48話 ミドリムシは王様扱いされる
緑達は街の中を歩き続けていた。街に入ったところで先ほどの大騒ぎになったがピエールにそのままついてくるように言われ街の中心部に向かう。
街の中心部には大きな広場がありそこの周りには円形に建物が並んでいた。
その並んでいる建物は飲食店が多いのか皆酒を飲みながら2階3階の窓やテラスより今緑達がいる広場の中心を見つめていた。
緑達を見て皆が騒ぎ緑達に温かい目で見守る中ピエールが片手をあげると辺りがまた静寂に包まれる。
「ここに集まっている皆、緑はなぜこんなお祭り騒ぎになっているか解かっていないため今から説明するからしばし待って欲しい」
そう言ってピエールは緑達の方を向くと話始める。
「緑、なぜこんな事になっているかわからない顔をしているが先日のスタンピードの件を思い出せ。お前達には小さな事件だったかもしれないが緑達のおかげであれほど被害が小さなものになった。本来スタンピードが起こった際にはその通った後には悲しみしか残らない」
周りでは緑達とピエールの話声がスピーカの様な魔道具で大きな音にされ流されている。ピエールの話を聞き周りの街の人々はみなうんうんと頷いている。
「街は破壊され自然の恵みの踏み荒らされ食らい尽くされる。この町も俺も街の冒険者も緑のダンジョンに入り向こうで戦う事を決めた時は全員死を覚悟していた・・・・」
今度はその言葉を聞いて周りにいた冒険者達が頷く。
「しかし! いざゴランの街に行けば緑の家族たちのおかげでスタンピードは叩きつぶされ! 一緒にいった冒険者の被害はなく、ゴランの街の人的被害も最小限に抑えられた。さらには、年単位でかかると思われた復興も緑の家族の協力とダンジョンの資源、さらにはドライアドと協力により数日で完了する! 緑、本当にありがとう!」
そう言い終わるとギルドマスターのピエールが深々と頭を下げ感謝の礼をする。その姿を周りで見ていた街の人々から驚きの声が上がる。
「「おおおおおお!!」」
その驚きの声が消え静まると再びピエールが話始める。
「ここまでの事が事だけに直ぐにこうした祝いをできず国への報告と貴族への対処をするために時間がかかってしまった。すまなかった!」
今度は謝罪の礼を深々と緑にする。再び頭を挙げたピエールは続ける。
「ここまでの功績で国は新しい冒険者ランクのIランクを発表し、緑に授与した!」
「「おおおおおお!!」」
「さらに緑の提案により、緑のダンジョンの入り口を各町の孤児院にを設け、緑への連絡手段を作りさらには、緊急時にはダンジョンを避難地と連絡路とする事が決められた。これは国と緑の対等な約束であるこれがどういう事か解かるか!?」
それを聞いて周りで話を聞いていた人々がゴクリと喉を鳴らす。
「それは、私達の国が緑のダンジョンを国と認定した事になる! さらに! 緑が個人で所有しているダンジョンに二つ名がつく! これまでダンジョンコアを手に入れ名ばかりの狭い物置の様なダンジョンではなく1つの国と認定した上でだ! その名は!・・・・【緑の王国】だ!」
「「わああああああ!!」」「ええええええ!?」
緑の絶叫はジェスターの街の歓喜の声にかき消される。
数日後の朝
「お! おはよう緑王!」「おはようございます!緑王!」「こんちゃーっす! 緑王!」
先日のピエールの演説後、街の皆が緑を緑王と呼ぶようになっていた。緑は苦笑いし、挨拶を返しながら歩き目的に向かうのであった。
緑は目的地のドアを開ける。中はいつも通り騒がしくドアを開けた緑達は中の者達に視線を浴びる。
「よう! い・か・れ・た・お・う・さ・ま!」
そう言われ緑は軽く肩をたたかれる。
「シャークさんその【いかれた】って言うのやまてくださいよ~」
緑達はは冒険者ギルドに来ていた。
「まぁいいじゃねぇか! 親しみやすい高ランクの冒険者なんてそうそういないんだぜ?」
「Iランクって今までのランクの外じゃないんですか?」
「まぁ、今までのランクじゃ判別できないわな。なんせ王様だからな」
そう言ってニヤリと笑うシャーク。そのシャークの顔を見て緑は絶対に止めないつもりだこの人と思い諦めるのであった。
緑はそのままギルドの受付嬢にギルドマスターに会いたい事を伝え、大人しくホールで待つ。
「緑王さ~ん! 緑王さ~ん! あ! 失礼しました! 緑王様いらっしゃいますか!?」
「「っぶ!」」
「「がははははははは!」」「「あはははははは!!」」「「ふふふふふふ」」
受付嬢が言った言葉を聞いてギルドに内にいた冒険者達が大笑いする。
そんな中、顔を真っ赤にした緑がおずおずと静かに手を挙げるのであった。
「それでは失礼します・・・・」
「・・・・・っぶ! わはははははは!」
緑はギルドマスターの部屋に通され案内をした受付嬢が出ていくと、それまで冷静な顔をしていたギルドマスターが噴き出す。
「ここまで聞こえてたんですかぁ・・・・」
緑はギルドマスタにも聞かれていた事にすこし肩を落とす。
「わははははぁ、はぁ、はぁ、あ~ 久しぶりに笑わせてもらった! それで本日はいかがなさいました? 王様?」
そう言ってからかうギルドマスターにジト目を送りながら、ギルドにきた要件を伝える。
「ふむ、話にあった孤児院にダンジョンの入り口を置くのだな。大丈夫だ問題ない。それに関してはサークル王国内ではむしろ自由にして大丈夫だ。まぁ、緑とはここ最近一緒に行動していたからわざわざ報告もいらなかったぐらいだ。ただ他の街ではそこのギルドマスターに報告してからするように・・・・。まぁ緑なら心配ないか」
そう言ってからピエールは腰を上げ緑に言う。
「それでは孤児院に行きましょうか王様」
そう言ってニヤリと笑いピエールは部屋を出る。緑もその後をついていくのであった。




