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199話 ミドリムシの自己紹介(辰緑)


「「う~ん」」


 干支緑達が12人になっていることに気づいた、緑、魔緑、腐緑の3人は悩んでいた。


「まーちゃん。たしか、干支ちゃん達を鑑定したときは封印中ってなってたよね?」


「ああ、それは間違いない。俺とお前で鑑定して確かめたからな」


「私がまだ居なかったときだよね? という事は、自分達で封印をといたのかな?」


「う~ん、それも考えにくいんだよね」


「ああ、あいつら全員、俺達が言った事はきちんと守るからな」


「たしかに、私の部屋に入ったらダメって言ったら入らなくなったしね」


「バカ、それは開けっ放しにしていたお前が悪い。聞き分けが良いと言ってもまだ子供なんだ、開いてるドアがあって中を覗いたら、自分の知らない物が沢山ある部屋なら入って見たくもなる」


「え~。まーちゃん私に厳しくない? 乙女の部屋をのぞいたりする?」


「干支ちゃん達にしたら、僕達はお父さんやお母さんみたいなイメージなのかもね」


「ああ、そうだ我が兄妹達は、お前達を父や母の様に思っている」


「「えっ!?」」


 緑、魔緑、腐緑の3人が干支緑達の話をしていると不意に参加者があらわれる。


「いつから聞いていたんだ?」


 3人は同時に驚きの声を上げるも、その中でいち早く冷静になった魔緑がたずねる。


「緑と魔緑が封印の話をしていたところくらいからだな」


「干支ちゃん達は、お互いの心の中がわかるの?」


 次いで冷静になった腐緑が質問する。


「いや、なんとなくだな……明確に心の中を覗けるわけではない。だが今までの記憶を我は共有している。その際の強い思いも知っている。同時スタンピードや龍種達と戦う際の決意もな」


「辰ちゃんだけ大人の様な口調なのは?」


「我にもわからないが推測するに兄妹全員の記憶を持っている分、心の成長が早かったのかもしれぬな……」


「確かに11人分の記憶をもっているなら成長も早いのかもね。ちなみに私のパンツは?」


「ちんちんでるねー」


「……本当に11人分の記憶を持っているみただね」


「ああ、しかも知識は兄妹達よりも多いようだ、腐緑が変態なのはわかる」


「ちょっと人の趣味を変態ってないんじゃない? 辰ちゃん」


「む、すまない。あくまでも個人的意見だと思ってくれ」


「あのパンツは僕も変態だと思う」「俺もだ」


「みんな酷い!」


「干支ちゃん達にも変態だと思われてたらさすがにへこむよ!」


「大丈夫だ。まだそこまでの判断力はないようだ」


「ちょっと! それだとそのうち私は変態と思われるようになるの!?」


「それは、兄妹達の判断だから何とも言えないな」


 【水野 緑】達が会話をしていると部屋のドアがノックされる。


「どうぞ」


 緑そう言うと部屋に入ってきたのは4人の龍種であった。


「お、1人だけおきてるな!」


「体の方は問題ないのか?」


「まだ他の子達は寝ている様ね」


「我がついていながら、倒れるような事になってすまない」


「先達の龍種殿、心配をかけてすまない。いつも兄妹達が世話になっている。辰緑だよろしく頼む」


 部屋に入ってきた龍種達が思い思いの言葉を口にすると、辰緑が4人に挨拶をする。


「ん? お前が12人目か? よろしくな!」


「ふむ、他の干支達とは精神年齢が違うようだな。よろしく」


「あら、ちょっとファントムに似ているかも。よろしくね」


「俺は、ここにきて尊敬される様な者でないと気づいた。こちらこそよろしく頼む」


「こちらこそ重ねてよろしく頼む」


 そう言って辰緑が手を差し出す。


「なんだかむず痒いいぜ」


「干支緑達と同じ姿の者からそう言われると嬉しいな……」


「そう言ってもらえると嬉しいわね」


「我もサラマンダーと同じくこそばゆいな」


 そう言いなが龍種達は、辰緑と笑顔で握手していく。


「なんか僕達と対応が違うね……」


「ああ、なぜだろうな……」


「私の扱いは、ちんちんでるねーだよ……」


 辰緑の龍種に対する態度と比べ、不満を口にする【水野 緑】。


「別に3人を軽視しているわけではない。言っただろう父や母と思っていると、後は我が干支の辰をかんするためか龍種の先達に自然と敬意が生まれてくるのだ」


 辰緑が龍種への態度の説明をしていると他の干支緑達が起きだしてくる。


「ふあぁ、おなかすいた?」「ごはんのじかん?」「よくねたー」


 干支緑達は、目を擦りながら起きだすと辰緑の姿を見つける。


「あっ! たっちゃんだ!」「ほんとだ♪」「よかったー」


 干支緑達が辰緑を見つけ騒ぎ始めるとさらにドアがノックされる。


 ドアから顔を覗かせたのは、蟲人達に魔緑の嫁の獣人、他にもダンジョンで保護された者達。


 皆が干支緑達の事を心配してやってきた様だが、緑が干支緑達を寝かせていた救護室の様な部屋では入りきらないと言い、ダンジョンの食堂に移動する事となる。


「「しんぱいさせてごめんなさい」」


 そう言って干支緑達がそろって頭を下げると、それを見た緑の家族やダンジョンの者達は拍手をはじめ、全員が良かったとお互いに顔を見合わせた。


 しばらくのすると干支緑達から1人が1歩前に出る。


 それは辰緑で、それに気づいた者達は静かにし辰緑の様子をうかがう。


 それが皆に広がり食堂にいた者達の視線が辰緑に集まると、辰緑が挨拶をはじめる。


「すでに気づいている者はいると思うが、我は12人目の干支緑で辰緑という。他の兄妹にエネルギーをもらい生まれる事ができた。これから他の兄妹と一緒に生活するのでよろしく頼む」


「よろしくお願いします」「よろしくです♪」「よろしくな!」「よろしくお願いします~」「よろしく~」


「新しい坊か、よろしくのう」「よろしゅう~ね~」「すっごく、よろしくお願いします」


 蟲人、3姫の獣人からはじまり、食堂に集まった他の者達も次々と挨拶をしていく。


 人、獣人、エルフ、ドワーフ、蟲人、龍種、生活をダンジョンの中でしている者達が代わる代わる挨拶をしていくと緑が大きな声で宣言する。


「じゃあ! 今日は遅いから明日は、朝から歓迎会だね!」


「「おおおお~!!」」


 そう緑が言うと、各々が明日への準備をするためにダンジョンに散ってい行くのであった。


 次の日


 緑のダンジョンは朝から騒がしくしていた。


 それは、普段干支緑達が通う学校の冒険者達や、孤児達や職業の訓練をしている者達とそれぞれの教師達に緑が王様権限を使い休みとし、辰緑の歓迎会に参加する様に伝えたためであった。


 酒や食べ物を準備するのも皆が代わる代わる交代で行っていく。


 人が歌いはじめると獣人が踊りだし、それにあわせてエルフが楽器を演奏し、ドワーフが地面を足踏みしてリズムをとる。


 さらに蟲人やホレストアントやキラービー、デッドマンティス達が一糸乱れず踊るとそれを見た龍種達が手を叩き空に向かってブレスをふいた。


 そんな騒がしいダンジョンの外では、干支緑達の後を追って、その存在を知った冒険者達が情報収集をしていた。


「おい、そろそろ時間だ一旦宿に戻って情報の整理だ」


「ああ、しかし噂通りむちゃくちゃだな」


「まったくだ、これが本当なら俺達の国の戦争も一瞬で終わらせられるんじゃねぇか?」


「まったくだ……」


 6人でサークル王国の王都にやってきた冒険者達は、2人組にわかれ王都内で情報収取をしていたが昼飯時に差し掛かり、一旦情報の整理をしようと宿に向かっていた。


 6人でとった部屋に集まると早速情報の整理をはじめる冒険者達。


「まぁ、出てくる出てくる。スタンピードをチームだけで殲滅した、氷の魔法で巨大な迷路をつくる」


「緑色の体をしているのがリーダーで、チームには蟲人や獣人に魔物もいるらしい」


「高位の魔法を使ったり、死んだモンスターもあやつる」


「こっちは孤児院に多額の寄付、孤児達やスラムの人間に職業訓練」


「冒険者の学校、新しい武器や防具の鍛錬方法、国が入るような広大なダンジョンコアを持ち。中は緑豊かときた」


「戦闘に関しては、もう集団で幻覚でもかけられてるんじゃねぇかと思うな」


「ああ、だがこれが全部事実らしい……」


「どうやってか彼等と連絡をとれないだろうか?」


「ギルドに依頼をだすとか?」


「どんな多額の依頼料がかかるか想像もできねぇ」


「直接話をもちかけてみるか?」


「ここ最近彼等は、自分達のダンジョンから出てないらしい」


「昨日はチームの子供達が冒険者登録にギルドに訪れたと噂になっていた」


「もしかして、あいつらかだったのか!? 冒険者登録をした日にあんなことをしてたのか!?」


「話を聞く限りはそうらしいな」


「「はぁ……」」


 冒険者達が集めて来た情報をお互いに伝え、なんとか連絡を取りたいと思うができそうもなく思わずため息をつく。


 その瞬間部屋のドアがノックされる。


「だれだ?」


 彼等を訪ねてくるものなどいるはずがなく、宿の者ならすぐに要件を伝えるため全員が戦闘態勢にうつると外から返事が返ってくる。


「ここか? 軍団(レギオン)の事を嗅ぎまわってるやつらがいるのは?」


「「!?」」


 外から返ってきた返事に全員がギョッとする。


「おおい! 開けろ! 話がしたい! 暴れようと思うなよ! 窓の外を見てみろ! お前達は完全に包囲されている!」


 そう言われてリーダーの男が窓から外を見ると、宿の前の道や向かえの建物の屋根にそれぞれ大量の兵士や冒険者がいた。


 それを見たリーダーの男は、眉間にしわを寄せ目をつむり、天を仰ぎながら扉を開けるように言うのであった。



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