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237話 ミドリムシと獣人の王


「町の件はこれで良いとして、川の水が減っている原因がわからない。詳しい地図を持ってこさせてくれ」


「ああ、わかったすぐに持ってこさせる……」


 魔緑の言葉に返事をしたのは、王都前に出現した巨人化した兜を追って、知らぬうちに子供達と一緒になって、だるまさんが転んだをしていた獣人の王であった。




 獣人の王は、兜を追う途中に自分の国の中にもかかわらず、自分の知らない町があることに気づく。


 兜は獣人の王が町に気づくと巨人化をとき身を隠す。


 そのことを知らない王は、自分の知らない町の前で忽然と兜が姿を消し唖然とする。


 王は兜がいなくなり唖然としたものの、すぐに町の調査を開始する。調査を開始してすぐに、他の町や村に届く予定だった支援物資がこの知らない町に集められていたことがわかり激怒する。


 王は、数人の精鋭部隊にさらに町の調査をするように命令すると、町を作ったものを探し出すために王都に帰ろうとする。だが、激怒した王に冷静さを取り戻させることが事が起きる。


 王都に戻ろうとする王の前に再び兜があらわれたのだった。


 王はそこで兜にたずねるた。


「もしや、お前は俺達にあの町を知らせるためにスタンピードをおこしたのか?」


 兜は王の言葉を聞き、ニヤリと笑うと大きな声で叫ぶ。


「話が早くて助かるな! 魔緑の旦那!」


 兜が叫ぶと、木の影より魔緑が王の前に姿をあらわす。


「ようやく話ができるな」


 魔緑が顔を出すと、王はすぐに戦闘態勢に入り、じっと魔緑をみつめる。


「お前が今回のスタンピードのリーダーか?」


「全体のリーダーは別にいるが獣人の国に来た中のリーダーは俺だな」


「獣人の国に来た中のリーダーだと? まさか……」


 魔緑の言葉から想像したことに王は驚愕する。


「ああ、そのまさかだ。俺達は今、龍種の国以外の5つの国で同じことをしている」


「まさか5つの国すべてでスタンピードが起こっているだと⁉」


「まぁ、はたから見たらスタンピードだが、俺達はこの国に来て誰かに危害を加えた事はないはずだ」


「……たしかに、魔物から直接攻撃された話は聞いていない」


「あと、魔物ではなく子供達と言ってもらいたいな……こいつらは大事な家族だからな……」


 そう言った魔緑の足元で、ホレストアントの子供達が王の様子を見ていた。


「まるで魔物を生むものがそばにいる様な良い方だな……」


「ああ、そうだ。俺達の家族の中には、子供をたくさん産む母親が3名いる」


 魔緑の言葉に獣人の王は思わず聞き返す。


「母親が3名だと⁉ たった3名でこれほどまでの子供達を生み出すのか⁉ バカを言うな!」


 王の言葉に驚いた子供達が慌てて、魔緑と兜の体をよじ登り、じっと様子をうかがう。


「まぁ、それはどうでもいい話だ。だた、俺に嘘を言う必要がない事をいっておく。それに俺達は何も自らこの西の国まで来たわけじゃない。お前達の国の一部の人々から頼まれて来たんだ」


「誰だ、お前達の様なもの達に頼みをしたのは!」


「あの町に支援物資を奪われていた人々だよ」


「⁉」


「あんたが知らなかった町は、5つの国の国境線上にいくつもあった。その町がどれだけの支援物資をあつめていたのか……」


「くっ! だがこうして俺がこの目で町を見たかかぎり、今までと同じ様に他の町や村に向かうべき支援物資に手は出させん!」


「当たり前だ! 同じ事をしてみろ、俺達【軍団(レギオン)】がそんな王宮はぶっ潰してやる! お前は知らなかった町だけしかまだ、見ていないだろう? 支援物資を奪われていた町や村の子供達を見たか! 幼い子供達があれほどやせ細っているのだぞ!」


 そこまで言って魔緑は、服の袖で涙をぬぐう。


「っち! 緑がうつったか……さっき言ったが、俺達は今5つの国に()()()()()()()()。ここ、獣人の王国に多く来ているのではない。均等にだ!」


 魔緑の言葉を聞き王は青くなる。


(これが一か所の国に集まれば、魔物の数は5倍に膨れ上がるのか! しかもこの緑色の男はなんだ⁉ 俺の親衛隊が震えているだと!)


 ここまで王と兜と魔緑以外に声を出すものはいなかったが、王の精鋭部隊は王の後ろで話を聞いていた。


 本来であれば突然現れた魔緑、兜と王の間に割って入らなければなら彼等であったが、彼は膝をつき割って入ることができなかった。


 王の精鋭部隊が恐怖で震え、膝をついていたのであった。


(しかもこの男の口ぶりから、この男くらい力を持つ者が少なくとも5名いるという話だ……だめだな、この【軍団(レギオン)】と言ったか? こいつ等と真っ向から叩けば我らの国は滅亡する)


「わかった話を信じる。それで姿を見せたのは、何か俺と話がしたいんじゃないのか?」


「ああ、それは今回の食糧難におちいった原因の1つ、川の水量が減った件だ」


「馬鹿な! 川の水量は我ら獣人とドワーフで管理している。水量が減るなど考えられない!」


「ああ、俺もダムにいた奴らにそう言われたよ、だが実際に他の国に行った家族からの情報でも川の水量は減っていた」


「なに⁉ それは本当か!」


「さっきから言っている俺達は嘘をつく必要が無い」


「……すぐにこれから王都にこれるか?」


「ああ、俺達は詳しく川が書かれた地図が欲しかったのでな」


「ついてこい……」


 王はそう言うと王都に向かって走りはじめた。


 魔緑が王の後を追い、走りはじめるとさらに魔緑を追う、3姫があらわれる。


 それをチラリと見た王に魔緑が言う。


「俺の嫁だ、あいつらも一緒に行くが良いよな?」


 魔緑の言葉に王は何も言わず、スピードを上げる。


「ほう、ついてこれるならと言ったところかのう」


「まぁ、別にそんなに早くもないわ」


「ええ、すっごく速くはないです」


 その後、王都についた王達と魔緑達は全員そろって王宮にある会議室に向かう。


 王は会議室に入ると、魔緑の前に何枚もの書類をおく。


 それは、王が知らなかった町の書類であった。


 魔緑はそれの書類に目を通していく。その書類に書かれていたのはすぐに町を解体し、町のなかった以前の状態に戻すと言う事とさらに、支援物資を奪われていた村や町に手厚く支援物資を送る事であった。


「町の件はこれで良いとして、川の水が減っている原因がわからない。詳しい地図を持ってこさせてくれ」


「ああ、わかったすぐに持ってこさせる……」


 しばらくして王宮内にいる文官が地図を持ってやってくる。


 それを王が受け取ると、会議室の机の上に広げる。地図が広げられると魔緑達は、地図を食い入るように見はじめる。


 王ももう一度川を思い出し地図を見ていると、魔緑が顔を上げると一呼吸してつぶやく


「やはりな……」


「何がやはりなのだ?」


 獣人の王がしぶい顔をしていう。すると魔緑が地図に書かれた川を指さしていく。


「俺達が通ってきた時、地図に書かれている川がいくつかなかった」


「確かなのか?」


「ああ、この辺りだ」


 そう言って、魔緑は地図の上にアイテムボックスよりだした石を置いてく。


「確かに、今言った川がなければ、末端に行く水量は減っていくな……」


 王がそう言うと魔緑は会議室の窓を指さす。


「開けても良いか?」


「ああ、かまわない」


 魔緑が王に了承を得て、窓を開ける。すると開けた窓からキラービーの子供達が数匹入ってくる。


 王達に緊張が走る。


「大丈夫だ、心配ない。このために子供達に確認に行ってもらっていたんだ」


「俺達と会う前にか……用意周到だな」


 子供達は、そのまま会議室に入ると、地図の上まで来て川のいくつかの場所をトントンと叩いていく。


 その叩かれ場所には、魔緑が川がなかったと置いた石も含まれていた。


「俺が気づいた部分以上に川がないらしいな……」


「確かにこれが本当なら……っと疑っているわけではないからな。この川はどこに行ったのだ?」


 そう言った王の言葉に反応した、子供達の1人が自分のバックからカードを束を取り出し、1枚のカードを魔緑に見せる。


「ダンジョンだと……」


 魔緑の言葉を聞いた、王達はぎょっとした様子でカードを見るのであった。


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