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30話 ミドリムシの家族は強かった2


 土のドームが見えたと思うと、すぐさまそれが崩れだす。ドームが完全に崩れきる前に兜が飛び出し緑の前で跪くと治癒の実をレッドに飲ませたいと懇願する。


「大将すいません!こいつに治癒の実をくれませんか?」


 レッドは火の玉が爆発する前にその身を焼かれており、酷いダメージを受けていた。


 兜が咄嗟にドームを作りレッドがそれ以上にダメージを受けない様にドームに引きずり込んだが今のままではレッドの体に重度の障害が残ると判断し緑に治癒の実を懇願した。


 緑は兜に言われ直ぐに治癒の実を渡す。兜はかろうじて意識のあるレッドに治癒の実を食べさせる。


 レッドが治癒の実を飲み込んだ瞬間、光に包まれる。光が収まるとレッドはすぐさま立ち上がると体の調子を確かめる。


 周りからはレッドの状態は下手をすれば死んでもおかしくない状況に見えた。体のあちこちが焼け場所によっては炭化しておりそこから回復魔術をかけたとしても後遺症が残ると思われた。


 だが今は装備こそボロボロであるがレッドの体は戦う前の状態に戻っていた。


 体の調子を確かめ終わったレッドは兜にむかって敗北宣言をする。


「俺達の完敗だ・・・・・」


 その言葉を聞いた周りの冒険者から大きな驚きの声と両者に拍手が送られた。


 その後レッドより自分のチームに入らないかと言われる兜であったが困った顔をしながら断るのであった。


「悪いが、大将のチームにいてえんだ」


 レッドは苦笑いしながら頷くのであった。

 



 レッド達が広場の中心から離れると次にやってきたのは1人の老人であった。


「次はよりによってあんたか・・・・」


 ジークが困った顔をすると老人は笑いながらジークに返事をする。


「ふぉふぉふぉ、今の若い物の実力を知りたいのでな」


 1人出てきた老人の情報を緑達に教える。この老人は冒険者の中では珍しくチームを作らず活動していた聞かされる。


 この、活動していたと言ったのは、ここ最近はは歳をとり目の見張る活動はしていいなかったためであり、1人の冒険者としては、最強と言われその老人の二つ名は【達人】であった。


 そんな老人が待つ広場の中央にクウが歩み寄っていく。


「初めまして♪ クウといいます♪ よろしくお願いします♪」


「ふぉふぉふぉ、可愛らしいお嬢さんじゃな。ちと腕試しをしようかの」


 クウと老人は挨拶をすると構えをとる。そして模擬線が開始されると2人の取った戦闘スタイルはまさに真逆であった。


 模擬線の開始の合図とともに老人は広場の真ん中でただ静かに構えをとる。


 逆にクウは目にもとまらぬスピードで老人の周りを動き続ける。そのクウのスピードに周りの冒険者から驚きの声が漏れる。


「とんでもない速さだ・・・・」


 冒険者達はそんな事を言っていたが当のクウは焦っていた。クウが対峙している老人にスキがないためクウはスピードで翻弄しようと老人の周りを動いていた。


 クウが高速で動きながら老人の様子をうかがうと同時に静かに老人もクウの様子を見ていた。


 クウには老人の様子に焦りなどなど見られなかったが、実は老人もクウ同様に焦っていたのであった。


 表情には出さなかったが、老人もクウの速さに驚いていた。

 

 老人は自分ならこのような速さで動き続けたら一瞬で息が上がり速さを維持できないと考える、それが仮に今の老人の技術をもったまま全盛期の若い肉体になったとしても。


 そんな二人はお互いの考えを知らずにいたがクウがさらにスピードを上げはじめる。


 クウはさらに力はコンパクトに必要最小限にと無駄な動作や力を減らし、どんどん自分のスピードを上げていく。


 模擬戦開始のころからさらにその速さを上げクウは老人の周りを動き続けていた。


 だが突然真直ぐに老人に攻撃をしかける。


 その攻撃は格闘技でいうところのジャブであった。


 老人はこの高速の動きから出される最速の攻撃を受け流そうとしていた。


 しかしながら、この2人が交差すると思われた瞬間事故が発生する。


 クウの高速の動きから繰り出された最速の攻撃が音のスピードを超えたのであった。


 その瞬間、拳より衝撃波が生まれる。


 攻撃をしようとしていたクウ自身もクウの攻撃を迎え撃とうとしていた老人もその衝撃波により吹き飛ぶ。


「それまで!」


 ジークの声により模擬線は終了となる。


 その後、クウが対戦した老人に武術を習いたいといいだす。


 緑と老人が話をすると、老人は家族もいなく自分が今王都には住んでいるが他の冒険者達の様に依頼は受けず、余生を楽しんでいる言われる。


 それならばと緑は老人にダンジョンにすまないかと提案をする。それを聞いた老人は二つ返事でダンジョンに住むことを承諾するのであった。




 クウの後の模擬線に出たのはヒカリであった。そのヒカリの姿をみて模擬戦に名乗りを上げたのはペガサスやグリフォンなのどの空飛ぶ魔獣に乗った者達であった。


「「空で戦えるものが自分達だけだと思うなよ」」


 そうヒカリに言い放つ冒険者達、ヒカリはそれを聞くが特に反応を見せず模擬戦の準備をする。


 模擬線が始まると冒険者達はヒカリと距離を取り陣形を空中で組む。そんな冒険者達を見たヒカリは心の中で自分の子供達の方が陣形をより正確に組めているのではないかと思うがそれ以上の思考を止め戦闘に集中をする。


 冒険者達は順にヒカリを攻撃するがヒカリにすれば意思疎通の取れていない者達がいくら集まろうと意味はなく、拙い連携の合間を狙ってそれぞれに攻撃を加えていくよ。


 ヒカリが攻撃を加えていると徐々に冒険者たちの連携がスムーズになっていく様に感じられた。ヒカリが原因を探ろうと冒険者達の周りを大きく周回すると1人の冒険者が目につく。


 その冒険者はただ一人攻撃には参加せず魔力を消費し続けていた。その冒険者を攻撃しようとするヒカリであったが途端に攻撃が激しくなる。


 ヒカリが狙った冒険者を守ろうとする連携はヒカリからしても見事と言えた。


 するとヒカリは、もう一度冒険者達から距離を置くと先ほど様子を見た時の様に大きく冒険者達の周りを周回し始める。


 先ほど冒険者達はヒカリが周回をし始め突然攻撃を自分達の要の冒険者に絞り始めた事に驚いた。すぐさま冒険者達は魔法を使い続ける者の周りを固める。


 今も自分達の周りを回りはじめたヒカリ最大級の警戒をする。


 そんな中、冒険者達の周りを周回しながらスピードを上げ続けているヒカリがそのスピードを殺さずに冒険者達の中心に軌道修正する。


 冒険者達がヒカリに対しての警戒を最大級上げていたにも関わらずヒカリを見失い、その直後に冒険者達は衝撃波をくらい自分達が乗っている相棒の魔獣ごと地面に落ちていくのであった。


 その衝撃波は先ほどの試合で偶然クウが引き起こした音速を超えた事で起こる衝撃てあり、ヒカリはそれを攻撃につかった。


 その結果、音の速度を超えた瞬間に発生する衝撃波は冒険者達に大きなダメージを与え戦闘不能に追い込んだ。


 冒険者達が落ちていく中ヒカリはすぐさまダンジョンの扉を開く。


 すると扉から続々とヒカリの子供達が飛び出し落ちていく冒険者と魔獣たちを救い上げに飛ぶ。

 

 ヒカリの子供達は数匹から数十匹でチームを組みチームごとで相棒の魔獣と落ちていく冒険者達を見事な連携で救助をしてくのであった。


 その光景を地上から眺めていた冒険者達は青くなる。その言葉通り蜂の巣をつついたようにダンジョンから大量のキラービーが現れ、素早く見事な連携を取る姿はまさに恐怖の対象でしかなかった。


 そして、、この大量のキラービー達が襲って来ないという事はに安堵する。


「それまで! お前たちこれで緑のチームの実力の一部が見れただろう? 戦闘力も高いが今回のIランクはむしろ国は緑のチームの支援能力や移動能力、子供達の数など戦闘力以外の部分に大きな評価をしている。


 先ほどのレッドの傷を癒した木の実などを緑達はある程度の数を保有しているし、今回ダンジョンから出てきたキラービーの数もほんの一部だ。


 それを聞いた、冒険者達は驚愕の表情を浮かべるがジークの話はまだ終わらないのであった。


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