47話 ミドリムシの凱旋
イズルが現場に着くとその光景に唖然とする。自分の雇っていた冒険者達の半分以上が戦闘不能もしくは意思の疎通ができない状況であった。
「どうなっている! だれか状況を説明でき者はいないのか!」
その言葉に反応する者、反応できるものは居なかった。
「ぐぬぬぬぬ・・・・」
イズルが怒りでどうにかなってしまいそうな中返事が返ってくる。
「状況なら説明できますよ♪ あなたの雇った冒険者の皆さんは僕の子供達と勝負をして負けました。ああ、心配しなくても皆さん死んではいないので安心してください」
そこには緑が立っており緑を見たとたんにイズルの態度が激変する。
先ほどまで緑に対して見下していたイズルであったが、今の緑はその怒気を隠す気もなくさらしているためドラゴンと対峙しているかのようにイズルは感じた。
イズルはガクガクと震える自分の体を自分の腕で抱きながら緑に尋ねる。
「な、なんだと・・・・たった3匹でこれだけの冒険者に勝ったと言うのか?」
「まぁ、僕の子供達の中で取り分け対人でしかも殺さず倒せる子供ですからね」
緑が何気ない態度で言うとイズルが悪態をつく。
「こんな事をして私がギルドに声を掛ければ高ランク冒険者を大量にあつめられる。偉そうにしていられるのは今だけだぞ!」
緑は、恐怖で怯えるなかそれでも悪態を付ける関心する。そんな中さらにイズルはさらに悪態をつく。
「ほら! あなたのチーム名とランクを言ってみなさい!」
「僕は水野 緑、チーム名は・・・・名乗ってるわけじゃないですが最近、命名されましてね【軍団】といいます。ランクはIランクですね」
「Iランク・・・・? Iランク、Iランク、Iランク・・・・Iランク!? 最近新しく作られた今までのランクの外にあるランク!? チームはいかれた能力と戦闘力をもっているあの!?」
緑はイズルの呟きをヤレヤレと聞きながら【いかれたランク】の呼び方はシャークの発言のせいだと思うのであった。
「後、1つ言っておきますけど僕の家族の子供達は1000匹以上いますから、もし今後人を集めて僕たちを攻撃するなら今回の様に殺さないような対処はしませんから」
その言葉を聞いてイズルは驚愕する。たった3匹の魔物に150人ほどの冒険者たちがほとんど傷もつけれず戦闘不能に陥ったにも関わらず子供数は1000を超えるとなるとどれほどの戦力かもはや計算するのが馬鹿らしくなる。
もう、先ほどまでのプライドも見下しもなく緑にイズルは懇願する。
「今までの数々の無礼もうしわけありませんでした。どうか・・・どうか・・・お許しください」
イズルはその場で土下座しなんとか許しを得ようとする。そんなイズルをみて緑はイズルに自分の考えを伝える。
「イズルさん、今後このような事が無いようにお願いします。まだ、僕は許したわけではありませんから。今後ジェスターに拠点を置くようですし顔を合わすこともあるかもしれませんからその都度あなたを見させてもらいその後許すかどうか考えます。
そう言って緑が振り向くと馬車を引く2匹と戦った3匹の子供達とヒカリ、クウ、兜、レイ、ファントムが集まっており緑の様子を伺っていた。
「みんな心配かけたね、3匹もお疲れ様。戦ってくれてありがとうね」
緑は心配をかけた蟲人達と子供達に謝罪と感謝を伝える。
「じゃあ! 気を取り直してジェスターに向かおうか!」
「「はい!」」
チキチキチキ
そう言って緑と蟲人は馬車に3匹はダンジョンに戻らず馬車と並走してジェスターに向かうんのであった。
数日後、緑達はジェスターの近くまで戻ってきた。おもむろに緑が髪を編み始めるすると大きな緑色の旗になる。その大きさは緑がモンスターだった頃のヒカリを捕まえた虫取り網ほどでそれを振りながらジェスターの城壁に向かう。
そんな中ジェスタのー城壁の警備兵たちは真剣に緑達の方をみていた。兵士達は2匹の巨大ホレストアントが向かってくることに気づきさらに様子を伺っていると3匹のモンスターも並走して街に向かってくる。
彼らは混乱していたこんな事の原因になる人物に心当たりがあったからだ。今噂が広がりつつある【いかれたランク】の冒険者緑もしやと兵士達が見ていると突如そのモンスター達の上空に巨大な緑の旗が出現する。
それを見た兵士達はキラービーを捕まえた時、あんな大きさの虫取り網を使っていたなと思い出し安心するのであった。
緑達が城壁の入り口に到着すると歓迎ムードで出迎えられた。正直なところ緑は少しばかり叱られるかと思っていた。毎度の事ながら見知らぬの人間からすれば巨大なモンスターに馬車を引かせているため城壁を預かる兵士達から苦情も来るだろうと考えていた。
しかし、緑達は城壁に着くなり兵士達に暖かく迎えられる。
「これで正式なIランク冒険者だな! おめでとう!」「お疲れさん! よく帰ってきた!」「街の皆もまっているぞ!」「子供達もそのままでいいぞ!」
そして緑達が城壁をくぐると街はお祭り騒ぎになっていた。普段あまり感情を表に出さないヒカリでさえ驚きを隠せずにいた。
「これはどういったことでしょうか?」
他の蟲人達も疑問に思う。そんな緑達の元にピエールが向かってくる。
「あ! ピエールさんこれはどうなっているんですか?」
緑の前まで来るとピエールは緑の問いかけに返さずくるりと振り返る。
するとお祭り騒ぎで大賑わいしていた街が一瞬でしずまる。
さらに、その光景をみて緑達が訳がわからず焦っていると、突然ピエールが叫ぶ。
「さぁ! 我らが【軍団】のお帰りだ!」
その瞬間、街が揺らぐ。
「「「わああああーーーー!!」」
ピエールの声を皮切りに街はまた歓喜につつまれるのであった。




