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46話 ミドリムシの子供は悪食だった


 3匹の子供達は体の大きさも通常種とは違うが一番の違いはその体の色であり、その色が変わった理由は3匹が好んで食べるものにあった。


 本来なら黄色と黒色をしたキラービーだがこのキラービーは黒色と青色をしていた。その青いキラービーは羽より青い粉を撒き始め、それを自分の風魔法で冒険者達を包み込む様に広げる。


 冒険者達の中でも3匹に対峙する位置に居た者達はすぐさまその青い粉をよけるために散っていく。


「絶対粉を吸うな! 」「キラービーがあんな粉を撒くはずがねぇ! 吸ったったら何がおきるかわかんねぇぞ! 」冒険者達の中でもランクが高いと思われる星屑のメンバーが叫ぶ。


 その叫び声を聞いた冒険者達だがその粉から逃れられたのは約半数であった。そして、逃れられなかったものが叫びだす。


「誰か助けてくれ! 体がしびれてきて動けねぇ! だれかぁ・・・あへはぁ~・・・・」


 キラービーが吐いた青い粉を吸ったものは残らず痺れ話すこともままならない状況に陥る。このキラービーが好んで食べるものが体が痺れ動けなくなるような毒をもつ青いキノコであり、それは緑が色々な植物やキノコを栽培する中で毒性を持つものの一つであった。


 それらの栽培の世話をしていた者達が興味に惹かれそれらを食べていいか緑に確認しに来た時緑は、驚きそれらは食べれるものでは無いと説得しようとしたが頑なに食べたいと申し出るために緑が折れたのであった。


 緑は大量の状態異常回復の実を用意し子供達が食べるのを見ていたが、いつまで経っても症状が現れずもりもり食べる子供達を見て唖然としていた。その後一部の子供達が緑の元に定期的に毒キノコの催促にくるのであった。




 次に動いたのは体が真っ赤な色をしたデッドマンティスであった。


「デッドマンティスが来るぞ! 密集陣形を取れ! 姿を隠すかもしれないぞ! 」


 そう言って密集陣形を取った冒険者、それはデッドマンティスと戦う際の常套手段であったが、その周りをデッドマンティスが一周すると冒険者達に異変が起こる。


「なんだ目がいてぇぞ」


 そう言って自分の腕で目をこする冒険者。その瞬間異変が激変する。


「ぎゃあああああ! 目が! 目が! 」「誰か水を! 水を! 」「ぎゃあ、水を掛けたらさらにいてぇ! 」


 レッドマンティスが動くたびに真っ赤な粉が辺りに漂うそれが不運にも目に入りこすってしまった冒険者が叫び転がりまわる。


 真っ赤なデッドマンティスが大量に食べていた者は唐辛子であった。その大量に食べた唐辛子の成分のカプサイシンを羽から撒く。


 冒険者達はすぐに水で洗い流そうとして、さらに痛みが増し転げまわるのであった。たまたま粉の難を逃れた冒険者達はデッドマンティスに切りかかる。


 しかしながらはデッドマンティスは冒険者達の武器を軽く受け流しその都度、赤い粉を撒きその餌食にしていく。デッドマンティスはさらに、自慢の鎌で冒険者達に傷をつけていく。


「があぁぁぁ」「痛えぇ! 」「体もダメなのか!? 」


 痛がっている冒険者達にさらにデッドマンティスが水をかけて回る。体に傷を受けそこに粉がついた者、目に粉が入ったものデッドマンティスと対峙した者達は全員が赤い粉の餌食になるのであった。


 デッドマンティスが戦っている頃最後の1匹も動いていた。冒険者達が自分達が居た場所を見ると薄っすらと赤や青の粉が舞っていることを遠目でも確認できるほどまき散らされていた。


 自分達は危険を回避できたと思ったころ最後の1匹が急速に接近してくる事に気づく。


「おい気を付けろホレストアントがこっちに来るぞ! 」「あいつも何か撒くのかもしれねぇぞ! 気を付けろ! 」


 最後に残った冒険者達は警戒する。残った冒険者達はそれぞれの役割を考え立ち位置を確認し合いホレストアントを迎え撃つ。


 ドガァ!


 盾役の冒険者の盾にホレストアントがぶつかり大きな音がする。


「よし! 突進を止めたぞ! 盾役に当てないように魔法や矢を撃て! 」


 冒険者達の攻撃や魔法がホレストアントに殺到する。


 ギィィィィィ!


 ホレストアントが叫び声を上げる。その声が痛みによる声と判断した冒険者は全員で攻撃し続ける。


「効いてるぞ! 畳みかけろ! 」




 冒険者達が攻撃をし続けてホレストアントが徐々に弱っていきその動きを止める。


「はぁ、はぁ、はぁ、倒したか!? 」「よし! 動かないぞ! 」


 冒険者達はホレストアントを倒せた事に喜びの声を上げる。




 遠目で子供達の戦いを見守っていた緑が呟く。


「最後のホレストアントも終わったようだし、子供達の勝ちだな♪ 」


 ホレストアントに勝利したと思っていた冒険者達は全員が地面に座り込みブツブツと何かつぶやいていた。


 頭に白いドクロの模様が着いたホレストアントが好んで食べたものが非常に幻覚の毒性を持つキノコであった。


 このキノコを食べて起こる幻覚は自分に都合の良い幻覚でありしかもその症状が自分で自覚できないためほぼ自力で回復するのは無理と思われる。


 そんなキノコをモリモリ食べていたホレストアントの頭部に白い部分ができそれが徐々にドクロのマークになるのであった。


 その白い部分よりキノコの幻覚を起こさせる成分が撒かれるが非常に効果が強いため、緑にごくごく少量しか使ってはいけないときつく言われていた。そのためホレストアントは盾役の冒険者にぶつかるまで使わなかったのである。


 その後、全ての冒険者が行動不能になり子供達の完全勝利で終わった場所にイズルがやってきたのであった。


「い、い、いったい何が・・・・・」


 その光景を見てイズルは茫然とするのであった。


 

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