27話 ミドリムシは孤児院に行く
「「あははははは!!」」
シャークのチーム全員が笑い始める。
「リーダーめっちゃかわいいな!」
「本当ですね、リーダーにもそんな時代があったんですね」
「あはははは、若い俺は可愛いだろう! あはははは」
シャークのチームはしばらく笑っていたがそれが終わると緑に今食べた実の種はあるかと確認し、その種を持ってきてほしいというのであった。
種を緑が持ってくるとシャークのチームの前衛のオルカがその種を空中に投げると持っていた剣でスライスする。種がスライスされそれをシャークが1枚取って食べる。するとシャークの体が先ほどの様に光だしそれが収まると少し外見が老けたように感じられる。そこから種を食べる量を調整し始めると食べる前より、わずかに若返った容姿になったところで種を食べるのやめる。
「緑が育てたこの実は今までの文献の物よりはるかに若返るな・・・・これは、緑をめぐって国同士の戦争が起きてもおかしくないな・・・・」
シャークのチームのメンバーがそれを聞き頷く。
その後、シャーク達は緑達に礼を言いダンジョンを出るがその際シャークが緑を見ながらニヤニヤ笑っているのを緑は不思議そうに見ているのであった。
次の日、緑達は再び市場に行く。昨日は広すぎて回り切れなかった市場の野菜や魚などに重点をおいて回るのであった。ふと店を回っている緑を見てシャークが緑に興味本位で聞く。
「緑のダンジョンには野生の動物を見かけたがあれは以前アラン達と山を回って集めて増やしてるんだろう?なら、魚なんかは居ないのか?いないなら、外で捕まえるなり買うなりして増やさないのか?」
それを聞いた緑は、ダンジョンには海が無いことを考える。ダンジョンに魔力を注ぎ込み海も作れるかもしれないが海を管理する人が欲しいと思うのであった。緑は思わずこの世界には水中で生活を送っている種族は居ないかシャークに尋ねるのであった。
「ああ、それならいるぞ人魚だ」
その話を聞き何とか人魚の人で緑のダンジョンに移り住んでくれる人がいないか考える。そんな事を考えながら市場を歩いているとシャークが王都で用事がすんだら人魚の村に行くかと尋ねるが用事がすんでから考えると言う緑であった。
緑達は野菜や魚を様々な種類を買い込み宿にもどり、昨日の様に野菜をダンジョン内で育てる準備をするのであった。
王都での買い物を終わらせた緑達はギルドに行き依頼を受けるのであった。日帰りでできる依頼となると大物の討伐依頼などは除外し1日でできそうな、赤い依頼をうけるのであった。
そんな、依頼の1つで王都にある下水道のネズミの処理の依頼を受ける緑達であった。受けるうえで緑達はギルドにある条件を出した。その条件とは緑達が指定した日は下水内に誰も人を入れないという事だった。緑達が下水道の入りに立つとダンジョンの入り口が現れ続々とホレストアントとキラービー達が下水道に入っていく数十分後ヒカリとクウに子供たちから連絡がくる。
どうやら、下水道に人がいるとの事であった。緑が尋ねるとどうやら下水道に居るのは子供達のようで緑の以前いた世界のマンホールチルドレンの様に下水道の中を寝床としていたようだ、それを聞いた緑は急いで子供達が居ると言われた場所に向かう。
緑達が着くとそこに、怯えて震えている子供達がいた。緑はこれ以上子供達を怯えさせないよう優しく声をかける。
「初めまして、僕は冒険者の緑って言うんだけど怖がらせてしまったね。この子達は君達を襲ったりしないから一緒にここから出よう」
そう言い緑は子供達に浄化の魔法をかける。そんな緑の言葉を聞いても信用できない子供達は緑に対して警戒態勢をとる。緑はそんな子供達をみて考えアイテムボックスからデザートをだす。初めは警戒していた子供達であったが甘い物の誘惑には勝てなかったようで恐る恐るデザートを緑の手から引ったくると夢中で食べ始めた。
子供隊は見るからに痩せ細っており、それを見た緑は髪で子供達を捕まえ、涙ぐみながら子供達を抱きしめる。そして、子供達を下水から連れ出すのであった。
緑達が下水を出て向かったのは王都にある孤児院であった。
緑達はくたびれた外観の扉をノックする。しばらくすると中からシスターが顔出し緑を見てその視線を子供達に移すと悲しげな眼をして再び緑達に視線をもどし口を開く。
「冒険者様どんな御用でしょうか?」
その言葉を緑が聞くと子ど達の方を見てこの子たちを預かって欲しい事を伝えるとシスターは悲しみが溢れた目をし、今の現状これ以上子供達を預かる事が出来ない事を緑達に伝えようとした。そんなシスターの言葉を遮って緑は袋を渡す。シスターはそれを見て緑に尋ねる。
「この袋は何でしょうか?」
その反応を聞いて緑は、寄付だとシスターに伝える。その言葉を聞いてシスターが袋の中を確認すると孤児院を10年ほど豊かな環境で運営できるほどの金額が入っていた。それを見たシスターは涙を流しながら緑に感謝の言葉を伝えるのであった。しばらくシスターはうわ言のように緑に感謝の言葉を泣きながらを言い続けるのであった。
「取り乱してしまいすいません。こんなにも寄付をして頂けるとは思っていなくて・・・・・。孤児院の運営はいつも厳しものでして・・・・」
そんな言葉を聞いた緑はまたしばらくしたら顔を出す約束をして教会をさるのであった。そんな緑を見たシャークが緑に孤児院などどこもあのような状態で珍しくないと伝えると緑は涙ぐみながらシャークの方を向き自分が何とかすると答えるのであった。




