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285話 ミドリムシは久しぶりに本気を出す


「さて、この後はどうしようかまーちゃん」


 腐緑からミノタウロスの兄弟とコロシアムで戦いたいと言われ、腐緑とミノタウロスの兄弟が戦うのを観戦していた緑は、イスから立ち上がると魔緑に声をかける。


「そうだな……俺達の力を見せる事は終わったし、今後俺達と戦いたければここで戦いランキングの上位にならなければならない事を伝えるか」


 そう言って魔緑が緑に続きイスから立ち上がると、ヒカリの子供達が慌てて飛んでくる。


 それに気づいた緑と魔緑は、ヒカリが子供達から報告を受けるのをじっと待つ。

 しばらくして、子供達はヒカリに報告をした後、ヒカリから指示を出されたのか飛んできた方向に再び飛んでいく。


「ヒカリ何かあったのか?」


 子供達が飛んできた方向に向かって飛び立って行ったのを見て、会話がおわったと思った魔緑がヒカリに声をかける。

 するとヒカリは少し困った顔をで話しはじめる。


「ここより西側にかなりの数の魔族が集結してきている様です」


「そんな事だけで子供達が慌てて報告に来ないだろう……何があったんだ」


「ヒカリ?」


 魔緑の言葉に緑も思わず声をかける。


「緑様。子供達は集結している魔族達に対して威嚇をするべく、少しはなれた場所に向かって魔法を放ったようなのですが、魔族達は自分達から少し外れた魔法に対し自ら当たりに行き死んだようなのです」


「「⁉」」


 ヒカリの言葉を聞いた緑と魔緑は思わず顔を見合わせるとお互い距離を詰め話しはじめる。


「もしかして、戦争の火種にするつもりか?」


「僕もそう思った」


 緑と魔緑はわざと外すした魔法にわざわざ当たり魔族が死んだと聞き、西に集結する魔族に対して嫌な予感を感じ、魔族がわざと死んだ理由を考えはじめる。

 2人が真剣に考えはじめた頃2人をよそに腐緑とミノタウロスの兄弟がやってくる。


「いや~。2人とも良い連携だったよ」


「それはいとも容易く防いだ本人が言う事ではないと思うのだが……」


「兄さん誉め言葉と受け取っておこう」


「うちには12人で連携をとる子達がいるからね……って、どうしたの2人とも難しい顔をして?」


「ああ、実は……」


 腐緑に声をかけられ魔緑が経緯を説明する。


「まずいな……」


 腐緑についてきたミノタウロスの兄弟にも同じ魔族で知っていれば、情報が欲しいと経緯を説明するとすぐに顔色を変え呟いた。


「何か知っているのか?」


 それまでの表情とはかわり、焦った様子で呟いたミノタウロスの兄弟に魔緑が声をかける。


「西に集結している魔族は、狂人の奴らだ」


 ミノタウロスの兄の口から不穏な言葉が出たため、魔緑は眉をひそめ尋ねる。


「狂人の魔族?」


「ああ、あいつらは狂ってしまっている。戦いに明け暮れるうちに理性をなくし仲間も敵も関係なく殺そうと暴れるようになった魔族達だ」


「だが、聞いた話では奴らは集結しているらしいぞ。そんな理性を無くした奴らが集結したらそれこそ殺し合いがはじまるんじゃないのか?」


「ああ、兄さんは狂人と言ったが奴らはほぼアンデッドと考えてもらっていい。あいつらは、アンデッドが共食いをしない様に同じ狂人を襲う事はない」


 ミノタウロスの兄弟の話を聞き魔緑は兄弟に尋ねる。


「なら、あいつらを殲滅しても魔族で文句を言うやつらはいないんだな」


「ああ、もちろんだ。あいつらが発生した場合は囮を残して、逃げるしかないからな。もし殲滅できるなら魔族達が諸手をあげて喜ぶはずだ」


「ちなみにその囮とは?」


 黙って話を聞いていた緑が質問する。


「ああ、主に罪人や敗戦した魔族達だな」


 ミノタウロスの言葉を聞いた瞬間から緑の怒りの気配が漂いはじめる。


「まーちゃん。僕は狂人の魔族を殲滅するよ」


「ああ、俺が反対することはない。もちろん俺もその殲滅には参加する。俺も久しぶりに全力で魔法を撃ってみたいしな。相手がアンデッドなら手加減もいらないだろう」


 魔緑の言葉を聞いたミノタウロスの兄弟は、玩具を与えられた子供の様な好奇心があふれ出す目になり緑達に尋ねる。


「狂人の殲滅を我々は見てても良いだろうか?」


「ああ、かまわないぞ。俺達の邪魔をせず、俺達より前に出なければ俺達は何も言う事はない」


「ああ、絶対に邪魔をするような事はない。よろしく頼む」


 そう言うとミノタウロスの兄弟は部下達の元に走って行く。


 緑達がそれを見届けるとまわりがざわつきはじめる。


「おい! ここから西に狂人の奴らが集まっているぞ!」


 魔族の誰かが狂人に気づき叫ぶと、それを聞いた魔族達に恐怖が広がっていく。


「早く逃げないと巻き込まれるぞ!」


「全員で迎え打てば奴らを亡ぼせるんじゃないか⁉」


「そう言って滅んだ国がどれだけあったか知らないのか⁉」


 魔族達の声は恐怖が手伝ってかどんどん大きくなっていく。


 そんな中いつの間に舞台の中心に立っていた魔緑が観戦席にいた魔族達に向かって叫ぶ。


「みんな聞いてくれ! これから【軍団(レギオン)】は狂人を殲滅をする。ここに居る魔族のあんた達は俺達の殲滅の邪魔をしない様にして欲しい。これから、すぐに俺達は狂人の殲滅に取り掛かるが、ここから逃げるなら西に向かって逃げる事は言お勧めしない。逃げるなら西以外、北東南のどれかにしてくれ。そうじゃなければ俺達の魔法で死ぬことになる」


 それまで恐怖で騒いでいた魔族達は、静かになり魔緑の言葉を聞き徐々に興奮しはじめる。


 つい先ほど見た戦いは、魔族達の常識を根底から崩すようなものであった。

 ここまで強くなれるのかと、観戦していた魔族達が感動を覚えるほどの強さ。

 それでも【軍団(レギオン)】が全力ではないのが感じ取れた。

 それでも強大な力を見せた【軍団(レギオン)】が魔族全種族にとっての悩みの種、狂人になった魔族達を【軍団(レギオン)】が殲滅すると言った。


「じゃあ、よろしく頼む」


 そう言って魔緑は舞台を下りるとコロシアムの外に向かう。


「はじめは俺が魔法を撃たせてもらう」


 魔緑がそう言うと干支緑が魔緑のまわりに集まり抗議する。


「「え~⁉ ずるい~!」


「兄よそれは我も兄妹と同じ意見だ」


「ははははh、干支ちゃん達は近距離で戦う事が多いから、直接戦いはじめたら私達が魔法を撃てないからね」


 そう言って腐緑は干支緑達の頭をなでていく。


「ごめんね。皆には僕やまーちゃん、ふーちゃんが魔法を撃った後に残った敵をやっつけて欲しいんだ。まかせても良いかな?」


「「わかった~」」


 緑に頼まれた干支緑達は納得がいかないながらも緑の頼みに返事をする。


 緑達は、コロシアムを出ると真直ぐに西を向き歩きはじめる。

 緑達は普段と変わらない様子で歩き続け、その後を追うようにコロシアムより魔族達が出てくる。


「さてじゃあ、久しぶりに龍になるか」


 魔緑がそう言って歩みを止めエメラルドグリーンの龍へと姿を変えると魔族達が驚きの声を上げる。


「【水野 緑】は龍種なのか⁉」


 魔族達が驚く中、少し嬉しそうにしながら答える者がいた。


「いや、あいつは龍種じゃない。残念ながらな」


「ああ、サラマンダーの言う通り。魔緑は龍種じゃない……龍種の因子は持っているがな」


「そうね緑も龍の因子を持っていればいいんだけどね」


「3人とも、家族を見て驚く者がいると嬉しそうにするな」


 そう言ったのは魔族達も知る、本当の龍種達。

 はじめこそ小さな子供の姿で自分達の事を龍種という彼等を信用しなかった魔族達であったが、その本来の姿と実力を見ると誰も疑う事をやめ、敬意をはらう様になった。


「念のため俺達の後ろにいろよ」


 サラマンダーは振り向きそう言うと返事を確認せず魔族達の前に出るとその場に立ち止まる。

 魔族達も、サラマンダーの言葉を聞くとお互い顔を見合わせ頷くと、決して龍種達の前に出ない様に龍種達より距離を取り様子をうかがう。


 【水野 緑】達の後を追ってきた者達が足を止めると、龍の姿になった魔緑がその口内で膨大な魔力を練りはじめる。

 魔緑の口内からはすぐに膨大な熱と光を発しはじめる。


「あいつが完全な龍種なら俺の後に火龍達の長をすぐに任せるんだがな」


 魔緑の濃厚な魔力を感じ取ったサラマンダーは、思わずこぼす。


「それはウンディーネや我も一緒の思いだ。もし、緑が完全な龍種であれば……」


「2人ともそろそろ魔緑が撃つわよ」


「サラマンダーにノームも無駄口をたたいてないでしっかりと気合を入れてくれよ、魔緑が本気に魔法を撃つんだ何がおこるかわからない」


「「わかっている」」


 シェイドの言葉に3人が声をそろえて返事をした瞬間、魔緑の口内から光があふれ出した。

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