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59話 ミドリムシは2匹いた


 緑の言葉に思わず大声で聞き返した2人が緑に詳しい事を話せとせまる。そんな2人を連れ緑はダンジョンの中にある1本の木に向かう。


 これです、そう言って緑が案内し木の前に立つ元2人のギルドマスターは震えていた。


「緑この実を食べたことは?」


「僕たちは、ごくごく少しだけですけど食事に入れたりしています。少し入れるだけでその入っているお皿の味をひっくり返してしまうので」


「この存在を知っている者でダンジョンの外にいる者達はいるか?」


 ピエールが厳しい顔つきをして緑に尋ねる。


「シャークさんのチームの人達だけですね」


 それを聞きピエールはほっとしたような顔をする。


「緑これの存在は洒落にならんこの存在が知られたら厄介な者達を呼び寄せる事になるくれぐれも注意しろ」


「・・・・わかりました」


 いつになく真剣なピエールの言葉に緑は誠心誠意をもって答える。


「これが知られたらこの木を求めて戦争が起こるかもしれんぞ」


 そんな重苦しい雰囲気を払うかのようにゴードンが緑に茶化していう。


「それはシャークさんにも言われたのでこの木は外の人に教えるつまりはありませんから安心してください」


「なら大丈夫かの」


 緑の返事にゴードンは安心する。


「なぁ、緑この実を1つ頂けないか?」


 そう言ったのは流であった。その言葉に一同驚きを隠せなかった。


「若返れるのなら冒険者の登録も抹消してもええとおもっとる。ダンジョン内でほぼ生活をし外の世界には2度と行かないと誓うだからどうじゃろうか」


「流さんならそんな誓いをたてなくてもいいですよ」


「「緑・・・・」」


 緑があっけらかんと答えると2人の元ギルドマスターはしょうがないなと思いあきらめるのであった。


「今は緑やクウ達蟲人が居る、この間までこのまま朽ちていくのも良いと思っていたが今、切磋琢磨できる相手がいて若返る手段が目の前に転がっている・・・・ どうかこのとうりじゃ・・・・」


 流はそう言ってピエールとゴードンに深々と頭を下げた。2人は黙って頷く。


 そんな中、緑はその実を1つ取り流に渡す。その実を受けた流はおもむろに齧る、すると流の体が輝きだす。


「「おおおお」」


 その光をみて様子を見ていた2人が驚きの声を上げる。


 光が収まるとそこには壮年の男性が1人立っていた。


「緑感謝する! これでさらにお前達と一緒に武の高みを目指せる!」


 流は感動のあまり涙を流していた。


 その後、流の姿をみてクウが驚きの声を上げるのであった。 




 数日後、ゴードンは別れの挨拶を各所にしたあと緑のダンジョンを訪ねる。


 緑のチームとピエールとゴードンがそろうとゴランの街を後にしエルフの王国、リーフ王国を目指すのであった。


「いや~ しかし、緑達と旅をすると快適すぎるな! 移動も子供達が馬車を引いてくれて、これがまたとんでもなく速い。夜になればダンジョンの中に入れば風呂、うまい飯に酒、寝床とそろっているし帰りは一瞬で戻れる。他の冒険者が聞けば驚くだろうな」


 ゴランの街をでてリーフ王国に向かう中ゴードンはご機嫌であった。


 それは、緑達の馬車を引く子供達のスピードや夜間の見張りがいらない事、旅の間も豪勢な食事を食べれる事などこれらは本来街から街へ移動する際にはありえない事であった。


「そんなに違うんですか?」


 普通の冒険者の常識を知らな緑はゴードンに尋ねる。


「緑、普通はこんなスピードで走れる馬車はほとんどないぞ。従魔に引かせるなら話は別だが従魔は大事な戦力だから移動に体力を使うのはもったいない」


「ゴードンの言う通りだ、さらに緑達と旅をしていると忘れてしまうが本来移動の途中は野営をするのが普通だ。野営をする場合、夜はモンスターや盗賊などに気を付けないといけないし、近づいてきた悪質な冒険者に襲われることもある」


 緑の疑問にゴードンとピエールが答える。


「後は何といっても飯だな。緑が出してくれる飯は格別に美味いがこれも本当なら移動時には荷物をできるだけ少なくしておくものだから、ふんだんに材料を使うなんてことはありえない」


 さらに酒が好きな2人は声を合わせて緑に言う。


「「さらにダンジョンの中なら酒も飲めるしな!」」


「たしかに、ダンジョンに入れなくなるとご飯も美味しい物が食べれませんし、夜も交代で睡眠をとる形になりますね」


「クウは皆で寝たいです♪」「クウのいう通りですね」「ああ、交代で睡眠を取るのはいやだぜ」


「私達なら数日は寝ずに行動できますが睡眠を取らずに行動し続けるのは難しいですね~」


「みどりしゃまのごはんは、おいし~でしゅ~」


 蟲人達も交代で睡眠を取るのは嫌がる。




 そんな風に和やかな旅を数日続ける。


「見えてきたぞ緑あれがリーフ王国の森だ・・・・」


 緑達の進んでいる方向には大きな森が見え始めてきた。


「リーフ王国はその名の通りほとんどが森だと聞いたが大きすぎる・・・・本当にあの中に国があるのか?」


 ピエールが緑にリーフを王国に入ることを告げる。それを横で聞いていたゴードンが森の大きさに驚きピエールに尋ねた。


「そこの者達そこで止まれ!」「お前たちは何者だ!?」


 緑達は突然止まるように言われるが辺りに人影はなかった。緑は相手を刺激しない様に馬車の中から叫ぶ。


「僕たちはサークル王国から来たI級冒険者チーム【軍団(レギオン)】のといいます」


「ふん! 【軍団(レギオン)】だと? その人数で軍団を名乗るのか?」


 そんなやり取りをしていると馬車からピエールが下りる。


「私だサークル王国でギルドマスターをしていたピエールだ!」


「「ピエールさん!?」」


 ピエールが名乗ると今まで姿を現さなかった者達が次々と木々の影より出てくる。


「ピエールさん帰ってこられたんですか!?」


 木々の影より出てきたエルフ達がピエールの元に集まって来る。


「緑達には無理を言ってこの国に来てもらったんだぞお前達。それなのにさっきの態度は・・・・まぁとり会えず紹介からだな。緑こっちに来てもらえるか」


「はい! ピエールさん今行きます」


 そう言って馬車から降りた緑を見たエルフ達が驚きの声を上げる。


「お前は魔緑!?」


 そう言ってピエールの周りに集まっていたエルフ達は戦闘態勢を取り辺りに散らばる。


「魔緑? それって僕の事ですか?」


 緑がエルフに尋ねるが誰も返事をしない。それを見かねたピエールが緑に叫ぶ。


「緑、聖属性の魔法を使え!」


 ピエールがそう叫ぶと緑が聖属性の魔法を使う。その途端エルフ達が騒ぎ始める。


「この気配は!?」「世界樹様!?」「なんであいつからこんな気配が!?」


「お前たちが言った魔緑と緑が別人なのは俺が保証する! サークル王国からここまで来る間、俺達は一緒にいた。 その魔緑は最近見かけた者はいるか?」


 ピエールがそう言うと何人かのエルフが手を上げる。


「なら決まりだな、その緑と魔緑は別人だ」


 ピエールの言う事なので信じたいエルフ達は困惑を隠せずにいた。


「大将敵だ!」


 兜が叫ぶと、1mほどの数十個の火の玉が飛んでくる。


「火の魔法だ! 危ない!」


 緑が叫び魔法を使う。緑はは大量の氷のバラを作り出す。それは防壁となり火の魔法を防ぐ。


 魔法が完全に打ち消されると、近くにあった大木の影より3mほどの巨大な狼が姿を現す。緑達がその狼を見ると人が乗っていることに気づく。


「「そんな!?」」


 その者を見た蟲人達が驚きの声を上げる。なぜならその狼に乗った人物は緑にあまりにも似ていたからであった。 



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