26話 ミドリムシのお買い物
翌日、緑が目を覚ますと胡蝶が寝ているベットにレイが一緒に寝居てた。緑はそっと見なかった事にし顔を洗いに行く。
その後、緑が顔を洗っていると蟲人達が起きて来てそれぞれ挨拶を交わす。全員が出かける準備ができるとダンジョンをでて宿の食堂に朝食をとりに向かう。緑達が食堂で食事をしているとシャークのチームが現れ朝の挨拶を交わすとシャークが緑に尋ねる。
「緑、今日は何をするんだ?」
そう聞かれた緑は、まずは市場に行きたいことを伝えると朝食が終わり次第、市場に向かうことになった。
緑が市場に向かう前に蟲人全員にある程度のお金を渡し、それぞれが欲しいものがあればその範囲であれば自由に買っていいと伝える。その金額は100万イェンを胡蝶以外の蟲人全員に配る。
「おいち~ こっちもおいち~ レイだいしゅき~」
市場に来た緑達は思い思いに好きなものを買っているがその中でもレイは胡蝶に果物やスイーツなどの甘いものを買え与えていた。
他の蟲人達も胡蝶の気を引こうとしているがレイが胡蝶に与えるもの以上に胡蝶の気を引けるものを選ぶ事が出来ずにいた。
蟲人達がそんなやり取りをしている間、緑は果物や花を片っ端から買いあさりバックに入れるふりをしてどんどんアイテムボックスに入れていく。
緑達の買い物に付き合っているシャークのチームも時間を忘れ緑達を案内し続け丁度、昼食時になったので皆で昼食をとる事になった。緑達が昼食取っていると市場で商売をしている人達の子供だろうと思われる子供達が4人ほど遊んでいるのが見えた。
「ねぇ、いっしょにあそぼ~」
その子供たちが達が胡蝶を見るなり一緒に遊ぼうと誘う。
胡蝶は緑を見て目で訴えかける。緑がレイを見ると頷き胡蝶の後ろに立つ。それを見た緑は頷き遊んでくるように胡蝶に言う。すると子供達と胡蝶がかけていきそれをレイが後ろからついていく。
しばらくの間、胡蝶と4人の子供が緑達のそばで遊んでいるとそこに2人の子供がやってきた。
「俺達もまぜろよ!」
その言葉からいじめっ子と思われる子供がやってきた。食事を終え休憩していた緑達であったが心配して胡蝶達の様子みていると胡蝶の背中から美しい羽が広がるのが見えた。緑は安心して、昼食後の休憩に戻るのであった。
しばらくして、胡蝶を探すと4人の子供達は集まって遊んでおり、いじめっ子の2人は近くの公衆トイレで汚物まみれになって遊んでいた。その中間地点で胡蝶とレイが子供達を見ながら無言で頷いていた。しばらくしてから公衆トイレの方から子供の叫び声が聞こえたので緑は苦笑いしながら浄化をかけにいくのであった。
市場での買い物が終わった緑達は次に武器屋を見てまわる、今までの戦闘で緑を除いたメンバーは武器を持たずに戦っていた。そこで、緑以外のメンバーは自分にあった武器を探してみようと話す。
緑達はシャークに進められる武器屋に向かい、そこでで蟲人達に合う武器を探し始めた。
ヒカリは、戦闘時に高速で飛び回りすれ違いざまに敵を引き千切りながら戦っていた。ヒカリはその戦闘スタイルから自分に合うと思われる鉤爪、次にクウはその格闘家の様な戦闘スタイルからガントレットを探す。
また、兜はその膂力を生かすために自分の身長よりも大きな斧を探しており、今執事状態になっている胡蝶は敵を幻覚や幻をみせてとどめを刺すために暗器を探す。
レイだけは、自前の鎌があるために他のメンバーの後ろにつき一緒に武器を探す様子を眺めていた。
初めに武器が決まったのは兜であった。兜はほぼ自分の身長に近い斧を選びそれを2本購入した。そのうち1本を自分で背負いもう一本を緑のアイテムボックスに収納してもらう。
ヒカリとクウは鉤爪とガントレットを探すが2人に合うものが無かったために今回の購入はあきらめた。また胡蝶も執事の状態で使う武器だが幾つか暗器を見るもその強度的に欲しい性能に至らなかったために購入を断念するのであった。
その後、早めに宿に戻るとシャークに言うと、こんなに早く宿に戻って何をするのだと聞かれた緑は今日市場で買った花や果物などをダンジョンで育てると返事を返す。
「それ、俺達もみてもいいか?」
「ええ、大丈夫ですよ♪」
緑の言葉に興味を持ったシャーク達は緑に尋ねると二つ返事で許可が下りる。
宿に戻りダンジョンに入る緑達に続きシャークのチームもダンジョンに入る。緑が今日買ってきた花や果物を店のテーブルの上に置き綺麗に並べる。緑達が花や果物の話をしていると周りにヒカリとクウの子供達が集まって来る。
そして、ダンジョン内のどの区画で育てるかの話になり、区画の場所が決まると子供達が花や果物を優しく運んでいくのであった。
その様子を見ていたシャーク達が実際に花や果物、今日は買わなかった農作物を育てているところを見てみたいと言ったためそのまま、緑達は店をでてシャーク達を案内する。
「なんか、ここで育ってるもの異常にでかくないか……?」
「確かに、こんな大きさのものは見たことがない……」
「あそこに生ってる実は1個数万イェンで売ってる気がするのですが……あんなに数があるものなのでしょうか……?」
シャーク達は緑のダンジョンで食事をしたことはあっても、その食事の材料がどの様に作られているか知らず、その食材が世間一般の物より味が数段良いとは知っていたが大きさも数段大きく数も多いことは知らなかった。
そんな中、一気にシャーク達が騒ぎ始める。見るとそこには1本の木があり緑が見ると桃に非常に似た木が生えていた。
こっちの世界に来てから桃の実の様に実が柔らかい物をあまり目にしなかった緑は珍しいのかと思う。だが、この木は桃に非常に似ているが違う部分がいくつかあり、その実の色がエメラルドグリーンをしており、さらに大きさが緑のしる本来の桃の数倍の大きさだった。
その実をみたシャーク達が緑達を拝み倒す、この実はもともと高いうえにその数が少なくシャーク達の様に懐に余裕がある者達でも手に入れる事ができないとの事だった。何よりこの実の数が少ない理由がこの実を食べると若返ると言われているらしい。
そして、いざシャークが桃を切り分けてもらい目の前に置かれリーダのシャークが一口食べると体が光だしそれが収まるとその場には中学生くらいの男の子になったシャークがいるのであった。




