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206話 ミドリムシによるエルフの救出作戦


 ダンジョンに入るとエルフの女性は絶句していたが、ヒカリと三日月がレイを探すためにダンジョンの中心に向かうと、慌ててその後を追う。


 しばらく間、ダンジョンの中を探すヒカリと三日月は、遠くにレイをみつける。


 ヒカリと三日月がレイを見つけた時、レイは腐緑と一緒に琥珀が砂遊びをしているのをニコニコとしながら見ていた。


「レイちゃ~ん、ちょっとお願いがあるの」


 そう言って遠くから声をかける三日月。その声に1番反応が早かったのは()()()()()であった。


「何かあったのかもしれません。レイさん一緒に話を聞いても良いでしょうか?」


 三日月の声を聞くと砂遊びをしていた琥珀が立ち上がり、ファントムとしてレイに尋ねる。


「あらら、琥珀ちゃんは寝てしまいましたか~ 残念です~ ですがそうも言ってられたない様子なので、お話はぜひ一緒にききましょう~」


 そう言いながらもレイは、琥珀が遊んでいた時よりも嬉しそうにファントムに返事をする。


 そんな2人の会話に腐緑も参加する。


「私も一緒に聞いても良いかな? レイさん」


「ええ、腐緑さんも一緒に聞いてもらえると、ありがたいです~」


 レイとファントム、腐緑が3人で話を聞こうと話をすると、ヒカリと三日月、エルフの女性がやってくる。


「ファントムも腐緑さんもいましたか」


「今日は琥珀ちゃんじゃないんだね~」


「今まで砂遊びをしていたんですが、お話をされると言う事で、私と交代しました」


「それは、琥珀ちゃんに悪い事をしちゃったな~」


「それは、気にしないでください。そろそろ変わろうかと思っていたので」


「あの……こちらの方々は……」


 ヒカリ達が話す中、エルフの女性が恐々としながらヒカリに話をかける。


「すいません、質問の答えは後で話ますので」


「い、いえ、話の腰を折ってすいません」


 エルフの女性とヒカリのやり取りを聞き、ファントムが経緯を予想してヒカリに尋ねる。


「ヒカリさん、エルフの方を攫った者達がいるのですね」


「さすがファントム話がはやいですね。ファントムの言う通り、この方の様に攫われてきたエルフの方が、20名ほど盗賊につかまっています」


 ヒカリがそこまで話すと三日月が続きを説明する。


「その盗賊達は、馬車に10名ずつ分けてエルフを乗せていて、そこに見張りが2名ずついるんだけど、その見張りが邪魔でね。私とヒカリちゃんが一緒なら盗賊が1000人いたって平気なんだけど……人質が居ると……」


「なるほど、それでレイさんと子供達の力を借りようとしたわけですね」


 ファントムの言葉にヒカリと三日月が頷く。


 チキチキチキチキ


「っ!?」


「大丈夫です」


「うんうん、この子達は人を襲わないから心配しないで」


 その声を聞きエルフの女性が周りを見て驚くが、ヒカリと三日月がエルフの女性を落ち着く様に言う。


 だが、事情を知らないエルフの女性は、恐怖で声を上げる。


「で、でも! こんなにたくさんデッドマンティスが!?」


「この子は私の子供達なので安心してください~」


「そんな……デッドマンティスが子供って!?」


 エルフの女性は、デッドマンティス事を子供と言う、レイの言葉にさらに混乱する。


 エルフの女性の混乱を見て、腐緑が近づき優しく抱きしめる。


「大丈夫、少し落ち着こうか……」


 腐緑がエルフの女性を抱きしめると、エルフの女性が優しい光に包まれる。


 腐緑が魔法を使い、エルフの女性の精神を落ち着かせる


「こ、これは、世界樹さま?」


「少しは、安心した?」


「……はい」


「それでは、落ち着いたようですし、エルフの皆さんを救出しにいきましょうか」


「うん!」


「はい~」


「汚物は消毒です」


「腐腐腐腐」




 6人とレイの子供達は、ダンジョンを出ると日が落ちるのを待つ。


「そろそろですね」


 日も落ち、盗賊達は夕飯の準備をしていた。盗賊達は、当番制で飯の準備をするのか、一部の者達は、他の仲間が準備をする中、酒を飲んでいる者達もいた。


 6人が盗賊達の様子を見て、救出のタイミングうかがっていると不意にレイの子供1人がそばにくる。


 チキチキチキチキ


「あら~」


 子供がレイの耳元で何か言うとレイが驚いた声を上げる。


 それに気づいたファントムが口を開く。


「5、6人のグループが5つほど周りから近づいてきますね」


「もしかして、エルフの人達が救出しにきたのかな?」


「これは早くした方がいいですね~ 皆、一斉に行きなさい!」


「「!?」」


 レイとファントム以外の4人が驚くほどの大きな声をレイが上げる。


「誰だ!?」


 その声を聞き盗賊が叫ぶが、そこから盗賊の声が聞こえる事はなかった。


 そこからエルフの女性を除く、5人の行動は、早かった。


 ファントムは虹色に輝く翅から光り輝く鱗粉を放つ。残りの4人は、ヒカリと三日月、レイと腐緑に別れ、馬車に向かう。


 4人が馬車の中に飛び込んだ瞬間、悲鳴が上がる。


「きゃーっ!」


 馬車の前後にある、乗り込む場所には、細切れにされた盗賊の死体と思われる物が散乱していた。


 それは、レイの声で子供達が一斉に動いた結果であった。


「うわ~ これはきついな~」


 盗賊達だったものを見て、三日月が思わずこぼす。


「三日月さん今は、エルフの人達を自由にしましょう」


 馬車の中には、檻がありそこにエルフの女性達が入れられていた。


 女性達は、地面に座りながら顔を下に向け震えていたが、ヒカリと三日月の気配で顔を上げ叫ぶ。


「だ、だれ!?」


「私は、貴方達の仲間に助けを求められた者です」


「あの子が逃げ切れたの!?」


「はい。その結果、私達が助けにきました」


「よかった……」


 キィイン!


 エルフの女性達が安心したのを見ると、ヒカリは刀を一振りする。


 ゴトン!


 ヒカリが檻にかけられた鍵を切り裂くと、鍵が床に落ち大きな音を立てる。


「さぁ、これで皆出られるよ! なるべく下は見ないで檻からでて」


「した?」


 三日月の声に思わずエルフの女性達が足元を見る。


「あっ!」


 三日月が思わず声を上げるが、エルフの女性達は足元に転がっていたもの達を見ても、無反応であった。


「三日月さん、さっきファントムが撒いてた鱗粉の効果です」


「ああ~ さっきの鱗粉はこのためだったのね。良かったよ。彼女達がそれに気づいていたらパニックを起こしただろうから」


 扉を開けた三日月であったが、エルフの女性達は一向に檻から出ない。それどころか出口から離れて、檻の隅に皆で固まっていた。


 その姿を見た三日月が思わず尋ねる。


「ん? 皆、早く出て。何をしているの?」


「あ、あのさっき大きな魔物の影が……見張りの盗賊をバラバラに……私達は、怖くてそれから顔を上げられなかったのですが……」


「ああ、それで悲鳴も上げなかったんだね。貴方達の言う魔物は私達の仲間だから大丈夫。もう一方の馬車にも私達の仲間がいるから」


「本当にあの魔物があなた達の仲間なのですか? あれはデッドマンティスだったと思うのですが……」


「本当に大丈夫だから、私達が外にいても襲われてないでしょう」


「た、たしかに……」


 1人の女性がそう言うと、檻から1人ずつ女性達が出る。


「さぁ、こっち……うわぁ」


 馬車の中から表に出た三日月が思わず声を上げる。


 先ほど、馬車に急行した時、三日月は周りの光景を気にしていなかったが、改めてみると馬車の外には地獄絵図が広がっていた。


 その光景に三日月が引いていると声をかけられる。


「大丈夫です。私の鱗粉はまだしばらく効果があるので女性達はこの光景を正常に見る事はありません」


「はははは、ファントムが一緒に来てくれて良かったよ。これを見てたら、もしかして……いや絶対トラウマになってたと思うよ」


 レイの子供達は、見張りの盗賊達は細心の注意をはらって細かくきざんだようだが、外にいた盗賊達は()()にきざんでいた。


 盗賊達が作っていた鍋には、作っていた盗賊の腕が出ていたり、体の一部がその辺りに転がっていたりと、まさに地獄であった。


「きましたね」


 そうファントムがつぶやくと、先ほど話していたエルフの救出部隊がやってきた。


 彼等は、まだ盗賊が居ると思い、慎重に距離を詰めてきたが突然声を上げることなる。


「盗賊がオロロロロロロ!」


「おい!? どうしオロロロロ!」


 エルフの救出部隊は、盗賊達の様子をうかがった瞬間に声を上げようとするが、声を上げ切る前に吐きはきはじめ、それに驚いた後続の者達も盗賊達を確かめようとして、吐きはじめるのであった。


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