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203話 ミドリムシと冒険者


「サラマンダーちょっとやりすぎじゃない?」


 そう呟いたのは緑、冒険者のリーダーとサラマンダーの戦いを心配そうに見ていた。


「いや、龍種同士思う事があったのだろう…… まだ、俺達は様子を見ていよう」


「うん、わかった」


 魔緑は、サラマンダーのブレスを結界で防いだ後、緑の傍に来て、一緒に冒険者達とサラマンダーの様子を見ていた。


「さっさと起きろ、傷は治っただろう……」


「ううぅ…… はい……」


 サラマンダーに言われ立ち上がる、龍種の冒険者だが、その様子は明らかに落ち込んでいた。


 さらに、同じように落ち込んでいる仲間の冒険者にも聞こえるように、サラマンダーが言う。


「ちなみに俺は、ダンジョンの中で1番強くはないぞ」


「「えっ!?」」


 サラマンダーの言葉に驚く冒険者達。


「あ、あんたがここの1番じゃないのか!?」


 驚き、思わず聞き返す冒険者達。


「当たり前だ! そうでなければ1日中、子供の姿でのんびり過ごせるわけがないだろう…… なぁ王様!」


 そういってサラマンダーは、歯をむき、笑顔で緑に顔を向ける。


「あはははは」


 そう言われた緑は、苦笑いしかできなかった。


「ここの王様の【水野 緑】が1番強い」


 サラマンダーがそう言うとその場にいた緑の家族の全員が頷く。


 その言葉を聞いた、冒険者を緑が見ると驚きのあまり、冒険者達は固まっていた。


 そんな冒険者達にノーム、ウンディーネ、シャイドの3人が助け舟を出す。


「まぁ、そのくらいでいいんじゃないかサラマンダー?」


「そうね、いきなりここに来て皆が皆すぐに状況を把握できはずもないもの」


「少し前の自分を見ているようで恥ずかしいな……」


「だが、同じ龍種でありながらノームの姿を見て、その実力がわからないのはどうかと思うぜ?」


「サラマンダー、我らが居たあの国でも、我の力を見抜けぬ奴は、結構いただろう?」


「ん? そうだった……か? いや、そうだったな」


 ノームに言われ、サラマンダーが自分達の居た龍種の国の事を思い出す。


「ええ、ダンジョンに来て、私達も流さんに色々教わって、相手の力を正確に知れるようになった、でしょう?」

 

「それに、我等も子供姿で一様、力を隠しているしな……」


 3人の龍種も仕方がないだろうと、サラマンダーに言う。


 そこの会話に腐緑も参加する。


「そうだね~、強い者が力を隠してる場合、相手は気づきにくいと思うよ。私は、他の人もケガを治しておこうか」


 そう言って腐緑が聖属性の魔法を使い、リーダー以外の冒険者達の傷を癒す。


 腐緑は、魔法で5人の冒険者を包み込むとその傷を癒す。


「これは!? や、やはり、せ、世界樹様!?」


「腐腐腐腐」


 エルフの冒険者の反応に、腐緑は少しだけ笑顔を見せる。


「俺は、こいつらに求めすぎていたのか……」


「まぁ、ここの事を思って言ってくれたのは嬉しいが、いきなりここに連れてこられたんだ。すぐに気づけなくても仕方ないだろう」


 そういってサラマンダーの足元にやってきた魔緑が、ぽんとサラマンダーの鱗をたたく。


「そうか…… お前達悪かったな…… 俺は頭を冷やしてくる」


 そう言って、サラマンダーは広場をでていった。


「なんか、必要以上に落ち込んじゃったかしら?」


 その姿を心配そうにウンディーネが見つめる。


「まぁ、大丈夫だろう」


「ああ、少しすればいつもの調子に戻るだろう」


 サラマンダーが広場か出ていくのを見て、緑が近づいて来る。


「それじゃ、お話を聞きましょうか」


 そう言って、冒険者達に何故、軍団(レギオン)とコンタクトを取ろうとしたのか聞く緑であった。




「なるほど……」


 緑達は、話が長くなると聞き、場所を食堂に移して、冒険者達の話を聞いていた。


 話はじめたのは昼飯時の少し後であったが、今はもう夕飯まであった。


「異常気象か……」


 緑の言葉を聞き、冒険者の6人は頷いた。


「そのために今までは、問題がなかった隣国同士で、小競り合いがはじまったと」


「まぁ、今までも問題がなかったわけではないのですが、ここに来て一気に戦争に発展しかねない状況になってしまって……」


「今、現状として食料が足りていない国などあるか?」


 そう聞いたのは魔緑。


「いえ、まだ食料危機にはなっていませんが…… いくつかの国は、この状態が続くと危ないです」


「食料問題だけで話が済めば、問題なかったのにね」


「そうだね、ふーちゃん」


「「はっ?」」


 思わず言った、腐緑の言葉に冒険者達が驚く。


「だな、食料問題だけで済むなら、ダンジョンの食料を持っていけば済むんだがな……」


 その言葉を聞き獣人の冒険者が手を上げる。


「ん? なんだ?」


 魔緑がそれに気づき、冒険者に話をするように言う。


「えっと…… いくつかのくにですよ?」


「ああ、わかっている…… だがこのダンジョンには人が有り余っているんだ…… 俺達は、別に国で使えた事もないし、とりあえず食料を作っているんだが、過剰食料が多すぎてな……」


「そ、それでも……」


「まぁ、どこかの王様が嫁さんに魔力を与えすぎて、子供が増えすぎて途中から数えていないんだが…… 数万人いるんだ……」


「しかも、人より数段体が強い子供達だから、食料自給率がね……」


「お前達もダンジョンで見たんじゃないか? まぁ、俺達は家族と言っているが、外の者からすればホレストアントやキラービー、デッドマンティスと言われている」


「「はぁっ!? ホレストアントやキラービーにデッドマンティスが数万匹!?」」


「まぁ、家族なんで匹ではなく人って言って欲しいかな」


「「す、すいません! つい!」」


 そう言った険者達は緑に頭を下げる。


「しかも、このダンジョンは異常な事に年数回、作物が育つ」


「だね~、本当に腐るほどあるから、保存が最近大変なんだよね~」


「ふ~ちゃんの言う通りだけど…… かと言ってよその国に売っちゃうと、僕達にお金が集まっちゃうから…… 

もし、食料問題が発生しそうなら、ここから持っていけるから……」


「あとは、鉱物なんかもゴロゴロでるね。だから、ドワーフの国から結構な数の人がこっちで鍛冶をしてるし、まーちゃんも一緒に鍛冶の勉強をしているね」


「ああ、ドワーフの国でも結構いい線いっているらしいな」


 そう魔緑は嬉しそうに言う。


「あと、龍種の人もいるから素材には困らないし、さっき皆さんと戦ったサラマンダーはここの龍種で1番の人で自分の鱗や牙、爪を使ってドワーフやエルフと一緒に鍛冶をしているんだよ」


「えっと緑さん、ドワーフとエルフが龍種の鱗や牙、爪を使って鍛冶をしているんですか……?」


「うん、そうだよ。このダンジョンには、ある理由でこの間、龍種の人達が数百人規模で引っ越してきたからかな?」


「そういえば、さっきサラマンダーさんが言っていた、3桁って言うのは……」


「そうそう、ここの龍種の人達は、強さをランキングしてるからね」


「リーダーより強い龍種が100名近くいる?」


 冒険者達は、緑達の話を聞き混乱する。


「ああ、だからシャークのおっさんが言ってた、平らげるって言ったのは冗談でもないだろう?」


「し、しかも、龍種の1番のサラマンダーさんがここの1番ではないんですようね?」


「そうね水の属性は私が1番だしね」


 そう言ったウンディーネを冒険者達は凝視し、その後おそるおそる尋ねる。


「もしかして、他の属性の龍種のかたも?」


「ああ、土は我で、闇は彼だ」


 そう聞かれて、ノームがシェイドを指さす。


「まぁ、我は1番龍種の中では弱いがな。ちなみに彼女は腐緑で我は、彼女に手も足もでず、手足を溶かされて負けたんだ。腐緑に魔緑、2人は自己紹介したか?」


「「!?!?!?」」


「ああ、そう言えば、まーちゃんは自己紹介してたけど、私はまだだったね。私は【水野 腐緑】よろしくね」


 そう言って、腐緑がウィンクをすると、手を上げるエルフの冒険者。


「あ、あの……」


「ん? なに?」


「もしかして腐緑さんは、世界樹様とご関係があるのでしょうか?」


「ああ、それは、何故か僕とふーちゃんが聖属性の魔法を使うと、世界樹様に間違われるんです」


 エルフの冒険者の質問に緑が答える。


「え? 緑さんも?」


「はい、理由は僕達も世界樹様もわかりませんが……」


「もしや、ダンジョンの中にも世界樹様が?」


「ああ、違いますこちらの方にも? って言ったらいいんでしょうか? 僕達が知るエルフの国に世界樹様がいらっしゃるので」


「まさか、こちらの世界樹様は顕現されているのですか?」


「顕現? っていうのですか? 僕達は何度か世界樹様とお話をしていますね」


 それを聞いたエルフの冒険者が声を荒げる。


「ど、どうか我らの国の世界樹様をお救いください!」


 エルフの冒険者は、緑の言葉を聞き、椅子から飛び上がり、地面に頭を擦り付けながらそう言った。


 エルフの冒険者がそう叫ぶと食堂の外で笛の鳴る音がかすかに聞こえる。


「もしかして、異常気象の影響が世界樹様にも?」


 エルフの冒険者の言葉に緑は思わず聞きかえすのであった。

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