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50話 ミドリムシは家族と散歩する


 その日、B級ランクの【遠くを見る者】達は戦慄する。彼らは狩猟で生計の大部分を立てる冒険者で4人全員が弓と魔法で戦う遠距離を専門とする者達であった。


 彼らはジェスターとゴランの間の小さな街を拠点にしていた。彼らは基本遠くから獲物を弓や魔法で攻撃するために森にはあまり入らず平原で狩りをすることが多かった。


 その彼らが狩りを終え平原から街道に入り街に戻ろうとしている中異変が起こる。彼らの従魔の狼型の魔物がしきりに後ろを気にし始める。


「どうかしたの疾風?」


 尋ねられた狼型の従魔の疾風が答える。


『アイ・・・・いや、どうも気になる気配があってな・・・・。まだ遠すぎてよくわからないのだが本来ならこんな遠くの気配は分からないはずなのだが・・・・』


 そう答える自分の従魔の言葉が気になりチームメンバーに伝える。


「皆まって疾風が気になる気配があるようなの」


 そう言われ補助魔法を得意とするメンバーがアイの視力を強化し、疾風の気になる気配の方向に目を向けるすると、アイが突然悲鳴を上げる。


「きゃああああ!」


「「どうした!?」」


 疾風が気になると言う方に目を向けたアイが急に叫ぶ。メンバーが様子を見ているうちにアイの目からは涙があふれ出し、呟きだす。


「おしまいだわ・・・・私たちの街が無くなっちゃう・・・・」


 その言葉にメンバーがぎょっとする。メンバーの1人が取り乱したアイを落ち着かす様にゆっくり話しかける・


「アイ・・・・いったい何が見えたの? 落ち着いて話してみて・・・・」


「ううううううう、スタンピードよ、向こうから大量の虫型モンスターがこっちに向かってきている。モンスターの種類はホレストアント、キラービー、デッドマンティス、なんでかわからないけど3種類だけ結構な数の亜種が居るわ・・・・」


「でも今言ったモンスター達ならすぐに救援をだせば何とかなるかも・・・・」


「ううん、無理だと思うさっき亜種が居ると言ったでしょう。予測だけど2mクラスのホレストアントやキラービー、デッドマンティスも4mクラスのものが大勢いるし・・・・。私ギルドの本でも頭に真っ白なドクロのマークがあるホレストアントや青い色したキラービー、真っ赤なデッドマンティスなんか見たい事ないもん・・・・。うううう・・・・グス・・・うぇ~ん」


 アイと言われた冒険者はそう言って泣き始める。


「「な!?」」


 他のチームメンバーは絶句する。他のメンバー達もアイが言った様な亜種の話は聞いたことが無かったからだ。


「とにかく急いで街に戻って報告しよう!」


「待ってくれ、俺にも見させてくれ!」


 そう言ってメンバーに視力強化の補助魔法を受けた男の冒険者は、モンスター達が来る方向を凝視する。


「うううううう、う?・・・・へ?」


 うめき声をあげていた男の冒険者が不意に驚いた声を上げる。


「な、なぁ、俺の目にはスタンピードの先頭に人が歩いてるように見えるんだけど・・・・」


「「へ?」」


 その言葉を聞いて全員がおかしなものを見るような目で男を見つめる。


「本当だって! お前たちも見てみろよ! 本当に人が歩いてるんだって!」


 そう言われ他のメンバーも視力を強化してもらい言われたとおりに見る。


「本当だ人が先頭を歩いてる」「ちょっとまって大きなホレストアントの背中に子供達がのっているわ!」「きれいな女性に緑色した男性に子供も?」


 彼らは先頭を歩く人に興味を持ち始める。


「なんかすげ~ 楽しそうにしてないか?」


「言われてみれば・・・・」


 そんな会話をしていると急に声を掛けられる。


「こんにちわ~♪」


「「わあ!」」


 必死に様子を見ていた冒険者達は不意に声を掛けられ驚く。冒険者達は声を掛けた女の子に視線を集めると尋ねる。


「あ、あなたはどちら様?」


「初めましてクウと言います♪ 皆さんが私達を見ていたようだったので足の早い私が先に来て挨拶をしました♪」


「「私達を見ていた?」」


「はい♪ 皆さんが見ていたのは私たちの家族です♪ 偵察に出た子供達が貴方達を見つけ集まっていたので私が見に来たのです♪ ほら♪」


 そう言ってクウが名乗り指を上空に向けると、そこには沢山のキラービーが上空に集まっており【遠くを見る者】達を上から見ているのであった。


「「えええええ!?」」


「皆さんも冒険者ですか?」


 話の展開に頭が追い付かない【遠くを見る者】達はただ黙って壊れたおもちゃの様に首を縦に振るのであった。




 今【遠くを見る者】達は緑達と一緒に歩いている。彼らはクウに言われ一緒に緑達が到着するまでその場で待ち、その間に簡単に自己紹介を済ませていた。


「初めまして僕はチーム【軍団(レギオン)】のリーダの水野 緑と言います。宜しくお願いします」


「「宜しくお願いします! 【遠くを見る者】と言います!」」


 彼らはクウとの自己紹介の際に緑達の事も聞いていた。


 今、噂になっているできたばかりのIランク冒険者で5人しか居ないのに【軍団】の二つ名を持ち、その5人も個人で二つ名を持つ、冒険者なら興味を持たないはずがない。


 もれなく【遠くを見る者】達も気になっている冒険者達であった。


 噂だけでも訳が分からないのに、実際に会ったらもっと訳が分からない。広大なダンジョンを所有している冒険者チームであり。


 人と思われた者は蟲人でその子供達がたくさんいる。自分達がスタンピードと思った子供達は3交代制に分けた全部の3分の1。


 【遠くを見る者】の頭の中では緑達は少人数の人が運営する軍事国家であった。


 実際ダンジョンの中では作物を育てるなどしてほぼ自給自足が出来てるため本当の意味で国家に近いしダンジョンも【緑の王国(グリーンキングダム)】と言う二つ名を貰っているためあながち間違いではなかった。


「あの~ 緑さんたちはどこまでいくんですか?」


 アイが緑に尋ねる。


「ああ、僕達は以前行ったゴランの街までいくんです」


「ゴランの街ですか・・・・この前スタンピードの被害を・・・・」


 そこまで言ってアイははっと気づく。


「もしかして・・・・。 この前のスタンピードで戦局をひっくり返した冒険者チームが居たってききましたが・・・・」


 それを聞いて緑が苦い笑いをする。その様子を見てアイの目が輝きだす。


「そのチームって緑さん達だったんですか!? わ、私街の復興の手伝いにいったんです! そしたら、沢山の緊急用の家が一杯あって、踏み荒らされたと思っていた農作物もたくさん実ってて、おまけにドライアドが復興のお手伝いをしているし! それをしたのが1つのチームって聞いて会ってみたいと思ってたんです! 改めてお会いできて光栄です!」


 ゴランの街での緑達の活躍を聞いていたアイは緑達の熱狂的なファンであった様で、それから目的地の【遠くを見る者】達が拠点としている街までの道中、緑達はアイに質問攻めにあうのであった。



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