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52話 ミドリムシのおかたずけ





 緑達が街で飛竜と戦っている頃、【遠くを見る者】のアイ以外のメンバーは大きなホレストアントに乗せてもらい街に向かっていた。


「なぁ、緑さん達いっちゃったな・・・・」


「行っちゃったね・・・・」


「私達は走ってもこのホレストアントさん達より遅いし、ただ乗せてもらって街にむかうしかないね・・・・」


「はやーい♪ はやーい♪」


 3人は街に救援に向かえない事に悲しむ。


「あれな~に? ねぇ、あれな~に?」


 突然、胡蝶が3人に尋ね始める。それを聞き胡蝶が指さす方を3人が見ると街の方から1匹の飛竜が向かってくるのであった。




 3人は向かってくる飛竜に対して戦々恐々としていた。とてもじゃないが3人は自分達では飛竜に勝ち目はないと思っていたからだ。


 そんな3人を乗せていたホレストアントが走るのを止める。その後に続いていた他の子供達が3人をかばうように前に出る。


 それを見た3人が困惑する中、自分達の後ろを走っていた胡蝶を乗せたホレストアントが一番前にでる。


「胡蝶ちゃんあぶないよ!」「こっちに戻っておいで!」「おい! 危ないから戻って来い!」


 3人がそう言う中、背中を向けていたいる胡蝶。


 3人は胡蝶に自分達の元に戻ってくるように言っていたがそれが突然静かになる。


 それは3人に向けていた胡蝶の背中から幻想的な羽が現れたからであった。


「緑様の大切な友人、飛竜ごときに傷つけられてはたまりませぬ」


「「へ?」」


 胡蝶の言葉使いが突然変わったことに驚く3人それをよそにファントムは一度後ろを振り返り子供達を確認すると呟く。


「過剰戦力ですね・・・・では!空飛ぶトカゲを処理しましょう! 」


 そう言ってファントムは子供達に指示を出す。


「ヒカリさんの子供達は風の魔法でトカゲを地面に落としなさい空は貴方達のものです!」


 ファンムがそう言うとヒカリの子供達が一斉に風魔法を使い始める。子供達も自分達の数を把握しているため自分の中の魔力をほとんど使うような事はなくただ淡々と魔法を打ち続ける。


 1発1発が通常の魔法でも子供達の数で撃たれるとさすがの飛竜もそれほど時間がかからず地面に落とされるそれを見越してクウの子供達が飛び掛かる。


 地面に落ちた飛竜にクウの子供地が飛び掛かり地面に縫い付ける。その後はレイの子供達が飛竜の翼を切り裂き、空に戻れないようにすると一際大きな子供が飛竜の首を一撃で落とすのであたった。


 対して時間をかけず緑の子供達だけで飛竜を仕留めるする姿をみて【遠くを見る者】は緑達だけではなくこの子供達も大きな戦力だと冷や汗ををかく。




飛竜退治が終わり【遠くを見る者】の者達は子供達と一緒に再び街を目指す。


 そして、彼らが街に着いたのは、緑達が飛竜を仕留め、街の人達の夕食を作ろうとしていた時だった。


「「やっとついた~」」


「みんなおかえり~」


 そう言って【遠くを見る者】のメンバーはお互いを労い、また誰も欠けなかった事を喜ぶのであった。


 彼らの再開をよそに緑は解体した飛竜の肉の味見をするのであった。味見が終わると緑は困った顔をしていた。


 緑が普段食べているものはダンジョン産の肉であり、その味は一般に流通するものの1段も2段もうえだった。


 それは、緑の基準であり他の人の感覚では1段2段の話ではなく数段美味く感じる。緑は解体した飛竜はそのままアイテムボックスに収納し、逆にダンジョン産の肉類を取り出す。


 そのまま大量の料理を作り初める。それを見た、ヒカリ、クウ、兜、レイ、胡蝶は自分達も手伝うと言い緑を中心にして大量の食事を用意していく。


 緑達が夕食の用意を初めて2時間ほど過ぎ、街の人々の体力が無くなり切る前になんとか夕食作りを完了するのであった。


 緑は再び街の人々に大きな声で話しかける。


「皆さーん、夕食の準備ができたので順番にならんでくださーい」


 それを聞いて街の人々は綺麗に並び緑達から食事をもらうのであった。


「おいしすぎる!」「体の疲れがとれた!」「持病の腰痛が治った!」「古傷が消えた!」


 緑の出す食事を食べた人々が驚きの声を上げる。その食事のあまりの美味しさ、疲労の除去、長年つき合っていた持病の完治、気になっていた昔からの傷などそのことごとくが完治していく。


 街の人々の中には跪き緑達を拝み始める者がでるが緑はそんな者達を立ち上がらせ優しく声を掛けていくのであった。


 緑を拝む者は老人が多くその光景を姿をみて老人達の子供や、孫達も緑に感謝をする。そのような事が起こり緑達はあっという間に街の人達の人気者になるのであった。


 


 緑達が街の人々に配り終わり感謝され交流した後、休憩に入る。


 その時、休憩をしている緑達に近づく者達がいた。


 この町を収める貴族とギルドマスターが挨拶にくるのであった。緑が立ち上がろうとするが2人はそんな緑を座ったままいるように促し貴族が話始める。


「そのままで聞いて欲しい、私はこのハーウェイの街を任されている領主トーマスと申す、この度の救援非常に感謝する。助けてもらった上でずうずうしいのだが、このままゴランの街の様に復興を手伝ってくれないだろうか?」


「はい! 僕達も急いではいないのでしばらく復興のお手伝いをするつもりでした」


 緑がそう伝えるとトーマスについてきたギルドマスターが話始める。


「俺はギルドマスターのネビルだ見ての通りドワーフでゴランの街のギルドマスターのゴードンとは知り合いだ。緑達の話は何度もあいつに聞かされたが自分も緑の世話になるとは思わなかったがな・・・・ まぁ、復興の手伝いの件はありがたい。今回の事は俺から王都のギルドに連絡しておくから、暫くの間申しく分けないが復興の手伝いを頼む」


 そう言われ緑達は頷くのであった。


 その後、緑は今回の飛竜の襲撃時に外に出ていた子供達は一旦ダンジョンに戻って休憩してもらい交代した他の子供達を集める。


 緑はキラービー達には崩壊した建物の瓦礫を運んでもらい、1か所に集めるようにお願いする。


 ホレストアント達には20匹ほどでチームを組んで分かれてもらいチームで魔法を使い家を建てていくようにお願いする。


 デッドマンティス達には3匹ほどチームを作りこのチームはホレストアントのチームに合流して、ホレストアント達が着くった家を綺麗な形に鎌で整形するようにお願いするのであった。


 この時、復興活動を取り仕切っていたネビルに緑達が家を作ることを伝えると自分もそれを確認しておきたいと付いてきた。


 いざ子供達が家を作り始めるとネビルの開いた口がふさがらなかった。


 子供たちは直径4m高さ3m厚さ20㎝のドーナツ型の壁にドアを付けたものをつくる。その上部には緑の髪で編んだカバーを取り付け、温度調整の魔道具につなぐ。


 その建物に建築スピードに驚いていたネビルが建物を作る様子を見ていると緑に質問する。


「なんで魔法で壁を作るのに天井は作らないんだ? 緑色のカバーは緑にしか作れないんだろう? 緑の拘束時間が長くなるだろう?」


 その質問に緑が温度調整の魔道具を説明する。


 ゴランの時にも使った簡易住宅だがその作られるまでの速さと付属した温度調整の魔道具の効果により思った以上の快適さがあった。


「こりゃあ、緑達が家を作る商売を始めたら大量の大工が路頭に迷うことになるな・・・・」


「あははは、そう言ってもらえると嬉しいですね! でも家を作ることを商売にすることはありませんね、復興活動の時だけにしてますよ」


 ネビルは黙っていたがこの事も王都のギルドより他の街のギルドには伝わらないようにされているのだと考え、緑達はこの国の商売根幹を揺るがすような能力を持っていることに改めて驚くのであった。



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