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40話 ミドリムシの家族は解体屋さん


 解体場にレイを案内する受付嬢がそこにいたギルド職員に声をかける。


「すいませーん! 解体の手伝いの依頼を受けてくれた冒険者をつれてきました~! 」


「おー! こっちに来てくれー! 」


 解体場では、あちこちで解体が行われている中、解体場の責任者と思われる男がギルド職員に自分の元に来るように叫ぶ。


 呼ばれた方に向かう受付嬢とレイ。2人は男の近くまで行くと少し待つように言われる。一区切りついたのか今まで背中を向けていた男が振り返り2人を見たとたん顔を青ざめてあわて始める。


「あ、あ、あ、あんたは確か【軍団(レギオン)】のレイじゃないか? 」


 男は恐る恐る尋ねるとレイが返事をする。


「そうですよ~ 宜しくお願いしま~す」


 そんな返事をするレイを見た男が今度は受付嬢に尋ねる。


「依頼の内容はちゃんと説明したのか? 今、王都で注目の的のチームの1人がこんな【赤い依頼】をうけるのか? 」


「私も依頼の確認をしたんですが受けてくれるようで・・・・」


「本当にいいのか・・・・しかしこんな美人で細い姉ちゃんが解体をできるのか? 」


「大丈夫だと思います~ 緑様に力を貰う前はデッドマンティスでしたので~ 」


「デッドマンティス・・・・」


「力を貰ってからは伸縮自在で形もある程度変えられる鎌があるので~ 解体にはもってこいだと思うんですが~ 」


 そう言ってレイが手首の内側より鎌を出し解体場の男に見せると男は黙って鎌を様々な角度から見始める。



 しばらくして満足したのか男が鎌からレイの目に視線を移すと謝り始める。


「すまねぇ。あまりにも見事の鎌だったもんだからついじろじろ見ちまった」


「大丈夫ですよ~ お気になさらず~ 」


「それじゃあ頼む! 俺はジャックってんだ宜しくな! 」


「レイです~ 改めて宜しくお願いします~ 」


 その2人のやり取りを見ていた受付嬢は2人に挨拶をしてその場を離れるのであった。




「じゃあ早速だが手伝ってくれ。ここに運ばれてくるのは冒険者達が倒したモンスターでも小さいくて解体が難しい物が多いんだ。あんたの鎌はそんな解体に非常にありがたい! 」


 モンスターの中でも小さくて解体場に運ばれるものはその体の中に非常に希少で価値のあるものを持つものが多く特殊な解体を要求されるのであった。


 そのため今回の依頼は希少部以外の力仕事が要求されるものであったがジャックが試しに指示を出したところレイがなんの苦もなく一瞬でジャックの指示されたとおりに鎌で綺麗に処理をする。


 そんなレイを見てジャックが目を見開き呟く。


「それほど力を使っている様に見えないがやはり鎌の性能がいいのか・・・・ 」


 そんなジャックの呟きを聞き取ったレイはジャックに説明する。


「元がデッドマンティスですので力もそこそこ強いですよ~ 」


 そう答えるとジャックが考え込む。




 しばらくしてジャックはレイに向き直ると。


「今から重要な部分の解体の手伝いを頼みたいのだがいいか? 」


 そう言ったジャックがレイを別の解体している場所に案内する。そこにはすでに何人もの職員が解体を行っていた。


 近づいてきたジャックとレイに気づいた職員が声を掛ける。


「ジャックさん冒険者との解体はおわったんですか? 」


 そう尋ねられたジャックは頷く。


「ああ、思っていた以上に早く終わったのでな。紹介する。今王都で注目の的のチーム【軍団(レギオン)】のレイだ」


「「レギオンの!? 」」


「レイです~ 宜しくお願いします~ 」


「「宜しくお願いします! 」」


 そう挨拶をするとジャックが早速レイに指示をだす。


「レイここの部分を頼めるか? 」


 ジャックがレイに支持をするとすかさず他の職員が止めようとする。


「待ってください! ここの解体を手伝わすのですか? 」


「ああ・・・・そう「できました」」


 ジャックが他の職員に返事をしようとした瞬間レイが終わったと言う。


 ジャックも含めその場に居た全員がレイの言葉に驚き、同時に処理の確認をする。


「できてる・・・・というよりもここまで見事な処理は見たことがない・・・・」


 レイの処理を確認した職員全員が言葉を失う。


「俺もここまでとは、思わなかったが・・・・」


 そこからは、レイの独壇場であった文字通り体の一部の鎌を操るレイの処理は他の職員達も見事と言わざる得ないできであった。


 レイはジャックや他の職員の言われるがままに処理をしていく、そんな中ふとレイが処理の手を止める。そんな姿を見た職員達がたずねる。


「レイさんどうしたんですか? ここは他と比べると難しいところではないですが? 」


「あの~ ここを言われたとおりに処理すると貴重な部位がダメになってしまうと思うのですが~ 」


「「え!? 」」


 その言葉にそばにいたジャックや周りの職員が驚きの声をあげ、レイに質問する。


「レイさんここに貴重な部位があるんですか? 」


「だと思います~」


 その言葉を聞いて職員は集まり話始める。


「なぁ、ここっていつも正体不明のよくわからない物がでてくる所だよな? 」


「ああ、たしかにいつもここだけは痛んでいて何があったのかわからない部位だ・・・・」


 話し終えた職員達はレイを見て尋ねる。


「ちなみにそこの部位を取るなら他の部位がダメになるとかありますか? 」


「いえ~ それはないと思います~ 」


 その言葉を聞いた職員達はお互いの顔を見合って頷く。


「ではレイさんそこの処理はレイさんの思う様にしてください」


「はい~ わかりました~ 」


 するとレイは処理をし始める。レイに職員達がみる目の前で行われる処理は今まで職員達がしていた処理より数十工程処理を加えられていた。


「ここまで工程が多いとは・・・・」


 レイの処理の工程数が今まで自分達がしていた処理の工程数より遥かに多いことに驚愕の表情を浮かべる。


 職員達が驚いているなか忙しく動いてたレイの手が止まる。


「できました~」


 処理を終えたレイの手には液体の入った袋があった。それは、処理されていたモンスターの消化腺であった、人間なら肝臓や膵臓の様に消化液をだす臓器であった。


 今までの処理をかんがえればこの消化液体の入った臓器を傷つけていたため、傷ついた臓器から溢れた消化液で臓器自身が溶かされていたことが判明する。


「ヒカリ大発見だ! 」


 その言葉を皮切りに周りの職員が集まって来る。


「俺達は今まで消化腺を捨てていたんだ・・・・」


「これからこの部位も何かに使えるかもしれない」


 そんな職員をよそにレイは首を傾げていた。レイにしたら何故わからなかったのかと思う。


 そんな大喜びをしている職員達の1人がレイに尋ねた。


「なんでレイさんはこの部分に気づけたんですか? 」


「相手の急所は自然とわかりませんか? 」


 そんな言葉を聞いた職員達が青い顔をして思い出したのはレイの二つ名【暗殺者(アサシン)】であった。


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