花や実なんかが生やせます」


「花や実が生えるのか? 今ここで生やす事は可能かい?」


「はい、じゃあ生やしますね」


 緑はそう言って、いつもの様に花や実を生やす。その様子を見たギルドマスターは少しの間考え、自分の考えをしゃべりはじめた。


「ふむ、緑君は植物に近い種族と考えられるね」


「僕が前に居た世界でミドリムシは動物と植物の特性を持つ生物でした。でもここまで急速に成長をするような事はなかったです」


「ありがとう、次はヒカリ君の能力について聞いても良いかな?」


「はい、どうぞ」


「昨日シャークともめた時にヒカリ君は5匹のキラービーを召喚したと聞いたが本当かい?」


「はい、確かに5匹ほどわが子を呼びました」


「それは何時産んだんだろうか?昨日君は人型に成ったばかりだったよね?」


「産んだのはあの呼んだ瞬間ですね」


「なら今その子たちはどこにいるんだい?」


「今は私の中の世界にいますね」


「その君の中の世界とは他の人は入れるのかな?」


「いえ、私の中の世界には私の子供たちしか入れません。いるといっても冬眠しているような状態で寝ているようなものですね」


「そこからこちらの世界に呼び出すと活動し始めると……」


「その様に思っていただいて大丈夫ですね」


「ちなみに今子供は何匹ほど生むことが可能かな?」


「詳しい数は私にも分かりませんが昨日シャークさんと会ったホールは簡単に子供たちで埋め尽くすことができますね」


「なっ!?」


 その言葉を聞いた瞬間ギルドマスターから汗が噴き出す。ギルドマスターは、数百匹のキラービーが生み出されることを想像した。さらに簡単にがついてくるとなると本当に生み出すことができる子供たちは数千に上るかもしれないと考える。


「もとのキラービーの女王も子供を産むがそんな一瞬では産めないし、それに産むために魔素はどうやって作る?」


「魔素とはなんですか?」


 緑が聞いたことが無い単語が出たために思わず口をはさんでしまった。


「魔素とは魔物のエネルギーだね。魔物は体内に魔石を持っていてそこに魔素をためているんだ。魔素は少しづつ溜まっていくんだが力を使ったり他の魔物の魔石を食べたりすると一気に溜まったりするんだ」


 ギルドマスターはヒカリを見て少し考えた後に尋ねる。


「ヒカリ君は今も魔石はあるのかね?」


「多分私が人に成ったときに砕け散ったと思われます。今までと違い緑様に出して頂いた蜂蜜を飲んだ時から私は魔素を必要としなくなったと…… 思われます」


「元魔物ながら魔素を必要としないか…… もう、イレギュラーな事ばかりでなんとも言えないな…… しかし、君たちを普通の冒険者の枠に当てはめるのは難しいな……」


 しばし考え込んだギルドマスターは再び話始めた。


「君たちには特別なランクになってもらうかな……」


「特別なランクですか?」


「そうだね普通ならGFEDCBASと上がっていくんだが君たちはirregularイレギュラーからIランクとでもしようか……」


「Iランクですか……」


「まぁ今考えたから、これから広めていくよ。そうしないとシャークの様なバカがヒカリ君の怒りを買わないようにしなきゃいけないし。ギルドのホールをキラービーで埋め尽くされたくないしね」


「あ~ 確かに絡まれたりした時にヒカリが我慢できなくなるのはこわいですね」


「まぁ、聞くことはこんなところで良いかな? それでここからは僕の個人的な考えなんだけどね……」


「はい、なんでしょうか?」


「君たち2人とアラン達で一時的にパーティーを組んでみないかい?」


「アランさん達とですか?」


「そうだね君たちは個人の戦闘力はかなり高いと僕は考えているんだけど、経験が伴っていないんだよね。だから臨時にアラン達とパーティーを組んで、彼らに足りない経験を勉強させてもらうのが良いと思うんだ」


「僕はアランさん達が良ければ喜んでチームを組みたいと思います」


「よし、じゃあアラン達に僕から聞いておくよ。じゃあ今日はここまでにしようか」


「わかりました。よろしくお願いします」


 緑とヒカリはギルドマスターに挨拶をすると部屋を出た。それを見たギルドマスターは1人つぶやく。


「はぁ~ まさかヒカリ君の能力がこんなバカげた力だったとは……」


 再び1人考え込み始めたが、それも然程時間もたたずあきらめた様に呟く。


「とりあえずアラン達に様子をみてもらうかな……」


 1人になったギルドマスターは緑やヒカリの能力に頭をなやますのであったがこの時の評価でさえ低く見積もっていたと後で後悔するのであった。


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